センダン(栴檀)とは
センダン(栴檀)はムクロジ目センダン科センダン属の落葉広葉高木で、学名はMelia azedarachといいます。古くはオウチ(楝:古典仮名づかいでアフチ)と呼ばれて開花時期に花を観賞しました。万葉集や枕草子などの古典文学にも登場する植物です。アミノキという別名もあります。
センダンの特徴
センダンは日本や朝鮮、中国やヒマラヤ地方が原産地とされます。日本では房総半島以西の暖地で野生化しており、本来の自生域については意見が分かれるところです。センダンは、木や葉、開花や結実の時期、香りなどに、どのような特徴を持つ樹木なのでしょうか。花言葉についても触れていきます。
樹高などの特徴
センダンは樹高7~15m、大きいものでは30mにも達することがあります。幹はまっすぐに伸び、成長が早いです。枝は広がって、画像のように逆三角形の傘状になります。樹皮は紫黒褐色で、若いうちは楕円形の小さな斑があり平滑です。成長すると樹皮は縦に裂け、顕著な凹凸ができます。木材や葉に、少しですがよい香りがあるのも特徴です。
葉の特徴
センダンの葉は、「2~3回羽状複葉」と呼ばれる特徴的な葉のつき方をします。羽状複葉とは、小葉が葉柄の両側に鳥の羽のように並んでいる葉のことです。センダンの場合は、その羽状複葉がもう1回鳥の羽のように並んで連なります(2回羽状複葉)。葉全体の長さは30~80cm、25~70cmで、葉柄の長さは10~30cmです。
葉はやわらかい印象
小葉は先が尖って縁には鈍いギザギザがあり、切れ込みが根元まで達して複葉となっているものもあります(3回羽状複葉)。小葉は薄く小さい(長さ3~6cm)ので、葉全体としてはやわらかい印象です。
開花時期と花の特徴と香り
センダンの開花時期は5~6月です。その年の枝の葉のつけ根から花茎を出し、直径2cmほどの花が円錐状にまとまって開花します。薄紫色の花が樹木全体を覆うように開花する様子は、紫のもやがかかったようで見ごたえがあります。がくと花弁は5枚です。
開花した花は甘い香り
10本ある雄しべは花糸が合着して筒状となり、筒の縁に葯がつきます。筒状の部分の独特な紫色は楝色(おうちいろ)と呼ばれる色です。おしべの筒の内部には白い毛が生えています。雌しべは1本で、雄しべの筒より短いです。センダンの開花時期には辺りに甘い香りが漂います。チョコレートやバニラに似ているともいわれる香りです。その香りに誘われてアゲハチョウなどがやって来ます。
センダンの花言葉
センダンは香りもよく趣のある花ですが、少しネガティブな花言葉を持っています。センダンの花言葉は「意見の相違」です。花言葉の由来ははっきりしません。中国ではビャクダンのことをセンダンと呼んでいたことから、ビャクダンと間違われやすいことが花言葉と関係しているのではないかとの説があります。6月14日の誕生花です。
実の特徴
プチ青りんごっぽい。食べられそうな気がするセンダンの実。#牛田バラ園#センダン pic.twitter.com/19MhyVUNby
— はる (@kodomohalsan) October 16, 2018
センダンは10~12月の時期に楕円形の実をつけ、大きさは直径1.5~2cm程度です。果実は最初は緑色で、秋の深まりとともに黄褐色に熟します。多数の実は落葉後も枝に残り、とても印象的です。この姿から「センダン」の名が生まれたといわれます。しかし由来は、「千珠(せんだま)」が変化したという説や、鬼子母神祭の「千団子」に見立てたとする説があり、はっきりしていません。
実には毒性がある
センダンの実はヒヨドリ、ムクドリなどの鳥が食べます。しかし人やペットにとっては毒性があり、食べると食中毒を起こすので注意しましょう。子供なら6~8個で致死量に達するという報告があり、致死量を摂取した場合は48時間以内に死亡するともいわれています。
核は特徴的な形
果実は核が大きく、周りを薄く果肉が覆っています。核は灰白色で堅く、画像のように縦に5本の溝があって断面は星形です。中は4~6室に分かれ、それぞれに細長い種子が入っています。暖かくなる時期までには核が砕けて種子がばらまかれ、暖地では自然に発芽して増えるのです。
ボタ爺
センダンは甘い香りの花も黄褐色の実も趣があるのう。次項ではセンダンの育て方をまとめるぞよ。
出典:写真AC