9月の花といえば?
9月という季節
9月は、温暖化の影響もあってまだ夏が続いているように感じられるでしょう。しかし、高くなった空を見上げると、雲の形が秋らしくなっていることに気づかされますよ。猛暑が和らいで少しずつ落ち着きを取り戻し、初秋の風情を感じさせてくれる季節でもありますね。
9月の花
9月の庭や野原には、多種多様の花が咲いています。短くなっていく日照時間や涼しさに反応して咲き始める花もあれば、耐暑性のある草花は夏の季節から咲き続けています。庭には、2つの季節の花が混在していてにぎやかです。9月に咲いている花それぞれの特徴や、親しまれてきた歴史などを花言葉と共に見ていきましょう。
9月に咲く・咲いている花①~③
①キキョウ(桔梗)
キキョウの基本情報
名前 | キキョウ(桔梗)、ヨメトリバナ |
学名 | Platycodon grandiflorus |
科/属名 | キキョウ科キキョウ属 |
原産地 | 東アジア |
開花時期 | 6月下旬~10月 |
花色 | 青紫、白、ピンク |
分類 | 多年草 |
キキョウは、日本や朝鮮半島、中国、シベリア東部に自生する多年草です。日本では古の時代から親しまれ、秋の季語にもなっています。自生種は減り続け、環境省の絶滅危惧種II類(VU)に指定されています。
キキョウの特徴
キキョウは日当たりのよい庭や野原に咲きます。5枚の花弁が幅広の釣鐘形にあわさった花です。正面から見ると星形に見えます。表面張力のように張りつめた蕾も魅力的です。キキョウの花をかたどった「桔梗紋」は、戦国武将(美濃の土岐氏や明智家)などが家紋にしていました。八重咲きや数種類の花色の園芸品種があり、梅雨の季節から夏を経て、10月ごろまで咲き続けます。耐暑性は強いほうです。
江戸時代に、加賀千代女が「桔梗の花 咲く時ぽんと言ひそうな」と俳句に詠んでますね。
キキョウの花言葉
キキョウの花言葉は、「気品」「清楚」「変わらぬ愛(思い)」などがあります。「気品」は、紫色が高貴な位を表す色であったことからきていて、「清楚」は白花の花言葉です。「変わらぬ愛」は、戦に出る夫を待つ妻がキキョウの花に心を託した逸話からきているようですが、出典は定かではありません。いづれも奥ゆかしさを感じさせる花言葉です。
②シュウメイギク
シュウメイギクの基本情報
名前 | シュウメイギク(秋明菊)、貴船菊 |
学名 | Anemone hupehensis |
科/属名 | キンポウゲ科イチリンソウ属 |
原産地 | 中国 |
開花時期 | 8月~11月 |
花色 | 白、ピンク |
分類 | 多年草 |
シュウメイギクの特徴
シュウメイギク(秋明菊)は、秋の野や庭に咲く白やピンク色の優雅な花です。菊の名前がついていますがキク科の花ではなくアネモネの仲間です。中国から日本に帰化し、京都の貴船地域で野生化していたことから貴船菊の名もあります。萼片が花びらのように見えるのは、アネモネ科植物によくある特徴ですね。8月下旬頃から開花し始めます。
シュウメイギクの花言葉
シュウメイギクの花言葉は、「淡い思い」「薄れゆく愛」「多感」「忍耐」などです。「淡い思い」や「薄れゆく愛」は、パステル調の花色からきているのでしょう。アネモネ科の花が風にゆらぐ姿は、「多感」を思わせます。はかなげな花姿ですが、実は丈夫な花であり、「忍耐」もふさわしい花言葉ですね。
③ヒガンバナ
ヒガンバナの基本情報
名前 | ヒガンバナ(彼岸花)、曼殊沙華 |
学名 | Lycoris radiata |
科/属名 | ヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属) |
原産地 | 中国 |
開花時期 | 9月 |
花色 | 赤、白 |
分類 | 多年草(球根) |
ヒガンバナの特徴
ヒガンバナは、秋の彼岸(秋分の日)の頃になるとあぜ道などに群れなして咲く、赤い花火のような花です。気温の変化で季節を感じて開花します。茎が伸びるといきなり花をつけるのが特徴で、花後に茎は枯れ、地中から葉が出てきます。白花品種もあり、耐暑性、耐寒性ともに強い球根植物です。全草に毒性があり、特に球根に多く含まれます。触るのは大丈夫ですが、食すると危険です。
ヒガンバナの花言葉
ヒガンバナの花言葉には、「情熱」「再会」「諦め」「悲しい思い出」「また会う日を楽しみに」などがあります。「情熱」は赤い色と燃えるような花形から、「再会」「また会う日を楽しみに」は季節がめぐって秋分の日の頃に再び忽然と咲くのが、まるで約束をしていた再会のように感じるからでしょう。悲しい印象の花言葉が含まれているのは、ヒガンバナが毒をもつことに由来するようです。
ボタニ子
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出典:写真AC