ゼニゴケとは?
ゼニゴケは水や養分の通り道である維管束をもたない胞子でふえるコケ植物です。
コケ植物とは
コケ植物には苔類(タイルイ)、蘚類、ツノゴケ類があって、ゼニゴケはジャゴケなどとともに苔類に分類されています。ゼニゴケは普通の草木と同じように太陽の光を使って、糖(デンプン)を合成する光合成をして栄養にしています。
コケ植物の姿は、①地面をはうように広がるもの、② 2~3cmの高さに伸びるもの、③ひも状に長く枝分かれするものなどがあり、ゼニゴケは①地面をはうように広がるタイプです。
藻類とは
ゼニゴケと同じ環境で育つことからコケ類と勘違いされる植物があります。それが藻類です。和名にも「苔」と名付けられているものもあり、庭の芝生にムニョムニョと生えてくるのをみたことがある方も多いのではないでしょうか。
小さなシダ植物や種子植物でさえ苔類と間違わるものがあります。例えば、梅の木の幹についている緑色したものは「ウメノキゴケ」と名付けられていますが分類上は地衣類で、菌類や藻類が助け合ってできたものです。
ゼニゴケの繁殖能力
ゼニゴケは胞子で増える有性生殖と、無性生殖(娘細胞をつくり根をおろす)で繁殖しています。しかも驚くことに無性繁殖法も備えていて効率の良い増え方をする植物なのです。無性繁殖法とは動物などに踏みつけられ葉状体(葉や茎に見える部分)が切断されたとしても、切れた葉状体の切断面に新たな葉状体を再生するという驚きの繁殖の方法のことです。
ゼニゴケの生育環境
ゼニゴケなどのコケ類が生息するには、温度や湿度、そして、日当たりや土壌環境といった条件が整う必要があります。コケ類はこれらの微妙な条件の違いにあった苔が生えていて、1ヵ所に住み分けて生息している様は美しい苔庭を作り上げている場合もあります。一方で、人が踏みしめるといったような圧力には弱く、その回数が多い場所では枯らすこともあります。
生育条件① 湿度
ゼニゴケの好む環境は湿度の高い場所と思って間違いはありませんが、コケ類の多くは水分条件に幅広い適応性があり、ゼニゴケは特にその能力が高く気温に対しても適応能力が優れているので日本の北から南まで広く生息できています。コケ類は湿度を好むので梅雨や長雨の後で見かけることが多くなりますが枯れたように見えても再び水分を含むと、生き返えるカビと同じようなしぶとさがあります。
生育条件② 温度
ゼニゴケは実験材料としても培養されています。その場合は22℃前後の温度環境を用意します。温度が30℃前後が続くと生育は阻害されますが、半日蔭程度の温度や湿度があれば育ち、自然光(太陽光)に含まれる可視光線と遠赤色光を含む光を感じる環境が整うと安定した繁殖をします。
参考:2009 低温科学 vol.67、大和, 勝幸; 石崎, 公庸; 河内, 孝之
生育条件③ 土壌pH
日本にある普通の土壌はpHが4.5〜5.5位で弱酸性で、水分量は5~35%の範囲です。コケ類好む生育環境は土壌pHが4.5~7.0で土壌の水分量は5~35%の範囲になっています。このように日本の土壌はゼニゴケコケを含むコケ植物に適した土壌なので世界でもコケ植物の種類が最も多い国になっているのです。
参考:峠田宏 日本蘚苔類学会会報2-9、i1980
ゼニゴケの駆除方法とは
ゼニゴケが嫌う土壌づくりが大切
ご紹介の通り、ゼニゴケが育つには、必要な環境があります。(温度や水分条件、または日当たりなど)ただし、自然条件を変えることは難しく、また、ゼニゴケを①こさぎ取る②高圧洗浄機で除去するにはコストがかかります。あるいは③焼く、④熱湯をかける、といった方法も一考ですが、特殊な増殖をするゼニゴケは葉状体を残すと再び生えてきますので、抜本的な対策にはなりません。そこで、以下では、ゼニゴケの駆除方法として、高い効果が期待できる方法を3つご紹介します。
ゼニゴケの駆除方法① 土壌を乾燥させる
土壌の水分(湿度)を遮断する
ゼニゴケが生えている土壌の水分(湿度)を遮断してみましょう。一番簡単な方法は砂利のようなものを土に混ぜるか敷くことで水はけがよくなり乾燥した土壌になります。湿度がコントロールできればゼニゴケを枯らすことができます。音のでる砂利を敷けば防犯にもつながり好都合です。庭の模様替えや雑草の対策にもなり効果的な除去方法です。
出典:写真AC