ゼニゴケの駆除方法② 天然成分を使う
日当たりや水はけのよい乾燥気味の土壌にはゼニゴケを見ることはありません。ゼニゴケ退治に天然成分を使う場合は土壌のpHを変えること目的で使用します。
ゼニゴケが枯死する土壌条件
ゼニゴケは酸性の土壌を好んで生息します。コケ植物の生息域の土壌pHは4.5~7.0の範囲でギンゴケを用いた調査では、ギンゴケの切片が成長できずに枯死するpHは4.75以下の酸性土壌かpH10.81以上の強アルカリ性の土壌です。
一般的に水道水はpH 5.8~8.6の中性で、駆除するためには胃液(pH 1.2~2.5)のような強酸性か逆に強アルカリ性の液を準備することになります。ちなみに酸っぱいレモンのpHが2.31、お酢はpH2.80で強い酸性になります。清酒だとpH4.3、石けんはpH 7~10のアルカリ性です。(参考: 具 光 潤他、宇都宮大学野生植物科学研究センター、2006年度日本芝草学会春季大会 )
古くからの効果のあるとされる成分
ゼニゴケに効果のある成分として、古くから土壌の殺菌にも使われてきた木酢や消石灰があります。ゼニゴケを枯らせるように注意書を読んで取り扱いや、他の植物などを枯らさないように気をつけて散布します。効果を上げるためにはお天気の良い日を選ぶなど土壌のpH濃度を適切に保つ工夫をしましょう。
成分① 木酢液
木酢液のpHは2~3の強酸性の液で、竹や木材を使って炭を作るときに出る煙を使ってつくった液体です。土壌の殺菌にも使われ有機農法に貢献しているもので薄めて使っています。少し匂いが気になる人もいますがホームセンターに低価格で販売されているのでゼニゴケ退治のお試しなら木酢液は最適です。薄める濃度はゼノゴケが退治できるpHである強酸性になることを忘れないようにしましょう。
成分② 消石灰
消石灰とは、水酸化カルシウムの別名でpH12と強いアルカリ性で、こんにゃくの凝固剤として利用され園芸では酸性の土を中和するために用いたり土を消毒するために利用されています。鳥インフルエンザが流行した時の消毒に使われましたが、作業するにはマスクや長袖、手袋、メガネを着用し庭にある周りの植物への影響に注意します。消石灰を使うとゼニゴケは2~3日ほどで枯れる優れものです。
【豆知識】一方、「生石灰」の取り扱いは注意
生石灰は酸化カルシウムのことでアルカリ性です。食品の乾燥剤として広く普及し、園芸用でも土壌改良や肥料としての効果があるので使われています。ゼニゴケ退治にはお勧めできませんが、お菓子の袋に入っている乾燥剤は捨てずに再利用することは可能です。
ゼニゴケの駆除方法③ 除草剤を使う
除草剤としては、水溶性のものが多く市販されています。除草剤の中でも「ゼニゴケ専用」と記載された駆除薬がおすすめです。理由は溶液のpHが強い酸性かアルカリ性でゼニゴケの葉状体を枯らす働きがあり、さらに土壌のpHを調整してくれるからです。以下では、ゼニゴケの駆除におすすめ除草剤を3つご紹介します。
ゼニゴケ駆除におすすめの除草剤① ゼニゴケ退治に「コケレス」
- 製造元 レインボー薬品
- 容 量 1箱(25g×2包) )
- 成 分 酢酸ナトリウム、酢酸の溶液 pH4
- 価 格 ¥529
- 特 徴 土壌中に入ると炭酸ガスと水に分解され自然物になる。
ゼニゴケ駆除におすすめの除草剤② ゼニゴケとり、キレダー
- 製造元 カネショー
- 容 量 1箱(2g×10包) 3坪用
- 成 分 CAN(2-アミノ-3-クロロ-1,4-ナフトキノン) 25.0%(酸性)
- 価 格 ¥754
- 特 徴 ジョロで1包を水1ℓに溶いて1㎡あたりでまく。
ゼニゴケ駆除におすすめの除草剤③ コケそうじ ゼニゴケ専用スプレー
- 販売元 パネフリ工業
- 容 量 500ml(濃縮タイプあり)
- 成 分 乳酸、酢酸、グレープフルーツ種子抽出物(GSE)、抗酸化作用
- 価 格 ¥848
- 特 徴 化学合成成分を含まない環境にやさしく安心。イシクラゲには不向き。乳酸は酸性、 酢酸は弱酸性。
一般的な除草剤じゃダメなの?
雑草に効果のあるグリホサートなどの通常の除草剤は、ゼニゴケ退治には効果がありません。例えば、使いやすさで好評の「ラウンドアップ」も、カリウム成分を48.0%含み界面活性剤等が52.0%あるpH4.2~4.8の溶液なので、このpHだとゼニゴケを駆除することは難しくなります。
ちなみに、このようなグリホサートといった除草剤は、散布した成分が根や葉からも吸収され、光合成を妨げることで雑草が栄養を取れなくなり枯らしていく方法です。
まとめ
ゼニゴケは生命活動の仕組みを研究する材料として「大腸菌」や「ショウジョウバエ」「マウス」などと同じように古くから研究材料として栽培されています。また早い段階から遺伝子の構造を解析する材料にもなってゲノム解析を先導してきたモデル植物でもあるのです。テラリウムでは植栽に重宝がられているこのようなゼニゴケの一面も、ぜひ、詳しく知ってみてはいかがでしょうか。
- 1
- 2
出典:写真AC