「海草」と「海藻」は違うもの?違い・見分け方をわかりやすく解説!

「海草」と「海藻」は違うもの?違い・見分け方をわかりやすく解説!

ワカメや昆布で知られている「カイソウ」ですが、漢字表記の「海草」と「海藻」の違いを考えたことのある人は意外に少ないかもしれません。この記事では「海草」と「海藻」にはそもそも違いがあるのか、それとも同じものなのか、概要や特徴を踏まえて解説していきます。

記事の目次

  1. 1.カイソウには「海草」と「海藻」2種類の漢字がある!
  2. 2.「海草」と「海藻」は違うもの?
  3. 3.「海草」と「海藻」の見分け方
  4. 4.「海草」と「海藻」の言葉の使い分け
  5. 5.「海草」と「海藻」の共通点
  6. 6.「海草」も「海藻」もどちらも大切な海の資源!

カイソウには「海草」と「海藻」2種類の漢字がある!

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日本は海に囲まれた島国であり、ワカメや昆布などの「カイソウ」は日本人にとってとても身近な存在です。低カロリーで健康的なカイソウは、味噌汁やサラダなど和食メニューによく登場します。漢字表記には「海草」と「海藻」の2種類がありますが、それぞれ同じものを指すのか、そもそも全くの別物なのか、質問されると答えられない人は意外に多いです。

「海草」と「海藻」は違うもの?

出典:写真AC

「海草」と「海藻」は、同じ発音で表記も似ていることから同じものとして考えられがちですが、実はそれぞれ違う植物を指す言葉です。どちらも「海」という漢字が使われており、海の生物であることは間違いありません。例えばワカメや昆布は「海草」なのか「海藻」なのか、漢字だけでは分かりにくいですが、それぞれの概要を知ると判断がつきやすくなります。

海草とは

海草とは、海に生息している「多年草の種子植物」を指し、英語では「Sea(海)grass(草)」と表記します。海は広く海草の種類は豊富なように思えますが、実は世界的に見てみると全部で60種類ほどしか存在しません。日本でも絶滅危惧種に指定されているものがほとんどのため、基本的に採取できないと考えておきましょう。

ボタニ子

ボタニ子

世界に生息する海草は、アマモ科、イトクヅモ科、ベニアマモ科、カワツルモ科、トチカガミ科、ポシドニア科の全部で6種類があるよ!

日本に生息している主な海草

全体的に数は減ってきていますが、日本にもいろいろな種類の海草が生息しています。比較的温暖な南西諸島には、ウミショウブ、ボウアマモ、リュウキュウスガモ、マツバウミジグサなど種類が豊富です。そのほかの地域でいうと、北海道なら「スガモ」、本州周辺なら「コアマモ」「ウミヒルモ」などが挙げられます。

ボタ爺

ボタ爺

海草のひとつアマモは、別名「リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ」と呼ばれておるぞ。植物名としては最長なんじゃ!

海草は食べられる?

海草は、人魚のモデルになったともいわれている「ジュゴン」の主食として知られています。一部の海草は人間も食べられるようですが、基本的に食用として使われることはありません。絶滅危惧種のものが多いこともあり、店頭やレストランなどでみかけることはまずないです。

海藻とは

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海藻とは、海に生息している「藻類」のことです。藻類には非常に多くの種類がありますが、海藻に分類されるものは「肉眼で見えるある程度の大きさがあるもの」に限られています。主に食用として採取されますが、工業原料としても使われています。英名は「Sea(海)weed(雑草)」もしくは「Sea Vegetable(海の野菜)」です。

ボタ爺

ボタ爺

藻類とは、光合成をする生物のうち、地上に生息しているコケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称のことをいうんじゃ。

海藻の色

出典:写真AC

海藻は色によって「緑藻類」「紅藻類」「褐藻類」に分けられます。緑藻類は緑色色素であるクロロフィルが含まれているおり、緑色をしているのが特徴です。紅藻類は赤色色素であるフィコエリトリン、青色色素であるフィコシアニンが含まれており、紅色や紫色のものが多いです。褐藻類は赤褐色色素であるフコキサンチンが含まれ、黒褐色や黄褐色をしています。

ボタニ子

ボタニ子

緑藻類ではアオサやアオノリ、紅藻類ではフノリやテングサ、褐藻類ではワカメや昆布なんかが有名だよ!

食用にされている主な海藻

出典:写真AC

日本で食卓にのぼる機会の多いワカメ、昆布、モズク、のり、ひじきなどは全て「海藻」に分類されます。心太(ところてん)や寒天の材料になるテングサも海藻のひとつであり、見た目に海藻とわからなくても口にしているものが非常に豊富です。海外にも、アオサ、ダルス、イボノリ、ヒバマタ、ツノマタなど数多くの海藻が存在しています。

「海草」と「海藻」の見分け方

出典:写真AC

海草と海藻は、パッと見て見分けがつきにくい植物ですが、よく観察してみると違いがわかることが多いです。そのもの自体の様子や生えている環境など、見分け方のポイントを押さえて観察してみましょう。

見分け方①生息場所

海草と海藻は海に生息する植物に変わりはありませんが、生息場所はそれぞれ異なります。海草は、太陽光が海水面の10%以下になると生育できなくなるため、海域の中でも波の当たらない内湾や干潟になどの浅瀬に生息しています。一方、海藻は潮間帯から10mほどの深さの海底まで、生息地はとても幅広いです。特に岩場を好み、岩礁海岸に多く見られます。

見分け方②葉・茎・根

海草と海藻の分かりやすい違いは、「葉・茎・根がはっきり分かれているかどうか」です。海草は、地上に生息している種子植物と同じように葉・茎・根の区別がしっかり確認できます。藻類である海藻にはその区別がなく、藻類ならではの葉状体・茎状体・付着器で構成されています。種子植物のように葉や茎の境い目の区別がつきにくく、曖昧な作りが特徴です。

ボタニ子

ボタニ子

葉状体は葉のように、茎状体は茎のように見える部分を指すよ!付着器は根の役割を果たしているんだって!

海草と海藻の根の違い

海草にも海藻にも根はありますが、それぞれ役割が違います。海草の根は、地上の種子植物と同様に養分の吸収が主な働きです。海藻の根にあたる付着器は吸盤状の形をしており、さらにそこから仮根と呼ばれる細かな根が生えています。主な役割は、流されないように岩場に自身をしっかりと固定することです。

見分け方③増え方

海草は地上の種子植物と同じく花を咲かせ、「種」を作って増えていきます。花の種子は海流によって運ばれ、発芽させることによって生息域を増やします。藻類である海藻は種子植物と同じように雄株と雌株の受精によって増えるものもありますが、基本的には「胞子」で増えるのが特徴です。胞子も海水によって運ばれ発芽します。ちなみに海藻は花を咲かせません。

ボタニ子

ボタニ子

花が咲くかどうかも、海草か海藻か見分けるときに役立つポイントのひとつになるね!

海草の開花時期

海草の開花時期は種類によって異なります。例えば、ウミショウブなら6月~9月、リュウキュウスガモなら9月~1月、コアマモなら1月~6月、ボウバアマモなら7月~9月などです。全体的に開花時期が長めであり、地上植物のように派手ではなく控えめな花姿が特徴です。

ボタニ子

ボタニ子

次は、「海草」と「海藻」の言葉の使い分けについて説明していくよ!

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「海草」と「海藻」の言葉の使い分け

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