モロヘイヤは北アフリカが原産の一年草で、葉菜として流通している植物です。高温や乾燥に強く、家庭菜園でも気軽に育てられます。ビタミンやミネラル、鉄分やカロテンが豊富に含まれている栄養満点の野菜です。
園芸部類 | 野菜、葉菜 |
形態 | 一年草 |
樹高 | 30cm〜150cm |
花の色 | 黄色 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
モロヘイヤは栄養価が高く、暑さの厳しい夏場にもたくさん収穫できるため「夏バテ防止野菜」としても親しまれています。葉を刻むと、ネバネバしたオクラのような食感が楽しめるのが魅力です。香りや味に癖がなく舌ざわりがよいので、おひたしや和え物など、さまざまな料理に利用されています。
モロヘイヤは、花後にさや状の種子をつけます。種子の中に入っている種には「ストロファンチジン」という毒成分が含まれているのが特徴です。ストロファンチジンは、口に入れると吐き気やめまい、息切れや動悸を起こす恐れがあるため、取り扱いには十分に注意しましょう。
名前の由来は?
モロヘイヤは、アラビア語の「ムルキーヤ」が語源になっています。ムルキーヤとは「王様の野菜」という意味です。王様が病気にかかったときに、モロヘイヤで作ったスープを飲むと体力がみるみる回復した、という言い伝えに由来しています。
花言葉は?
モロヘイヤの花言葉は「体力回復」です。王様の体力が回復した、という名前の由来からつけられた花言葉といわれています。
種まきの時期 | 4月〜5月 |
植え付け時期 | 6月〜10月 |
肥料の時期 | 7月〜10月 |
花が咲く時期 | 9月 |
種取り時期 | 11月 |
収穫時期 | 6月〜10月 |
栽培適期は?
モロヘイヤは耐寒性がやや弱く、春に種まきをして、冬が来る前に収穫を終わらせるのが理想です。また、モロヘイヤは一年草に分類されている植物なので、収穫が終わって11月に種取りをしたら株ごと抜いてください。
モロヘイヤは、地植えでもプランターでも育てられます。プランターに植え付けると、庭がない家庭でもベランダ栽培が可能です。地植えにする場合は、直射日光に長く当てると葉がしおれやすくなるので注意しましょう。
日光にたっぷり当てて育てると、葉がやわらかくておいしいモロヘイヤが収穫できます。基本的には屋外で育てるのがおすすめですが、適度に日光が差し込む場所ならば、室内でも栽培が可能です。
モロヘイヤは、日当たりと風通しのよい場所で育てましょう。日当たりが悪いと、葉が黄色く変色したり、下葉から枯れ込んだりします。室内で育てる場合は、日光が差し込む窓辺に置きましょう。
モロヘイヤは連作障害を起こさないのが特徴です。毎年同じ場所に植え付けても栽培できますが、酸性の用土だと上手に育ちません。種まきの前や、苗の植え付け前に石灰などをすき込み、土壌の酸度を調節しておく必要があります。
露地栽培の場合は、苗を植え付ける前に畝を作っておきましょう。畝の高さは10cm〜15cm程度、畝の幅は80cm〜100cmほどにすると管理しやすいです。種を地面に直接まかずに、育苗ポットで発芽させ、15cm程度に成長するまで育苗してから植え付けます。
モロヘイヤは、水もちと水はけのよさを兼ね備えた用土で育てます。市販されている「野菜用培養土」や「草花用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒と腐葉土を混ぜ込んだ用土に、少量の石灰を加えた用土を使用してください。
地植えにする場合の土作りは?
モロヘイヤを地植えにする場所が粘土質の場合は、腐葉土や堆肥をたっぷりとすき込んでおきましょう。地面をよく耕して土をふかふかの状態にしておくと、根がよく伸びて健康で丈夫なモロヘイヤに育ちます。
モロヘイヤの種まきは4月〜5月に行います。地植えやプランターで育てる場合でも、一旦育苗ポットに種まきしましょう。3号ポットに、モロヘイヤの種を5粒〜6粒程度まいて、土を薄くかぶせます。草丈が15cmほどまで成長してから、地面に植え付けてください。
プランターで育てる場合は、15cm〜20cmほど間隔をあけて植え付けます。1つのプランターに2株を植え付けるのが目安です。株間が狭すぎると、成長が滞ったり葉が混み合ったりして、病害虫被害を受けやすくなるので注意しましょう。
モロヘイヤの発芽適温は25℃〜28℃のため、4月下旬の暖かくなってきた頃に植え付けるのがポイントです。あまりに気温が低いと発芽しませんが、20℃〜25℃を保てれば5日〜1週間程度で発芽します。気温がなかなか上がらず発芽しない場合は、新聞紙や藁などをかぶせて発芽を促しましょう。
育苗ポットに種まきをしたあとは、水切れを起こさないように風通しのよい日陰で管理します。芽が出てきて双葉の間から本葉が伸びてきたら、3本立ちになるように間引いてください。茎を3本仕立てにしてから育苗すると、葉に適度な栄養が行き渡りおいしいモロヘイヤに育ちます。
モロヘイヤの種はとても小さく、地面に直接種まきすると、種が雨で流れてしまったり土に埋もれてしまったりして、上手に発芽しない恐れがあります。プランターに植え付ける場合でも、育苗ポットで発芽させてから植え付けていきましょう。
モロヘイヤは乾燥に強く、地植えの場合は基本的に降雨のみで十分です。しかし、雨が全く降らずに地面が乾燥しすぎているようならば、様子を見ながら水やりをしてください。プランター栽培の場合は、土の表面が乾燥してからたっぷりと水やりをします。水切れを起こすと、葉がかさかさになったり、下葉から茶色く枯れ込んだりするので注意しましょう。
種まきをしてから発芽し、苗を定植する7月頃に元肥として緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおきます。植え付け後は、1カ月に1回の割合で追肥しましょう。株の周りに固形肥料を置き肥するか、規定の分量に薄めた液体肥料を施します。肥料の与えすぎは、肥料やけを起こして枯れる原因となるので避けてください。
室内で育てている場合は?
モロヘイヤを室内で育てる場合に有機肥料を使用すると、肥料独特の臭いが気になる場合があります。有機肥料ではなく化成肥料を使用すると臭いが気にならなくなり、コバエの発生を予防できるのでおすすめです。
モロヘイヤは葉がしっかりしているため、支柱に誘引する必要はとくにありません。しかし風が強く当たるような場所で育てている場合は、支柱を立てて株が倒れないようにしておくと安心です。モロヘイヤの株元に支柱をたて、ビニール紐などで固定しておきましょう。
モロヘイヤは気温が低くなると、成長が滞ったり株が弱ったりするため、適度な温度を保ちながら育てるのがポイントです。夏はマルチングを行う必要はありませんが、春先や秋の終わり頃に気温が25℃を下回るようならば、ビニールやバークチップを利用してマルチングを施しましょう。
発芽適温が25℃〜28℃のため、寒冷地の場合は「マルチ栽培」を行いましょう。育苗ポットに種まき後、用土を新聞紙や藁などで覆っておくと、用土の中の温度が上昇し発芽適温に近づけられます。本葉が5枚〜6枚ほどまで成長し、地面やプランターに定植できるようになったら、新聞紙や藁を取り除いても構いません。
モロヘイヤの茎が30cmほどまで成長したら、先端部分の細い茎を摘心していきましょう。先端部分を切ると、切り口から「側枝」をたくさん伸ばし、葉の収穫量を増やせます。また、栄養分が行き渡りやすくなるので、葉がやわらかく栄養満点のモロヘイヤが収穫できます。
モロヘイヤは、草丈が40cm〜50cmに成長したら収穫の適期です。葉の先端から、20cmほどの部分をハサミで切り取って収穫していきましょう。切り取った部分から外枝が次々と伸びてくるため、こまめにハサミを入れたほうがたくさんのモロヘイヤが収穫できます。
収穫するときに株元から切り取ると、外枝が成長しにくくなり収穫量が少なくなります。また、10月をすぎると葉が硬くなるため、なるべく9月の終わり頃までに収穫を終わらせるのがポイントです。
モロヘイヤは花後に種子をつけるため、翌年種まきで増やすために「種取り」という作業を行います。種子が茶色く立ち枯れてから、ハサミで切り取っていきましょう。種子を縦に割り、手で握り潰すようにして種取りをします。種まきに適した時期は4月〜5月のため、それまでは種を新聞紙などに包み、風通しのよい日陰で管理してください。
灰色カビ病は、梅雨時期に発生しやすいカビが原因の病気です。感染した部分が、灰色の楕円形状に変色するのが特徴で、葉の光合成が妨げられます。そのまま放置すると腐敗がはじまり、悪臭を放つようになるため、早めに切り取って処分しましょう。
うどんこ病は、感染した部分がうどん粉をまぶしたように白い粉をふくため、うどんこ病と呼ばれています。カビの菌糸が原因で発生し、葉がどんどん白い粉に覆われていくのが特徴です。感染した部分は薬剤を散布しても治せないため、ほかの部分への感染を防ぐためにも早めに処分しましょう。
ハダニは、やや乾燥した時期に発生しやすい害虫です。葉の裏側などの発見しにくい場所に寄生するため、発見が遅れると大量発生している恐れがあります。水を苦手な性質を利用して、雨を降らせるように株の上から水やりをして、ハダニの発生を予防しましょう。
ナメクジは、湿度の高い時期に発生しやすい害虫です。モロヘイヤの茎や葉の上を這うように移動するため、ナメクジが通ったあとは白くてネバネバした液体が付着しています。発見したら箸などを使用して、直接引き剥がして駆除しましょう。駆除が遅れるとナメクジがモロヘイヤを次々と食害し、葉が穴だらけになってしまいます。
出典:写真AC