コウホネ(河骨)とは?
コウホネ(河骨)とは、浅い池や沼などに自生する多年草の水生植物です。水深の深い場所では、水面に葉を浮かべ、根茎が地面を這うように横に広がっていきます。コウホネの漢字、「河骨」は和名であり、その由来は根茎が白く、太い骨のように見えることが由来です。
コウホネの別名
コウホネには別名もあり、カワト、カワ、タイコノブチなど色々な呼ばれ方があります。開花時期になると、名前とは違った印象の、可愛らしい黄色い花を咲かせます。
コウホネ(河骨)の特徴
基本情報
科目:スイレン科コウホネ属 | 原産地:日本(本州~九州、沖縄)、朝鮮半島、台湾 |
開花時期:5月~9月 | 特徴:多年草の水生植物 |
草丈:10~40cmほど | 花の色:黄色、おおよそ4~5cmの花 |
耐寒性:特に強い(休眠期あり) | 耐暑性:強い |
コウホネは耐寒性、耐暑性ともに優れている水生植物です。寒冷地など寒い土地でなければ、1年中外での栽培が可能です。日当たりを好みます。自生しているコウホネは、浅い池や沼、浅瀬の川などに見られます。
見た目の特徴
コウホネの根茎は一見わさびの様な見た目をしています。葉は光沢がありツヤツヤしていて、水面から突き出し、波打つような楕円形をしています。花は直径5cmほどの小さな黄色い花を咲かせます。開花時期は5月~9月と長く、水面に浮いている可愛い姿を長く楽しめます。アクアリウムでも観賞用として多く用いられます。
コウホネ(河骨)の特徴ポイント
- 小さな黄色い花を咲かせる水生植物
- 葉はつやつやと光沢がある。
- 耐寒性、耐暑性ともに強い
- 根はわさびのような見た目
根茎は「川骨」として生薬に登録されている
コウホネの根茎の部分を縦割りにしたものを川骨(せんこつ)といい、川骨は日本薬局方に登録されている生薬です。解熱や鎮痛を目的にした漢方にも配合されています。画像の治打撲一方は、打撲などの痛みを和らげる漢方で、川骨も配合されています。
治打撲一方(じだぼくいっぽう):打撲やねんざによる腫れや痛みなどに用いられます。
配合生薬:川芎(センキュウ)、撲樕(ボクソク)、川骨(センコツ)、桂皮(ケイヒ)、甘草(カンゾウ)、丁子(チョウジ)、大黄(ダイオウ)
食用されるコウホネ
コウホネの根茎の部分は、アイヌ語でカパト(kapato)と言われ、アイヌ文化では保存食として食用されています。切って干したコウホネをアク抜きして、細かく刻んでご飯やお粥に混ぜたり、汁物に入れたりして食べます。また、中国でも凶作の時に穀物の代用になると言われています。
コウホネ(河骨)の種類
コウホネの種類は、7~20種類ほどと言われています。コウホネの花は、黄色がメジャーですが、赤や紫系の色もあります。
- コウホネ(河骨)
- ヒメコウホネ: コウホネより更に小型。2012年に絶滅危惧Ⅱ類に指定される。
- オグラコウホネ:根茎がコウホネより小型
- ネムロコウホネ:葉が水面に浮かぶ事が特徴
- オゼコウホネ: ネムロコウホネの変種で、雌しべの柱頭が赤くなるのが特徴
- ベニコウホネ: 萼の部分が紅くなる事が特徴(上記の写真はベニコウホネ)
コウホネ(河骨)の花言葉
コウホネ(河骨)の花言葉は、「崇高」「秘められた愛情」「その恋は危険」です。直径5cmほどの、小さな黄色い花からは想像つかないような意外な花言葉ですね。「崇高(すうこう)」とは、自然や広大さの美しさについて表現する言葉です。コウホネの葉や花は小ぶりですが、根茎が横に広がり根付くことを考えると、しっくりきます。
コウホネ(河骨)の育て方
コウホネの育て方は、難しそうで、シンプルです。植え付けの際、根茎を浮かせない事を注意すれば、植え付け完了後は日当たりのいい場所へ置いてあげるだけです。
コウホネの栽培スケジュール
睡蓮鉢などの鉢で管理
コウホネ(河骨)は、園芸店などで販売している苗を入手することができますが、水生植物のため、睡蓮鉢などの鉢に土を入れて育てましょう。
コウホネの茎根はわさびに似ている
コウホネの根の見た目はわさびの様な形をしています。その根を植えたら葉の部分が水面に浮くように、水位を調整しながら入れていきます。(わさびにそっくりですよね。)
置き場所や株分けの時期
根を植える時は、浮力がかかり浮きやすいため、なるべく深く植えるのがポイントです。日当たりのいい場所を好む水生植物なので、日当たりのいい場所に置きましょう。うまく育っていくと、株が込み入ってきます。株が込み入ったら、春頃に株分けをします。
ボウフラ対策には「メダカ」
じめじめしてくると、水場にはボウフラが発生します。水生植物を栽培する際、ボウフラ対策は必須です。コウホネを栽培する鉢に、メダカを入れてあげるとボウフラを食べてくれます。植物には影響はほぼありませんが、ボウフラの卵を放置すると蚊が大量発生するため、観賞用のメダカを入れて、あとはメダカにお任せするだけでボウフラや蚊の大量発生を防げます。
コウホネ(河骨)育て方のポイント
- 根を植える時は、浮力で浮かないようにしっかり植える
- 日当たりを好むので場所を考える
- 株分けのシーズンは春頃
- ボウフラ対策にはメダカ
まとめ
コウホネ(河骨)の名前の由来や、わさびの様な根茎、とても特徴的な部分とは対照的に、花は水生植物にしては控えめで可愛らしかったですね。小ぶりで可愛いコウホネは、外で越冬もできるため、育て方のポイントさえ押さえれば庭先で栽培もできそうです。
工夫次第で楽しみ方いろいろ
見た目の分類が難しいコウホネですが、種類によっては絶滅危惧に指定されているものもあり、黄色の花以外のコウホネも可愛かったですね。夏場などはメダカを一緒に入れて、見た目も涼しく楽しめそうです。是非、コウホネの栽培にチャレンジしてみてくださいね。
出典:写真AC