はじめに
モロヘイヤの原産地
モロヘイヤの原産地として有名な国はエジプトやインドです。エジプトでは王様の野菜と呼ばれ、古くから葉が食されています。また、クレオパトラはモロヘイヤで美しさを保っていたともいわれています。高温な気候や乾燥にも強い植物ですが、日本の気候では冬越しはできません。家庭菜園では梅雨や台風の時期に注意しましょう。
モロヘイヤの栽培環境
モロヘイヤは摘芯をして短めに育てていればプランター栽培も可能です。栽培できる時期は夏がメインで冬越しは難しいですが、丁寧に管理すれば初秋までなら収穫できます。挿し木で増やせますので、菜園で育てながらその側枝をプランターへ移植するのもよいでしょう。今回は家庭菜園での栽培日誌です。コンパニオンプランツで害虫を防除する方法もご紹介します。
モロヘイヤの毒性について(栽培上の注意)
普段は見かけない部分ですが、モロヘイヤの「さや」、また、それに含まれる「種子」「発芽して間もない若葉」には、毒性が含まれるため、間違っても口にしないように注意しましょう。このモロヘイヤの毒性は、昔のエジプトでは猛毒として矢じりに使ったりするくらいで、現代でも誤って口にして、心筋梗塞をおこす事故がおきています。
モロヘイヤの栽培スケジュール
栽培地 | 種まき時期 | 収穫時期 |
冷涼地 | 5月中旬~6月初旬 | 6月~10月中旬 |
中間地 | 5月~7月初旬 | 6月~10月下旬 |
暖地 | 4月下旬~7月初旬 | 5月下旬~11月初旬 |
種まきや収穫の時期は上記のとおりですが、モロヘイヤは冬越しができません。モロヘイヤは短日条件で花芽が形成されはじめ、地域差はありますが、日の出が遅くなり日の入りが早くなる秋以降は花芽分化が進みます。短日とは1日の日照時間が短くなることで、この条件の野菜は基本的に冬越しできません。冬越しができる野菜は秋以降に育てられるものです。
ボタニ子
モロヘイヤに花が咲いたら、もう食べられないのかな。
ボタ爺
種がつきはじめたら葉もかたくなるけど、すぐに食べられなくなるわけではないね。
畑とは別にプランター栽培も並行して温室などの暖かいところで管理できれば、少しは収穫時期を延ばせます。プランター栽培は、摘芯や古い側枝を取り除くことが大切です。
モロヘイヤの育て方①種まきの準備
種の取り扱いには注意
モロヘイヤの種子には「ストロファンチジン」という毒性が含まれています。種袋の裏面には「人畜が食べないように」との注意書きがあります。家庭菜園ではお子様と楽しんでいる人もおられるでしょうから気をつけてください。
モロヘイヤの育て方②種まき(5月2日)
今回は苗を作ってみます
モロヘイヤは直まきも育苗もできます。種袋の解説によると「直まきもできますが、種が小さいので苗を作ったほうがよいでしょう」と書かれており、今回は育苗(温室ハウス内)することにしました。元々、発芽初期の生育は遅いので、家庭菜園で直まきをする場合は朝晩の気温の目安が20℃です。
発芽から定植までの管理
上記の写真では見にくいですが、1穴に4粒まいています。本葉が5枚~6枚で定植できます。発芽するまでは、しっかり水やりが必要です。保管状態によっては、発芽後の水やりを神経質になる必要はありません。生育状況を見ながら、健康そうな2本を残し、残りは間引きしてしまいます。
間引き苗は移植できます。プランター用で育てるのもよいでしょう。
モロヘイヤの育て方③発芽(5月5日)・育苗
発芽適温の管理
種まき(5/2)より3日目で発芽を確認しました。発芽に際しての適温は20℃~30℃です。温度が低いと発芽が極端に悪くなります。日中と夜間の気温差が激しい時期ですので、ビニールハウスでの管理がよいです。なければ、畑に簡易型のビニールトンネルを作って夜間はそこで保管しましょう。
発芽までの水やり
育苗中の水やりは抑えめですが、発芽するまではしっかりと行います。ただし、タイミングは気温の低い時間帯、朝と夕方がよいです。日中の高温状態で水やりをすると、根に負担をかけてしまう恐れがあるからです。
発芽後は毎日の生育状況を確認
苗ごとの成長の差をよくみる
5月2日に種まきをしてから15日が経過しました。4粒播きですが、だいたい2~3粒の発芽です。種袋に書かれている発芽率は75%以上ですので、順調でしょう。すでに成長に差が出始めています。
温度管理にも注意
ビニールハウスでの育苗ですが、温度管理には気をつけています。生育適温は20℃~30℃です。日中はハウスを閉め切ってしまうと30℃を超える恐れもあり、扉と側面に隙間を開けて風通しをよくします。逆に夜間は気温が下がるので、閉め切るようにしています。
水やりはほどほどに
モロヘイヤはエジプトが原産地なので、高温乾燥には強いです。水やりは朝は7時頃、夕方は6時頃の1日2回の散布です(筆者は勤め人のため出勤前と帰宅後にしていました)。ただし、1回の量をそれほど多くはなく土の表面が湿るくらいに抑えています。
次のページでは、土づくり、定植・間引き、害虫対策についてご紹介します。
出典:写真AC