芝生にコケが生える原因
芝生にコケが生える原因は、土壌の環境です。芝生が好きな環境とコケが好きな環境は、対極にあります。コケは芝生を直接枯らしませんが、芝生が枯れた場所にコケが生えることが多いようです。芝生が枯れた原因となる土壌が、コケの好む環境だからです。芝生に生えるコケはおもに「ゼニゴケ」という種類で、「イシクラゲ」という藻(も)が生えることもあります。
芝生のコケの除去方法
少しぐらいコケが生えていても気にならないからと、放置したままにしておくと大量発生につながります。コケはとても繁殖力が強い植物です。仮根はありますが根はなく胞子で増えるため、芝生の上でもコンクリートの上でも増殖します。なるべく繁殖の規模が小さいうちに、発見ししだい撃退するのがおすすめです。農薬や天然素材を使った撃退方法を見ていきましょう。
ボタニ子
仮根とは
仮根は「かこん」と読みます。仮根はコケが繁殖するときに芝生やコンクリート、ブロック塀などにはりつくためにあります。
芝生のコケの除去方法①除草剤を使う
コケの繁殖が広範囲に広がっている場合は、除草剤を使いましょう。通常の除草剤ではコケは撃退できません。通常の除草剤を使用すると、芝生が枯れてしまいます。コケ専用の除草剤がいくつか市販されているため、それらを選んでください。コケ専用の除草剤を使用しても、芝生は枯れないので安心です。
ボタニ子
芝生にコケが生えたって園芸屋さんに相談したら、全部芝生をはがすのがよいっていわれたの。でもちょっとおおがかりね。
ボタ爺
確かに芝生をはがす方法は確実だけれど、はがすことなくコケを撃退することもできるぞ。頑張ってみよう。
キレダー【アグロカネショウ】
参考価格: 3,886円
アグロカネショウのコケ用除草剤キレダー(水和剤)は、芝生に生えるゼニゴケや藻専用の除草剤です。芝生は枯れずにコケや藻だけが枯れます。水に溶いて使うタイプで、小さいものもあるため芝生の広さで選んでください。使用する際は週間天気予報を見て、1週間くらい晴れる時期を選びましょう。除草剤を散布したあと雨が降ると、薬剤が流れて効果が出にくいです。
手順(1)除草剤をまく
除草剤によって粉を水で溶くものや、原液を水で薄めるものなどあるため説明書に従って希釈液を作ってください。コケが生えている場所に、スプレーやじょうろでまきましょう。薬剤やコケの量によっても異なりますが、数日のうちに枯れます。薬剤をまく場合、液体が近所の川や雨水を逃す側溝に流れ込まないように注意してください。
ボタニ子
スプレーするときは、風向きに注意が必要ね。手袋、眼鏡、マスクをするとより安心よ。
手順(2)枯れたコケを処分する(サッチング)
枯れたコケをそのまま放置しておくと「サッチ」と呼ばれる老廃物として、芝生の土壌を汚してしまいます。刈りおわった芝生や引き抜いた雑草も同じで、除去する必要があります。これがサッチングです。ホウキでは集まらないので、レーキと呼ばれる熊手状のものでかき集めましょう。かき集めたサッチは、自治体の指定した方法でゴミとして収集してもらいます。
手順(3)芝生の土壌に穴を開ける(エアレーション)
サッチングできれいになったあとに、エアレーションという作業があります。コケが生えていた土壌は、かたく粘度状になっていて水はけがよくありません。新鮮な空気や水が、入りこめない状態になっています。直径1cm、深さ10cmほどの穴をまんべんなくあけて、空気や水、肥料が入りやすい状態にしましょう。
エアレーションする道具はどんなもの?
エアレーション用の道具はいくつかあります。一般的にはローンパンチと呼ばれる、フォークを大きくしたような形のものです。ローラー状のものにトゲがついていて押して回ると穴が開くものは、芝生が広範囲のときに役立ちます。歩き回れる範囲であれば、足の裏にトゲがついていてくつにバンドでとめるだけの、ガーデンスパイクシューズというものがおすすめです。
芝生のコケの除去方法②木酢液を使う
木酢液とは、竹炭や木炭を作るときに出た煙を冷やしてできる副産物です。土壌の殺菌や虫よけ、植物の成長を促したり、病気の予防をしたりする効果があります。小規模のコケであれば週に1回程度の散布を根気よく続けることで、撃退できます。天然成分なので劇的な効果は期待できませんが、除草剤を使用した後に予防的な意味合いで続けるのもよいでしょう。
純粋木酢液(自然派くらぶ日本漢方研究所)
参考価格: 715円
日本漢方研究所自然派くらぶの木酢液は、有機成分をなるべく残し高い精製度で作られました。ガーデニングだけでなく、入浴剤や洗濯の柔軟剤としても使える安全な商品です。土壌改善用に使う場合は、1Lの水に3mL~5mLをとかして散布します。
芝生のコケの除去方法③熊手(レーキ)を使う
手順(1)熊手でこそげ取る
サッチングをするときに使用した熊手は、直接コケをはがすこともできます。園芸用熊手にも大きさがいろいろあります。ハンディタイプもあるため、繁殖の規模が狭い場合はこまめにコケをはがしましょう。乾燥している時期のほうが、はがしやすいです。はがしたコケは放置せず、必ず処分します。コケは胞子で増えるため、落ちた胞子からまた新しいコケが繁殖してしまいます。
かがみ鍬 レーキ(千吉)
参考価格: 1,116円
千吉のかがみ鍬(すき)レーキは、全長が80cmと小型の熊手です。爪の長さは20cm、爪と爪の間は8.5cmです。広範囲の芝生にはもう少し大型の熊手が必要ですが、コケの発生が初期のときに役立ちます。アルミ製なので軽いのも特徴です。
手順(2)周辺の土を除去する
熊手でコケをはがす作業が終了したら、コケが生えていた周辺の土を除去します。理由は2つあります。1つ目は熊手ではがす最中に、コケの胞子が土壌に落ちている可能性があることです。2つ目の理由は、コケが好む土壌を芝生は好まないからです。土壌がかたくなり水や肥料、空気が入りこめない状態になっています。新しい水はけよいの目土(めつち)を足し、土壌改善をしましょう。
目土(めつち)ってなに?
芝生の上に土や砂をかぶせてまくことを、目土をするといいます。芝生の上から目土することで、凹凸をなくしたり土壌の調整をしたりできます。保温効果もあり地面の温度をキープし成長を促し、微生物が働くため取り残しのサッチの分解にも役立つのが目土です。エアレーション作業のあと、根が乾くのを防ぐ働きもします。
芝生の目土・床土(バロネス)
参考価格: 5,900円
バロネスの芝生の目土・床土は10kg入りが3袋セットになっています。内容は特殊処理をほどこした焼き黒土、最高級富士砂、ピートモス、有機フミン酸(死んだ植物を微生物が分解する際にできるものに含まれる物質)がバランスよく含まれています。水はけがよく、栄養分も入っていて地温が上がりやすいのが特徴です。
芝生のコケを除去する時期
芝生のコケを除去をする時期は、発生したことに気がついたときです。少しでもコケを発見したときが、撃退時期です。また、芝が枯れる冬の時期だと乾燥しているため、コケをはがす作業もはかどります。手ではがすことができ、広範囲の場合は冬がおすすめです。薬剤を使う場合はとくに時期をといませんが、雨が降ると効果が薄れるため、梅雨明け後や夏の晴れの時期に散布しましょう。
コケを放置しておくと、コケを食べにムシがよってくるわ。ナメクジや蛾の幼虫、ダンゴムシなんかはコケを食べるわよ。