クマバチってどんな蜂?ずんぐり丸い姿がかわいい?!
クマバチはミツバチ科クマバチ属の昆虫の総称
クマバチには約500もの種類がある
クマバチはミツバチ科クマバチ属の昆虫の総称でハナバチの仲間です。約500種類いるといわれ、北海道から九州にかけて日本に広く生息する「キムネクマバチ」を一般にクマバチと呼びます。
クマバチと呼ばれるのはなぜ?
「クマバチ」の名前は、姿が「熊」に似ているから
クマバチは漢字で「熊蜂」と書きます。黒くてずんぐりした姿が熊を連想させることから名付けられました。地方によっては、「クマンバチ」とも呼ばれます。
よく見るともふもふでかわいい
もふもふのマフラーを巻いたようなかわいい姿
クマバチは体長21mm~23mmほどで、全体的にずんぐりして丸く、真っ黒い体をしています。よく見ると、胸部にもふもふした黄色の毛があり、マフラーを巻いたような姿をしています。
クマバチ(熊蜂)基本情報
- 分類:ミツバチ科クマバチ属
- 学名:Xylocopa appendiculata circumvolans
- 英名:Carpenter bee、Japanese carpenter bee
- 種類:約500種類あるとされ、日本では「キムネクマバチ」をクマバチと呼ぶことが多い。
- 体長:21mm~23mmほど
クマバチの生態と特徴①寿命は1年~数年
クマバチの寿命は1年~数年
クマバチの平均寿命は1年で、長くても2~3年ほどといわれます。4月~10月にかけて盛んに活動します。春になると、オスのクマバチが繁殖期を迎えて、縄張り内でホバリングをしてメスを待つ姿をよく見かけます。
クマバチの生態と特徴②吸蜜して花の受粉を助ける
セージや藤の花が大好き
クマバチは花の蜜や花粉をエサとし、他の昆虫を襲うことはありません。特にセージなどのシソ科の花や藤の花を好み、藤棚や公園でクマバチの姿を見かけます。吸蜜し、花から花へ花粉を運んで受粉を助けます。
クマバチの生態と特徴③一年に2度子育てする
春にクマバチは大きさ15mmほどの卵を約8個産みます。卵は7月頃に羽化しますが、翌年まで未成熟な成虫(亜成虫)として巣で過ごし、花粉や蜜を親から分けてもらいます。4月~6月に一回目の子育てが一段落すると、8月~10月にかけて二回目の子育てを行います。クマバチは巣の入り口付近にこの未成熟な成虫がいるために、外部から天敵の侵入を防ぐ助けになっていると考えられます。(参考:ウィキペディア「クマバチ」/小さな園芸館「クマバチ」)
クマバチの生態と特徴④木材や竹垣に巣を作る
「Carpenter Bee(大工バチ)」の英名を持つほど巣作り上手
クマバチは英名で「Carpenter bee(大工バチ)」と呼ばれます。これはクマバチが木や竹垣にしっかりとした巣を作るためです。クマバチのメスは交尾のあと、巣作りを始めます。木材や竹垣に強靭なあごで穴を開け、区切りを作って部屋を分けて、その一つ一つに卵を産み育てます。丈夫な巣を作るので、同じ巣を何代にも渡って使い続けることもあります。
近い場所に複数のクマバチが巣作りすることも
クマバチは巣の周りで他の蜂を追い払う(排斥行動)ことが少ないので、同じ木材や、近い場所に複数の個体が巣を作ることもあります。
巣を作られると、家屋の腐食や害虫が侵入する被害も!
竹垣はクマバチにとってちょうどよい大きさの穴が開いたものもあり、巣に利用されやすいです。また軒下も雨がしのげ、梁(はり)が木でできているとクマバチが巣を作りやすい場所です。家屋の木造部分に巣を作られると、そこから他の害虫が入ってきたり、家屋そのものの強度が落ちる、腐食し始めるなどの影響が出てくるため、場合によっては駆除が必要になります。(参考:生活110番「クマバチの駆除が必要!建物への意外な影響とは!?」)
クマバチの生態と特徴⑤おとなしくてかわいい蜂?
クマバチはおとなしい性格で攻撃性は低い
大きな羽音で近づいてくるので怖いと思われがちなクマバチ。羽音をさせてついてくるのは、オスのクマバチです。オスは、「動くものがメスのクマバチかどうか」を近づいて確かめる習性があるため、人間でも物でも動くものについてくるような動きをしますが、おとなしい性格で攻撃性は低いとされます。
クマバチの生態と特徴⑥単独行動をとる
スズメバチなど他の蜂は集団行動をとるものが多いですが、クマバチは単独行動をとる点が大きく異なります。集団で生活を営む蜂は、それぞれの役割分担がなされていて、巣を守らなければならないときにすぐに攻撃できるよう態勢を整えています。このことが蜂の種類による攻撃性の違いにもつながるとされ、集団生活を営まないクマバチがおとなしいといわれる理由の一つです。
クマバチの生態と特徴⑦刺すのはメスだけ!
クマバチの針は産卵管が変化したもの
クマバチのオスとメス、どうやって見分ける?
クマバチのオスには針がありません。毒針は産卵管が変化したもので、刺す危険性があるのはメスのクマバチだけです。
クマバチのオスとメスの分かりやすい違いは、顔に黄色い紋があるかどうかです。オスには黄色い紋があり、メスにはこれがなく、真っ黒な顔をしているのが特徴です。とはいえ、顔に黄色い紋があるかどうかはかなり近づかないと分かりにくいため、むやみに近づかないほうが良いでしょう。
クマバチに触ってみると……
クマバチのオスに触ってみた動画をご紹介します。オスのクマバチは毒針を持たないのですが、捕まえられると刺す真似をする様子が分かります。(※メスには針があって、刺すことがあります!オスかメスかはっきりしないときはむやみに触らないようにしましょう!)
クマバチの毒性は強い?
他の蜂に比べ毒性は低い
毒性は低いものの、アナフィラキシーにご注意を
クマバチの毒針は太く、刺されると激しい痛みにおそわれますが、毒性は他の蜂に比べて低く、刺された後の炎症もそれほどひどくないといわれます。ただし、アナフィラキシー反応を起こす場合があるので、要注意です。アナフィラキシー反応を起こすと、じんましんや呼吸困難などの症状が出て、ひどい場合は生命に危険を及ぼしかねません。
クマバチに刺されないために気を付けるべきこと
刺される危険性は?
繁殖と巣作りが盛んな5月~10月はご用心!
クマバチは普段めったに刺してくることはないのですが、繁殖と巣作りが盛んな5月~10月にかけて通常より少し攻撃性が増すので、刺される危険性が高くなります。
クマバチに刺されないためには?
巣にはむやみに近づかず、手で振り払わない
うっかり巣に近づかないよう気を付けましょう。動くものを刺そうと追いかけてくることがあるので、怖いと思ったら動きを止めましょう。手で振り払うと、かえってクマバチを刺激してしまうので、我慢しましょう。
枯れ木など木材を放置しない
枯れ木は柔らかいのでクマバチにとっては穴を開けやすく、恰好の巣作り材料になります。庭など敷地内に置きっぱなしにするのは避けましょう。
まとめ
ブーン!と大きな羽音が近くで聞こえるとつい身構えてしまいますが、クマバチはスズメバチなどのように怖がる必要はありません。針を持つのはメスのみで、刺してくることも少ないおとなしい蜂です。とはいえ、刺されるとアナフィラキシー反応が心配ですので、うっかり巣に近づいたり、刺激したりしないよう注意しましょう。生態や特徴を知れば、藤棚で蜜を吸うクマバチのずんぐりした姿がいっそう可愛く見えそうですね。
出典:写真AC