ソルゴーとは?その特徴・種類と利用方法!障壁栽培や防風対策の効果について

ソルゴーとは?その特徴・種類と利用方法!障壁栽培や防風対策の効果について

ソルゴーという作物をご存知ですか?たかきびやコーリャン、ソルガムなどさまざまな呼び名があるソルゴーですが、利用方法も幅広い作物です。この記事ではソルゴーの種類や特徴、農業利用、畜産利用、食用利用などの利用方法について解説します。

記事の目次

  1. 1.ソルゴーとは
  2. 2.ソルゴーの特徴
  3. 3.ソルゴーの種類
  4. 4.ソルゴーの栽培方法
  5. 5.ソルゴーの利用方法①障壁栽培
  6. 6.ソルゴーの利用方法②防風対策
  7. 7.ソルゴーの利用方法③牛の飼料
  8. 8.ソルゴーの利用方法④緑肥作物
  9. 9.ソルゴーの利用方法⑤食用作物
  10. 10.まとめ

ソルゴーとは

ソルゴー
Photo bysarangib
ボタニ子

ボタニ子

ソルゴー?あまり聞いたことがない植物だね。どんな植物なのかな?

ソルゴーは、別名モロコシやたかきびっていうんだよ。世界5番目の栽培面積を占める穀物なんだよ。

ボタニ子

ボタニ子

たかきびなら雑穀で聞いたことがあるかも。メジャーな穀物ではないなら、あまり日本では栽培されていないのかな?

ソルゴーのすごいところは、利用の範囲がとても広いことなんだ。日本でもいろいろな目的で栽培されているソルゴーのことについて解説していくよ。

基本情報

学名 Sorghum bicolor
英名 sorghum、Great milet
別名 モロコシ、高黍(たかきび)、コーリャン、ソルガム
分類 イネ科
形態 一年生草本
原産地 エチオピア

ソルゴーはイネ科ソルガム属の一年草で、茎は直立し高さが1mから4mを超える大きな植物です。葉の形はトウモロコシに似た幅広の長い形になります。夏になると、茎の先端から穂が出て、最終的にはたくさんの実を付けます。

歴史

アフリカ
Photo byqimono

ソルゴーは北東アフリカで紀元前から栽培されていたといわれ、古くから穀物利用や飼料利用として栽培されてきました。その後、世界各地に伝播し日本に伝来したのは中国経由で室町時代といわれています。その後、ポルトガルから伝来したトウモロコシは、当時のソルゴーの呼び名である「モロコシ」に姿が似ているということで「唐(中国)のモロコシ」で、「トウモロコシ」という名前になったとのことです。

ソルゴーの特徴

ソルガムの葉

コーンの葉
Photo byanalogicus

ソルゴーの葉は幅広で長く、二酸化炭素をたくさん取り込める葉緑体システムをもっています。このシステムをもっている植物をC4植物といい、同じ仲間にトウモロコシが含まれます。C4植物は強光下でも光合成速度を落とさずに養分を生成できるため、乾燥や干ばつの環境に強く、夏場にどんどん伸長できます。

ソルガムの茎

トウモロコシの葉
Photo byfietzfotos

ソルゴーの茎は非常に高く伸びますが、しなやかで硬さがあり、風で倒れにくいです。それでいて、繊維がほどけやすく、土壌中の微生物や消化酵素によって分解されやすいです。また、トウモロコシと比較すると再生能力が非常に高く、一度刈り取ってもすぐに生えてくるため、何度も収穫することができます。

ソルガムの種

ソルガムの子実出典: https://sorghum.jp/wordpress/wp-content/uploads/2014/09/sorghum1_2.jpg

ソルゴーの種の大きさは他の穀物に比べて小さいです。大きさは3~5mm程度で、千粒分の重さは25gほどでコメと同じくらいの重さになります。食物繊維を多く含み、鉄やマグネシウムなどのミネラル分に富んでます。種皮に色がついているのは、タンニンの成分によるもので、ポリフェノールなどの抗酸化物質が含まれていますが渋いため、黒い子実は食用に回されず「マイロ」という名前で鳥の餌になっていました。

ソルゴーの種類

ソルゴーの最大の特徴は、その形や多汁性などの生態的特徴に多くの種類をもち、収量や成長速度が品種によって異なることにあります。これにより、さまざまな用途や場所による栽培が可能にはなりましたが、利用には種類ごとの特徴を理解しておくことが重要です。ここでは、日本で栽培・利用の観点から呼称されているソルゴーを含むソルガム属の5つの種類について解説します。

ソルゴーの種類①:子実型ソルガム

Photo bySchwoaze

子実型ソルガムは、実を採るために改良されたソルゴーです。機械で収穫しやすくするため、背の高さが低めになっています。

子実型ソルガムの特徴

  • 草丈が1.5m程度と短いため、手で扱いやすい
  • 穂重割合が高く、子実収量が多い
  • 代表品種はメートルソルゴー(タキイ種苗)や三尺ソルゴー(雪印種苗)

ソルゴーの種類②:兼用型ソルガム

ハイグレインソルゴー出典: https://www.snowseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/products/0105310_P01-e1549444498271.jpg

兼用型ソルゴーは、子実用と牧草用の両方の特徴をあわせもったソルゴーです。風に強く、収量が多いため牧草向きです。

兼用型ソルゴーの特徴

  • 草丈は2m前後と中程度のため、倒れにくい
  • 背の高さのわりに葉が大きいため、収量が多い
  • 代表品種は、ハイグレインソルゴー(雪印種苗)

ソルゴーの種類③:ソルゴー型ソルガム

東山交37号出典: https://www.pref.nagano.lg.jp/chikusanshiken/to37/images/to37sousi.jpg

ソルゴー型ソルガムはソルゴーの中から、茎葉部分の利用に重点をおいて改良されたものです。品種の幅が多様にあり、作付時期や利用用途に適した品種を選ぶことができます。

ソルゴー型ソルガムの特徴

  • 高さは2.5m近くまであり、最大で4m近くになるものもある
  • 茎が太く多汁性で糖含量が高い
  • 改良の幅が広く早生晩生の品種がそれぞれある
  • 代表品種は高糖分ソルゴー(雪印種苗)、高消化ソルゴー(カネコ種苗)

ソルゴーの種類④:スーダングラス

ベールスーダン出典: http://www.takii.co.jp/green/ryokuhi/sudangrass/img/p01.jpg

スーダングラスはソルゴーの近縁種となる植物です。多くのソルゴーの品種はソルゴーとスーダングラスを掛け合わせて造成されてきました。

スーダングラスの特徴

  • 草丈は1.8mで、穂重が小さいため倒れにくい
  • 茎が細く再生力が高い
  • 生育が早く、茎が多いため繁茂させやすい
  • 代表品種は、ヘイスーダン(雪印種苗)、ベールスーダン(タキイ種苗)

ソルゴーの種類⑤:スーダン型ソルガム

ラッキーソルゴー出典: http://www.takii.co.jp/green/ryokuhi/sorugamu/img/p02.jpg

スーダン型ソルガムはソルゴーとスーダングラスを掛け合わせてつくられた作物です。スーダングラスの再生力の強さとソルゴー由来の茎葉の多汁性をあわせています。

スーダン型ソルガムの特徴

  • 高さは2m程度で、地面から穂までの長さ(稈長)が長い
  • 茎が細く多汁性で葉が大きい
  • 再生力が高く、茎葉の分解性がスーダングラスより高い
  • 代表品種はBMRスイート(雪印種苗)、ラッキーソルゴー(タキイ種苗)
ボタニ子

ボタニ子

次のページではソルゴーの栽培方法と利用方法を紹介します。

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ソルゴーの栽培方法

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