退治するか迷うアシダカグモとは
基本情報
目 | クモ目 |
科 | アシダカグモ科 |
属 | アシダカグモ属 |
種 | アシダカグモ |
学名 | Heteropoda venatoria |
和名 | アシダカグモ |
英名 | Brown huntsman spider |
体長 | 雌:20~30mm、雄:10~25mm |
全長 | 100mm~130mm |
退治する必要はない
アシダカグモは人間に対する攻撃性もなく、退治する必要のない害虫です。ゴキブリを中心とした家庭内の衛生害虫を食べて駆除してくれることから益虫に位置付けられ、「アシダカ軍曹」や「家の守り神」などと呼ばれることもあります。
アシダカグモの生態
見た目こそ不気味な印象を与えるアシダカグモですが、生態を知っておけば怖がる必要のない昆虫であることがわかります。
生態①餌
アシダカグモは肉食の昆虫であり、前述の通りゴキブリなど家庭に発生しやすい害虫を餌としています。場合によってはネズミなどの動物を捕獲し食べることもあります。
一晩20匹捕獲することもある
アシダカグモは、害虫のなかでもとくにゴキブリを捕食することで有名です。一晩に20匹ものゴキブリを捕食したという報告もあり、そのようなハンターとしての能力の高さが「アシダカ軍曹」という呼称の由来にもなっています。アシダカグモが2~3匹生息している人家では、半年でゴキブリが全滅するといわれるほど優れた狩猟能力を持つ昆虫です。
害虫を食べつくせばいなくなる
アシダカグモは、餌である害虫を食べつくしたら、また別の人家に引っ越しをするという性質を持っています。つまり、餌となる害虫がいるかぎりはアシダカグモだけを退治してもまた侵入してくる可能性が高いといえるでしょう。アシダカグモが部屋に入らないようにするためには、根本的な解決が必要です。
生態②分布
アシダカグモはインドが原産地であるといわれています。比較的暖かい場所を好み、世界中の熱帯、亜熱帯、温帯といった地域に幅広く生息している昆虫です。一方寒い場所は苦手で、日本でも寒い地域では生息が確認されていないところもあります。
人家に生息している
外国では野外で発見されることもあるアシダカグモですが、日本では主に人家で見られることの多い昆虫です。薄暗い場所を好み、夜になると部屋の壁などを徘徊して餌を探します。
生態③巣
アシダカグモは、巣を張らない徘徊性のクモです。したがって巣を張って獲物を捕獲し食べるのではなく、俊敏な動きを活かして動く獲物を捕らえて食べています。
生態④毒性
アシダカグモは毒グモのような見た目をしていますが、人体に影響を与えるような毒性はありません。性格も攻撃的ではないどころか非常に憶病なので、少しの振動でも反応し逃げていってしまいます。そのためアシダカグモから人間に近づいてくることはほぼありませんが、無理やり掴もうとするとごくまれに噛まれることがあるため注意してください。
生態⑤産卵
アシダカグモの産卵は年2回産卵します。一回に産む卵の数はおよそ300個です。雌は自らの糸によって卵嚢(らんのう)と呼ばれる膜をつくり、その中に卵を入れて約1カ月間持ち歩きます。卵嚢は口にくわえて持ち運ぶため、この間母グモは餌を食べません。
ふ化後の子グモについて
子グモはふ化したあと、腹部から出した糸によって風に乗り、散らばっていきます。これはバルーニングと呼ばれる行為で、クモ類に多く見られる行動です。かなり長距離を移動するといわれています。その後雌の場合は10回、雄の場合は8回の脱皮をし、およそ1年後に成虫になります。平均的な寿命は雌が5~7年、雄が3~5年程度です。
生態⑥消化液
クモ類は全般的に、餌を食べる際自身の消化液を対象生物に注入します。この消化液には殺菌作用があり、自分の脚もこの消化液で手入れをしていることから、アシダカグモの徘徊によって何らかの病原菌が広がる可能性は低いと考えられるでしょう。
アシダカグモの退治方法
アシダカグモが益虫とわかっても、やはり不快に感じる方も少なくありません。アシダカグモを退治するには、餌になる害虫を退治するのが根本的な退治方法といえます。
退治方法①餌となる害虫を殺す
アシダカグモの発生を防ぐには、ゴキブリなどの害虫を殺すことが効果的です。家庭でゴキブリを退治し、予防するためのグッズを知っておきましょう。
対策グッズ①置き型殺虫剤
ゴキブリ退治の定番グッズといえば、置き型殺虫剤が挙げられます。部屋の隅や隙間などに設置しておけば、ゴキブリが殺虫成分の含まれた餌を食べて死んでしまいます。ゴキブリは1匹見つけたら複数棲みついていると考えられるため、広範囲に仕掛けられる置き型殺虫剤は効果的です。
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対策グッズ②スプレー殺虫剤
ゴキブリを見かけたら、スプレータイプの殺虫剤で駆除している方も多いのではないでしょうか。スプレータイプを使用する際に注意したいのが、農薬と同様に同じ有効成分のものを使い続けているとゴキブリに薬剤抵抗ができやすい点です。また使用期限の過ぎたものは効果が落ちている可能性もあるため、定期的に期限をチェックしておきましょう。
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「凍らすジェット冷凍殺虫 」は、殺虫成分を含まず凍らせて殺すタイプのものです。殺虫成分が含まれていないため、薬剤抵抗に関係なく効果を発揮します。またキッチンなど食品の近くでも使用できるうえ、子どもやペットのいる家庭でも安心して使えて便利です。
対策グッズ③くん蒸・くん煙殺虫剤
家の中にいるゴキブリをできるだけ早く一網打尽にしたい場合は、くん蒸・くん煙タイプの殺虫剤がおすすめです。隠れている個体にまで効果を発揮できるところがメリットですが、家電製品や火災報知器などにカバーをしてから使用しなければならないなど、事前の準備が必要です。使用後は部屋中に薬剤が充満している状態のため、吸い込まないよう注意しながらしっかり換気しましょう。
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対策グッズ④忌避剤
ゴキブリ退治と同様に、ゴキブリの侵入を防ぐことも大切です。害虫用の忌避剤を家の周辺や玄関先、窓際、ベランダなどに撒いたり置いたりして、対策しましょう。中には人間にとっても香りが強く感じるような忌避剤もあるため、購入の際には十分気を付けてください。
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退治方法②クモの侵入を防ぐ
ゴキブリを捕獲してくれる益虫であるとわかっていても、アシダカグモがどうしても苦手という方は、アシダカグモが入ってこないように対策をしておきましょう。ただし家の中にゴキブリなどの害虫がいる限り戻ってくる可能性が高いため、並行して家の中のゴキブリ退治も行っていくことが大切です。
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こちらのスプレーは、網戸や窓のサッシ、ドアの隙間などにスプレーしておけば約1カ月間クモの侵入を防げます。またセアカゴケグモだけではなくクモ全般に効果があるため、部屋の中での巣作りを予防したい方にもおすすめです。
アシダカグモは恐ろしくはない!
手のひらほどの大きさがあり、非常に素早い動きが特徴的なアシダカグモ。見た目だけでは恐ろしく感じられますが、人間に危害を加えないどころか衛生害虫を食べる益虫なので殺す必要はありません。餌となるゴキブリがいなくなればアシダカグモは引っ越しをするといわれているため、アシダカグモを発見したらまずゴキブリ退治をするのがおすすめです。
出典:いらすとや