スナゴケとは
スナゴケは日本では河原や湿った砂地に群落を作る、ライトグリーンの星形のコケです。コケは植物の一種ですが、一般的な草木とは大きく違いがあります。まずコケについて簡単にご説明しましょう。
コケとは
日本語の苔(コケ)は「木毛(こけ)」が語源と言われています。樹の幹や根元などに生えている小さな植物を総じて「コケ」と呼んでいました。コケは植物の中では蘚苔類(せんたいるい)に分類され、植物の祖先に近い存在です。一般的な植物と違うコケの特徴は、根から栄養を取り込むことがないことや、胞子を撒き散らして増えることなどが挙げられます。
苔の種類
コケは日本では約1,800種が知られており、蘚(せん)類、苔(たい)類と分類されています。日本以外ではあまり見向きもされないコケですが、日本では古くから庭作りで利用されるスギゴケ、園芸で欠かせない水ゴケ、苔玉で使うハイゴケなどが代表的です。
スナゴケの基本情報
スナゴケは日本の河原や山地の日当たりの良い砂地や岩のくぼみなどに群生する、ライトグリーンのコケです。水分が適量あれば直射日光が長時間当たる場所や、吹きさらしのところでも元気に育ちます。河原堤防の道路脇などで群落を見つけることができます。
名称 | スナゴケ(エゾスナゴケ) コバノスナゴケ ナガエノスナゴケ |
分類 | キボウシゴケ科シモフリゴケ属 |
学名 | Racomitrium japonicum |
分布 | 北海道〜九州 北半球温帯域〜亜寒帯域など |
スナゴケの葉の特徴
- 葉の付き方…茎に不規則にたくさんつきます。
- 色…ライトグリーンで先端は白っぽく、コケの仲間のなかではかなり明るい色の印象です。
- 形状…先の尖った長めの楕円形で、縁が外に反り返っています。
- 高さは3cm〜5cmくらいで直立しています。
スナゴケの蒴(さく)
蒴(さく)とはコケの胞子が入った袋のようなものです。コケが元気に生育していると、群落の中から長めの柄を伸ばします。その先についた粒のような部分が蒴です。蒴が伸びる時期は春が多く、スナゴケの蒴は長さ1.5cmくらいの柄の先に付いた、長めの卵形です。
スナゴケの根
コケの根は仮根と呼ばれ、養分を取り入れたりする部分ではなく、またコケ自体を固定するためのものでもありません。スナゴケの仮根はこげ茶色で短めです。群落になると厚みがあり、絡まっているので安定して生育ができることがわかります。
スナゴケの生態
スナゴケのギボウシゴケ科は蘚類に分類されています。コケは植物の仲間ですが一般の草木とは違う生態をしています。スナゴケの生態を詳しく見ていきましょう。
日あたり
スナゴケは自然の中では、河原や山地の日当たりの良い砂質の土や岩の上、石垣などにまとまった群落を作っています。コケとしてはめずらしく、直射日光が数時間あたる場所でも枯れることはありません。そのため直射日光の当たる屋上緑化にも利用されています。
ボタニ子
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