モロヘイヤの毒性とは?
モロヘイヤには、毒性をもつ部位があり誤って食べると大変危険です。栄養価が高く体によい野菜として青汁など健康食品に使われ、家庭菜園で栽培している方も多いかもしれません。食べるときは収穫時期と摘み採る部位に注意が必要です。毒を含んでいる部位や調理する際の下処理の仕方など、誤った食べ方をしないようにモロヘイヤの毒性を知りましょう。
毒を含む部位
モロヘイヤは、収穫期を過ぎた茎や完熟した種子に毒があります。この毒はステロイド系の「ストロファンチジン」と呼ばれる猛毒です。食べると動悸や吐き気、めまいや下痢などを引き起こすといわれています。特に黄色い花が咲いた後にできる鞘(さや)の中の種子は、フグ毒に匹敵するほど強い毒があるとされています。誤って食べないように注意しましょう。
中毒症状として食欲不振、下痢、起立不能、沈欝、体温低下、心拍微弱が報告されています。
引用元:農研機構
毒性のある危険部位
- 実が茶色く色づいた状態の成熟した種子
- 実が緑色の状態の成熟中の種子
- 種から芽が出たばかりの若葉
モロヘイヤを調理するときの下処理
モロヘイヤは、アクがあるため下処理が必要です。軽く水洗いしたモロヘイヤから葉をちぎり、茎は穂先から2/3くらいの部分を切ります。茹で時間が異なるため、茎と葉を分けて時間を測って茹でるのがポイントです。茹で過ぎるとビタミンが湯に溶け出てしまうため、色が鮮やかになったらザルにあげて冷ましましょう。
下処理の手順
- 茎と葉をわける
- 鍋にたっぷりの湯を沸かす
- 塩を多めに入れる
- 湯が沸いたらモロヘイヤを入れる
- 茎は1分、葉は20秒を目安に茹でる
- 茹で終わったらザルにあげる
- 冷水にとり冷ましてから水気をきる
ボタニ子
モロヘイヤは鮮度が落ちると繊維が硬くなります。新鮮なうちに下処理するのがポイントです。
モロヘイヤのおすすめの食べ方
モロヘイヤは日持ちしないため、収穫したら1~2日以内に食べましょう。一度茹でてアク抜きをしたほうが食べやすいです。おひたし、スープ、和え物のほか、味噌汁や天ぷらにしてもおいしく食べられます。すぐに食べないときは、冷凍保存がおすすめです。軽く茹でた後しっかり水気をきって、ラップに包んで保存袋に入れて冷凍します。1食分ずつ冷凍しておくと、調理するとき便利に使えます。
おすすめの食べ方①おひたし
モロヘイヤのおひたしは、サッと茹でるだけで簡単に作れます。味付けには、しょう油や昆布つゆ、ポン酢など好みの調味料を使って作りましょう。夕飯の副菜や酒のつまみにおすすめです。
材料(2人分)
- モロヘイヤ:1袋
- かつお節:好みの量
- 昆布つゆ(または、しょう油):好みの量
- 塩:少々
レシピ
- モロヘイヤや葉と茎にわける
- 湯を沸かし塩を入れる
- 先に茎を茹で、葉を後から茹でる
- 冷水にさらして水気をきる
- 昆布つゆで和える
- かつお節をのせて、できあがり
おすすめの食べ方②モロヘイヤスープ
モロヘイヤスープは、古くから伝わるエジプトの国民食です。暑い砂漠の国ではスタミナ満点の「薬」のような扱いをされており、クレオパトラが愛した料理といわれています。食欲が落ちてしまう暑い夏には、栄養豊富で食べやすいモロヘイヤスープがおすすめです。
材料(4人分)
- モロヘイヤ:1袋
- トマト:中2個
- 玉ねぎ:1個
- 白ごま:少々
- 水:1L
- 鶏ガラスープの素(顆粒):大さじ6
- 塩こしょう:少々
レシピ
- モロヘイヤを葉と茎にわけ軽く塩ゆでする
- トマトを食べやすい大きさに切る
- 玉ねぎを薄切りする
- 鍋に水を入れ沸騰させる
- 湯に玉ねぎとトマトを入れて煮る
- 茹でたモロヘイヤを入れて煮る
- 鶏がらスープの素を入れる
- 塩こしょうで味を整える
- 白ごまを入れて、できあがり
おすすめの食べ方③和え物
モロヘイヤは、強い粘りが特徴です。細かく刻んで納豆やオクラと和えてみましょう。すりおろした長芋と生卵を加えれば、栄養がたっぷり入った胃腸にやさしいメニューになります。モロヘイヤを細かく刻む前に、まな板を水で濡らしておくと「ぬめり」がつきにくいです。
材料(4人分)
- モロヘイヤ:1袋
- 納豆:2パック
- 長芋:5cm
- オクラ:10本
- しょう油:大さじ1/2
- 練りからし:少々
- かつお節:好みの量
- 生卵:好みで
- ミニトマト:好みの量
レシピ
- モロヘイヤを茹でて冷ます
- 水気をきって細かく刻む
- オクラを茹でて刻む
- ボウルにモロヘイヤ、オクラ、納豆を入れて混ぜる
- 長芋をすりおろして入れる
- しょう油、練りからし、かつお節で味を整える
- 好みで生卵とミニトマトを添えて、できあがり
安全なモロヘイヤの見分け方
安全なモロヘイヤは、草丈の育ち具合と黄色い花が咲いているかで見分けます。スーパーなどで販売されているモロヘイヤは、完熟した安全なものが出回っているため食べても大丈夫です。家庭で栽培している場合は、草丈が50~60cmほど成長した収穫期の若葉と茎を食べるようにしましょう。9月頃に黄色い花をつけますが、咲き始めると茎に毒が集まりだすため、収穫をやめ食べないようにします。
収穫できる安全なモロヘイヤ
- 若葉の先端から約10~20cmの部分
- 手で折れるくらい柔らかい茎
- 葉先がピンとして張りがあるもの
- みずみずしく鮮やかな緑色の葉
モロヘイヤとはどのような野菜?
モロヘイヤは、アフリカ北部~インド西部が原産地で6~9月に旬を迎える夏の代表的な野菜です。エジプトの王族がモロヘイヤスープを飲んで病気を治していたといわれ、滋養強壮によい食材として古くから親しまれています。クレオパトラが健康と美容のために摂り入れていたという逸話があり、日本でも美容によく栄養価の高い健康食として人気があります。
ボタニ子
モロヘイヤは、重病だったエジプト王がモロヘイヤスープを飲んで病を治したという故事から「王様の野菜」とも呼ばれています。
特徴
モロヘイヤの葉は、縁にギザギザがありシソ(紫蘇)の葉によく似ています。この葉を刻むとオクラのような強いヌメリが出るのが特徴です。青臭さやクセがないため、さまざま調理法が楽しめる緑黄色野菜です。主に群馬県、佐賀県、栃木県で生産されており、6月頃から出回り始め8月に出荷のピークを迎えます。
栄養と効能
夏に旬を迎えるモロヘイヤは、ミネラルやビタミン類、カルシウムや鉄分が豊富です。特にβカロチンが皮膚や粘膜を保護し免疫力を高めてくれるため、風邪の予防に効果があるといわれています。また、ほうれん草を大きく上回る豊富なミネラル類は、育ち盛りの子供の骨格や歯の成長に役立つでしょう。健康な体作りに必要な栄養素がたっぷり含まれているのがモロヘイヤの魅力です。
粘り成分の効能
モロヘイヤの粘り成分は「ムチン」と呼ばれる水溶性食物繊維です。とろろのような粘りが糖の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を抑える働きがあり糖尿病に効果があるとされています。また、弱った胃壁を保護し便秘解消など胃腸を整える効能や、夏バテ防止にも期待できるでしょう。
ムチンやペクチンなどの食物繊維の一種で、血圧を下げる効果や腸で糖質を包み込んで吸収を抑える働きがあるので食後の血糖値の上昇を抑えます。
引用元:総合南東北病院 健康倶楽部
モロヘイヤは花が咲く前に食べましょう!
モロヘイヤは、古代から栽培されてきた歴史ある葉野菜です。栄養価が高く家庭で育てている方も多いかもしれませんが、毒に気をつけて収穫する必要があります。花が咲く前の葉を食べるようにし、花が咲いたら摘みとるのをやめます。モロヘイヤには毒性があることを知り、安全な食べ方を心がけましょう。
出典:写真AC