花はよい香りだけとは限らない
バラやヒヤシンスなど、人間にとってよい香りとされる花が多いなか、臭いといわれる花も数多くあります。花の香りは、虫にとってのよい香りで自分たちに有益な虫を呼び寄せ、受粉を手伝ってもらうための植物の知恵です。人間のために香りを放っているわけではないため、人間にとっては悪臭になることもあります。
世界の臭い花10位:ヒサカキ
ヒサカキは「姫榊」と書き、日本での神事や神棚に使用されるサカキよりも少し小さく、葉っぱにのこぎり状のぎざぎざがついているのが特徴です。耐寒性が強く、東北地方ではサカキの代わりにヒサカキを神事に使用するところもあります。4m~7mと大きく育つ植物ですが、通常は刈り込んで小さめに育てることが多いようです。
基本情報
学名 | eurya japonica |
科属 | モッコウ科ヒサカキ属 |
原産地 | 日本、東南アジア、韓国など |
形態 | 常緑小高木 |
開花時期 | 3月~4月 |
花色 | 白、クリーム色 |
樹高 | 4m~7m |
和名 | 姫榊 |
別名 | ビシャ、ビシャコ、ヘンダラ |
特徴
目立たないけど臭いは強い
ヒサカキは庭木として植えられることも多い植物です。ヒサカキの花は葉っぱの付け根に約5mm前後の白~クリーム色の花をびっしりとつけます。1輪ずつは可憐ですが、咲きそろうとあまりきれいではありません。春の3月~4月が開花時期です。ヒサカキの臭いはドブが詰まった臭いやガスの臭いに似ているため、ヒサカキの臭いをガス漏れと勘違いして、通報された例もありました。
世界の臭い花9位:クリサンセマム・ノースポール
クリサンセマム・ノースポールは略してノースポールという名前で呼ばれることが多いです。マーガレットのような白い花びらに中央の黄色が映えます。耐寒性が弱く、日本では一年草として扱われていますが、日本でも関東以西の温暖な土地では冬越えも可能です。ノースポールは株が横に広がっていくため、白いじゅうたんを敷き詰めたようになります。
基本情報
学名 | leucanthemum paludosum |
科属 | キク科フランスギク属 |
形態 | 日本では一年草、原産国では多年草 |
原産国 | アフリカ、ヨーロッパ |
草丈 | 15cm~25cm |
花径 | 3cm~4cm |
花色 | 白 |
開花時期 | 12月~6月 |
和名 | 寒白菊(かんしろぎく) |
別名 | クリサンセマム・パルドーサム、ノースポールギク |
特徴
可憐な花なのに臭いは強烈
ノースポールはキク科のためキク独特の香りがしますが、その香りに顔をしかめるほど強いチーズの臭いが混ざっています。人によってはキクの花そのものの臭いが苦手という人もいるでしょう。花の臭いに強烈なチーズ臭が足されるため、個性的な臭いです。ノースポールは育てやすい植物で日本でも栽培している人も多いですが、世話するときは臭いをかがないようにする人もいます。
世界の臭い花8位:アメリカミズバショウ(スカンク・キャベジ)
アメリカミズバショウは日本のミズバショウとよく似た形の、黄色い花です。北米の太平洋側に生息しています。湿地や水辺が自生地で、花の塊を覆う仏炎苞(ぶつえんぽう)が鮮やかな黄色をしていおり、「沼のランタン」の名前で呼ばれます。サトイモの仲間でミズバショウ属なのは、アメリカミズバショウと日本のミズバショウの2種類だけです。
基本情報
学名 | lysichiton americanum |
科属 | サトイモ科ミズバショウ属 |
形態 | 多年草 |
原産 | 北米太平洋がわ |
生息地 | 水辺、湿地帯 |
開花時期 | 4月~5月 |
草丈 | 30cm~150cm |
英名 | skunk cabbage |
別名 | 小金水芭蕉、沼のランタン |
特徴
植物界のスカンク
アメリカミズバショウには、スカンクキャベジという名前もあります。全草が、スカンクが敵に襲われたり、威嚇したりするときに発射する液体の臭いに似ているからです。スカンクのおならといわれる場合もありますが、実は肛門の近くの分泌腺から出る液体です。硫黄や卵の腐るような臭いですが、ゴムを焼いた臭いや、ニンニク臭に似ていると感じる人もいます。
世界の臭い花7位:オオパイプカズラ
オオパイプカズラは、ブラジル原産の熱帯植物です。明治時代に日本に輸入されました。オオパイプカズラの模様は、死んで腐る獣肉や、怪我をして膿んで赤黒くなった動物を真似しているといわれます。巨大な花に見える部分は、咢(がく)です。これにつられて寄ってきたハエは、開花時間の2日間、奥のパイプ部分に生えた細かい毛にとらわれて花粉を体中につけます。
ボタニ子
基本情報
学名 | aristolochia gigantea |
科属 | ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属 |
形態 | つる性常緑樹 |
原産国 | ブラジル |
開花時期 | 5月~8月 |
花径 | 20cm~60cm |
別名 | ペリカンバナ、brazilia dutchman's pipe |
特徴
見た目のインパクトも強烈
オオパイプカズラは種を作りますが、種からも臭いがするようです。植物全体が臭いをまとっており、開花するとさらに強くなり、一斉にハエがどこからともなく集合します。開花時間は2日ほどです。オオパイプカズラを栽培していると、風向きによっては家の中まで臭いが入ってきます。スルメと臭い靴下を出しっぱなしにした臭いや、熱帯魚のエサの臭いに似ています。
2日間監禁されていた虫は、開花が終わり毛がしなびると解放され、違う花へと移り受粉するシステムらしいわ。