珪酸塩白土(けいさんえんはくど)とは?用土としての効果や使い方を解説!

珪酸塩白土(けいさんえんはくど)とは?用土としての効果や使い方を解説!

珪酸塩白土というとあまりなじみはありませんが、「ソフトシリカ」や「ミリオン」という名前は知っている方も多いのではないでしょうか。珪酸塩白土は植物を丈夫に育てるのに、とても有能な資材なのです。どのような資材なのか効果的な使い方も含め、詳しくお伝えします。

記事の目次

  1. 1.珪酸塩白土とは?
  2. 2.珪酸塩白土の成分
  3. 3.珪酸塩白土の特徴
  4. 4.珪酸塩白土の効果
  5. 5.珪酸塩白土の使い方
  6. 6.珪酸塩白土を使った商品4選
  7. 7.珪酸塩白土の活用術
  8. 8.ゼオライトとの違いは?
  9. 9.まとめ

珪酸塩白土とは?

画像出典:筆者撮影

珪酸塩白土は「ソフトシリカ」や「ミリオン」などの商品名で知られています。どのような資材か、まずは概要からお伝えします。

正体はモンモリロナイト粘土

珪酸塩白土は鉱物名でいうと、「2:1型モンモリロナイト」になります。モンモリロナイトは、火山灰が風化してできた白色の粘土です。さらさらの粉末状のものからブロック状のものまで、さまざまな形態で流通します。

産出地は秋田県

「ソフトシリカ」は、秋田県横手市の八沢木地域でとれる珪酸塩白土の名称で、それが商品名にもなっています。正式名称は「軟質多孔性高度珪化珪酸塩白土」という長く難しい名前ですが、別名「八沢木白土」とも呼ばれます。

珪酸塩白土の成分

ケイ酸とアルミニウムが主成分

画像出典:筆者作成

粘土鉱物の多くは、珪酸(ケイ酸)とアルミニウムが主成分になります。割合比率は、珪酸:アルミニウムが2:1で、珪酸がアルミニウムを挟み込んだ構造をしています。

珪酸塩白土の成分一覧

珪酸塩白土は他にもさまざまなミネラル分を多く含みます。基本的な成分は下記の通りです。

珪酸塩白土(ソフトシリカ・ミリオン)成分一覧
珪酸(SiO₂)

72.96%

アルミニウム(Al₂O₃)

9.92%

カルシウム(CaO)

3.27%

マグネシウム(MgO)

こん跡

鉄(Fe₂O₃)

4.95%

ナトリウム(Na₂O)

4.98%

カリウム(K₂O)

0.13%

水分(H₂O) 3.81%

珪酸塩白土の特徴

特徴①水を吸うと膨らむ

珪酸塩白土は水を吸ってふくらみ、乾燥すると縮むという性質をもちます。 それを「膨潤性」 といいます。

特徴②イオン交換作用がある

画像出典:筆者作成

珪酸塩白土はとても細かい粒子で、水に溶けるとマイナスの電気を帯びたコロイド粒子になります。プラスの電気を帯びた多種のミネラルなどがくっついたり、離れたりすることで、イオン交換が可能になるのです。

特徴③pHの調整をする

酸性やアルカリ性に傾いた環境を中和し、珪酸塩白土自体のpH6.0に近づける性質があります。

珪酸塩白土の効果

珪酸塩白土を土壌改良材用土として利用した場合、どのような効果があるのか詳しく説明します。

効果①土の団粒構造を作る

画像出典:筆者作成

細かい粘土の粒子によって、バラバラの状態(単粒構造)の土をまとめる効果があります。そのため土は団粒構造化し、水持ちや水はけが向上します。

効果②通気性・透水性をあげる

水を吸って膨らむ性質により土にすき間ができ、空気や水が入りやすくなることで水はけのよい土になります。また、そのすき間に水を保っていくこともできるため、水持ちもよくなります。

効果③肥料を多く保つ

先に述べたイオン交換の性質により、プラスの電気を帯びた肥料成分を引きつけ保つことができます。土の中の肥料成分が不足してくると、そこから放出しバランスを整えます。

徒長を防ぐ効果もある

植物の伸びすぎは窒素肥料が多いことが原因です。珪酸塩白土は余分な養分を吸着させ、コントロールしてくれます。徒長を防ぐだけではなく、花や実をつきやすくする効果も期待できます。

効果④リン酸の吸収を助ける

土の中のリン酸はアルミニウムと結合しやすく、一度結合すると植物が吸収できない状態になります。珪酸塩白土は結合を解除し、リン酸が再び吸収できる状態にします。

効果⑤水を浄化する

Photo byqimono

汚れや不純物などの有害物質も引きつけることができるため、水が腐りにくくなり、水質を向上させる効果があります。

効果⑥雑菌の繁殖を抑える

珪酸塩白土は雑菌なども引きつけ、活動を弱める効果があります。これを「静菌作用」といいます。また、多孔質なのでよい微生物が住み着きやすくもなります。堆肥などと混ぜると、微生物のバランスがよい土づくりが可能です。

効果⑦ミネラル補給になる

珪酸塩白土には主要な成分以外にも、さまざまな微量ミネラルが多く含まれます。そのため、作物栽培のみならず家畜の飼料としての利用もあります。

珪酸塩白土の使い方

珪酸塩白土の効果を高めるために、どのような使い方をすればよいのか詳しく説明します。

使い方①土に混ぜる

土壌改良用土として土に混ぜて使います。堆肥など有機物と一緒に混ぜると、より土がフカフカに再生されます。石灰の代用にもなり、すぐに作付けも可能です。使用量は商品により変わるので、後ほど紹介します。

使い方②切り口にまぶす

画像出典:筆者撮影

植えつけ、植え替えのときに処理した根鉢や、株分けや挿し木の切り口に粉をまぶすと、保護剤の役割をしてくれます。種イモの切り口や球根にまぶすのもおすすめです。

使い方③株元にまく

画像出典:筆者撮影

すでに植わっている植物には、株元にまきます。特に果樹など実がなるものには、収穫後にミネラル補給も兼ねてまいてあげると株が回復しやすくなります。

使い方④水に入れる

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水の浄化作用により、水中の不純物を吸着してくれます。水耕栽培やハイドロカルチャーなど、循環のない環境では根腐れを防ぎ、水替えの回数も少なくてすみます。また、発根を促進する作用も期待できます。

使い方⑤上澄み液を使う

画像出典:筆者撮影

ミネラル不足で葉の色が悪い場合などに、上澄み液を葉に散布するとミネラル補給になります。珪酸塩白土を水に溶かし一晩置いたものを利用します。

次のページでは、珪酸塩白土を使った商品、活用術、ゼオライトとの違いについてご紹介します。

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珪酸塩白土を使った商品4選

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