モロヘイヤとは
モロヘイヤは、栄養価が高いことで人気の夏野菜です。刻むとでる独特のぬめりが特徴で、ビタミンやミネラルが不足しがちな夏に旬を迎えます。もともとはインドや地中海沿岸の地域で栽培され、日本には1980年代に伝わり本格的に栽培が始まりました。栄養価に加えて、さまざまな料理に利用できることが家庭菜園でも人気の理由です。
基本情報
園芸分類 | 野菜 |
科名 | シナノキ科 |
属名 | ツナソ属 |
原産地 | インド、地中海沿岸部 |
別名 | ナガミツナソ、タイワンツナソ |
収穫期 | 7~10月 |
日本では群馬、佐賀、栃木でモロヘイヤの生産量が多いよ!
名前の由来
モロヘイヤは、アラビア語で「王様のもの」を意味する「ムルキーア」という語源が由来です。古代エジプトの王様が重い病気になったときに、モロヘイヤのスープを飲んで回復したことから「王様が食べる野菜」という意味で名づけられました。ムルキーアの発音をもとに、日本ではより広く流通させることを目的として、「モロヘイヤ」と名づけられたのです。
ボタニ子
「モロヘイヤ」って変わった名前だと思っていたけど、エジプトの言葉が語源だったんだ~。
ボタ爺
うむ。モロヘイヤ普及のために「全国モロヘイヤ普及協会」を設立した飯森嘉助さんたちが、名前を呼びやすくしたんじゃ。
モロヘイヤの特徴
特徴①ぬめり成分
刻んだときにオクラのような「ぬめり」成分がでるのが、モロヘイヤの特徴です。この独特なぬめりの食感にはまる人も多いでしょう。モロヘイヤのぬめり成分は、水溶性の食物繊維です。ぬめり成分には、胃や消化器などの粘膜を保護したり、コレステロールの吸収を抑えたりする大切な働きがあります。
特徴②高い栄養価
栄養価が高いことも、モロヘイヤの特徴です。免疫力を高めるβ-カロテンは、人参やほうれん草よりも多く含まれ、かぜ予防やエイジングケアに効果的です。また、「発育のビタミン」ともいわれるビタミンB2が多く含まれているのも特徴で、皮膚や髪の細胞再生を助けます。ほかにもビタミン類全般やカルシウム、鉄分などのミネラル成分が豊富に含まれています。
ボタニ子
世界3大美女の1人、クレオパトラも美容と健康のために好んで食べたんだって!女性が嬉しい効果ばかりだね。
ボタ爺
緑黄色野菜のなかでもトップクラスで栄養価が高いんじゃ。
モロヘイヤの茎は食べられる?
モロヘイヤは夏バテ解消に効果的で調理も難しくないため、夏になると積極的に食事に取り入れている人も少なくないでしょう。しかし、高い栄養価がある一方で、モロヘイヤには毒性もあります。モロヘイヤのどの部分に毒性が含まれているのか、その危険性について食べる前に確認しておきましょう。
毒の正体は「ストロファンチジン」
モロヘイヤに含まれている毒は「ストロファンチジン」という成分です。この成分は、心筋の収縮力を高める強心作用があり、体内に入るとめまいや動悸、吐き気などの症状があらわれます。また場合によっては、心不全など命に関わる症状を引き起こすこともある、とても危険な成分です。
ボタニ子
危険な毒でこわい!モロヘイヤの食べ方ついて正しい知識が必要だね。
ボタ爺
その昔、アフリカの原住民はこの成分を毒矢として使っていたようじゃ。怖ろしいのう。
モロヘイヤの毒が引き起こす症状例
- めまい
- 動悸
- 吐き気
- 心不全
茎には毒がある?
モロヘイヤの茎は、時期によって毒性があります。茎が常に毒性があるわけでなく、毒性があるのは「収穫期を終え成熟した茎」です。したがってスーパーなどで販売されているモロヘイヤは、収穫期を迎えた食べごろの葉や茎なので、茎部分には毒性がありません。購入したモロヘイヤであれば、毒を気にすることなく安心して食べられます。
ボタニ子
スーパーで売られているのは、成熟前の若い茎なんだね!
ボタ爺
厚生労働省も「スーパーで売っているモロヘイヤには毒がない」としっかり告知しているぞ。
茎に気をつけるのは家庭菜園
茎の毒性に注意が必要なのは、家庭菜園でモロヘイヤを育てている場合です。家庭菜園の場合、「収穫期」を終えた茎の判断が難しいため、一般的には「葉」部分のみを食用として利用するのがよいとされています。収穫期を見極める自信がない人は、まだ若くて食べられそうな茎であっても、食用とするのはやめておきましょう。
ボタ爺
収穫を終える目安の1つは、「花が咲きはじめた」ことじゃ。
茎以外に毒がある部分
茎以外に毒性がある部分は「種」です。モロヘイヤは夏の収穫期を終えて秋に入ると、黄色い花を咲かせます。この花に毒性はありませんが、花後にできた実部分の種とさやに、強い毒性があります。また種から発芽したばかりの若い葉も、ある程度の葉数が揃うまでは毒性があるため、収穫期になってから食べるようにしましょう。
ボタニ子
市販のモロヘイヤには、種が入らないように厳しく管理されているから安心なんだね。
子どもやペットに注意
家庭菜園の場合は、種がはじけて地面に広がることがあります。危険なのは、小さな子どもやペットが誤って食べてしまうことです。種がはじけてしまうと小さくて気づきにくいため、あらかじめ実がつかないように花を摘んでしまうと安心でしょう。また、市販で売られているモロヘイヤの種にも毒が含まれているため、まくときは子どもやペットに注意が必要です。
平成8年、長崎県で家畜の牛にモロヘイヤの実つき枝を与えて、5頭中3頭が亡くなってしまった、という事例があるよ。
毒性のある茎や種を食べたときの対処方法
誤って毒を含んだ茎や種を食べてしまった場合は、できるだけ毒を体内からだす必要があります。下痢や嘔吐などの症状で水分が失われるため、水分補給をしっかりしてください。その後、体の状態にあわせて医療機関で診察を受けましょう。早急に対処するのがポイントです。
モロヘイヤの食べ方と注意点
下処理
モロヘイヤは調理をする前に下処理をしておくと時間の短縮になります。下処理の方法は、モロヘイヤを葉と茎部分に分けておくだけです。葉と茎を分けておくのは、それぞれ茹で時間が異なるためです。葉は付け根部分からちぎってください。茎は上部の1/2ほどを食用として使います。茎の下部分は、筋が硬いため使いません。水でさっと洗い、ざるにとっておきましょう。
ボタニ子
下処理は、市販のものでも家庭菜園で採れたものでも同じようにしてね!
生のまま食べられる?
モロヘイヤの葉部分は、生でも食べられます。下処理で葉をちぎったら、そのままサラダなどに混ぜてもよいでしょう。しかし、生の葉はえぐみが強く、加熱したときよりもぬめりがないため、モロヘイヤのおいしさを感じにくいかもしれません。生で食べる場合はサラダやスムージーなどにして、ほかの野菜と一緒に食べるのがおすすめです。
茹で方
- 鍋にたっぷりの水を入れて沸かす
- お湯が沸いたら小さじ一杯ほどの塩を入れ、茎部分を1分ほど茹でる
- 茎を茹で始めてから40秒ほどたったら、葉を入れ20秒ほど茹でる
- 葉の色が鮮やかになったら、葉と茎をボウルにとり冷水でさらす
- 手で水をぎゅっとしぼる
ボタニ子
モロヘイヤを茹でるのは、アク抜きもかねているんだって!栄養価を逃がさないために、さっと茹でるのがコツだよ。
ボタ爺
料理が水っぽくならないように、水分はしっかり切っておこう!おいしさが変わってくるぞ。
おすすめレシピ:モロヘイヤの万能常備菜
材料(2人分冷蔵庫で2~3日)
モロヘイヤ 1束
きゅうり 1本
オクラ 5本
★塩昆布 1つまみ
★醤油 小1
★胡麻油 小1
★白ごま 好きなだけ
キムチや梅、生姜やみょうがなどをプラスしてもおいしい!
作り方
- モロヘイヤは葉をちぎってさっと洗っておく
- オクラは塩をかけ、まな板で転がすようにしてうぶ毛をとる
- お湯を沸かしオクラを茹でる
- そのままのお湯で、続けてモロヘイヤを茹でる
- 3と4を冷水にさらし、水気を切っておく
- おくら、モロヘイヤ、きゅうりをそれぞれみじん切りにする
- みじん切りにした野菜に、調味料をすべて混ぜて完成
ボタニ子
そのまま食べても、冷奴やご飯にかけても◎!小さな子どもにもおすすめだよ。
食べ方の注意点
モロヘイヤを食べるときに注意することは、毒性がある茎と種を食べないことです。スーパーなどで売られているものは基本的に安全ですが、万が一のことがないように購入する際にはよく確認するとよいでしょう。家庭菜園で育てている場合は、必ず収穫期を迎えたモロヘイヤの葉を食べるようにしてください。
食べ方の注意点
- 家庭菜園でモロヘイヤを収穫する場合、収穫期を終えた成熟した茎は毒があるため食べない
- 種は茎よりも強い毒があるため食べない
- 種から発芽したばかりの若葉はまだ毒があるため食べない
ボタニ子
食べ方の注意点の総まとめだよ。これでバッチリかな?安心しておいしくモロヘイヤを食べてね!
まとめ
モロヘイヤは栄養が豊富で、疲れやすい夏に効果的な野菜です。成熟した茎や種には毒がありますが、正しく食べれば栄養面で心強いサポートをしてくれます。のどごしやあと味がさっぱりとしているため、飽きずに食べられるのも嬉しいところです。ネットなどにはレシピが多くでているので、上手に活用してください。おいしく食べて夏を乗り切りましょう。
出典:写真AC