ガガブタとは?
日本の本州以西に生息する多年生の水草です。学名はNymphoides indiaで東南アジアやアフリカなどに分布しています。浅めの池や沼に群生し、7月~9月に白い花を咲かせます。ミツガシワ科のアサザ属。水中から茎を伸ばし、葉の大きさは5cm~20cm、花の大きさは1.5cmほどで、花弁は5深裂または6深裂です。
葉っぱ1枚でも繁殖する
ガガブタは増やしやすい植物です。水面に葉っぱを1枚浮かべておくだけで、葉から細長いバナナの房のような殖芽を伸ばし、繁殖します。園芸に慣れていない人にも育てやすい植物です。
毎日新しい花が咲く、一日花
一日だけ花が咲く一日花で、朝に咲いて夕方には花をすぼませて、水中にしぼんでいきます。夏は花が咲かない日はないというほど、次々と水中から茎を持ち上げ新しい花を咲かせます。英名はwater snowflakeで、雪の結晶という意味です。雪の結晶のように儚い花にふさわしい英名です。
「鏡蓋」とも書く
ガガブタは漢字で「鏡蓋」と書きます。鏡のような水面をおおう卵型の葉が、蓋のように見えることから鏡蓋と書くようになったといわれています。ほかにも、花が白く中央が黄色いことから「金銀蓮花」とも書きます。小さくて可憐なガガブタの花にぴったりの漢字で表されていますね。
ガガブタの花言葉
ガガブタの花言葉は「純情」です。白くて無垢な花姿をあらわしている花言葉です。ほかには「心の純潔」「信頼」という意味があります。
ガガブタの育て方
ガガブタの育て方には、おもに鉢植えと地植えの2つの方法があります。ほかには水だけを張った入れ物で育てることもできますが、ここでは鉢植えの方法を説明します。
鉢植えの手順概要
- 用意した4号以上の鉢に、赤玉土を入れ、ガガブタの苗を植え込みます。肥料も適量入れます。
- 睡蓮鉢に水を溜めて、鉢に植え込んだ苗を沈めます。このとき葉が水面に浮くように、水位を調節しましょう。
ガガブタを育てるために必要な材料
・ガガブタの苗
・苗を植え込むための4号以上の鉢
・睡蓮鉢またはタライなどの大きめの容器
・赤玉土
・肥料
好みや目的に合わせて材料を揃える
睡蓮鉢は丈夫で日光の熱がこもりにくいので、水温の上昇を防げます。肥料は水生植物用の純正IB化成か発酵油かすなどがあります。目的に合ったものを選びましょう。
国産のIB化成は緩やかな効き目で、植物に負担をかけないためおすすめです。
育てるときのポイント
- ガガブタは日光を好む植物です。半日は陽が当たる明るい場所で育てましょう
- 水が減ってきたら水かさを増やして、葉が水面に浮いている状態を保つようにしましょう
- 肥料の与えすぎによる栄養過多に注意しましょう。与えすぎは植物が弱る原因になります
花が咲かないことはある?
ガガブタの花が咲かない原因の一つに、日光不足があげられます。前述したように日光を好む植物ですので、光合成ができないと花が咲かない可能性があります。丈夫な植物なので、日光と水を欠かさなければ、咲かないことは滅多にありません。
ガガブタの冬越し
夏の繁殖の盛りを終え、動物たちが冬眠することと同じように、秋から冬にかけてガガブタは休眠します。寒さに強く冬越しできる植物です。越冬させるためのコツなど紹介していきます。
冬越しのときの管理方法
ガガブタを冬に管理するときは、夏と同じように基本的に屋外で管理します。ただし寒冷地の場合は室内管理で越冬させます。冬は枯れてしまったような見た目に変わりますが、春には新芽が生長を始め、夏に向けて殖芽を増やそうと動き始めます。
冬越しの管理のコツ
・冬で枯れたようにみえても、水を枯らさないようにします。夏同様、葉が浮くように水かさを調整しましょう。
・越冬の季節になると活動量が低下するので、肥料は与えず春を気長に待ちます。
春になったら株分け
冬の間に力を温存しているガガブタ。春になって生長が始まり、根が込みいってきたら、株分けをしてみましょう。子株を透明な入れ物に移して育てると、殖芽を増やしていく様子を観察できます。
ガガブタは食べられる?
台湾には食用のガガブタがあり、調理して食べられています。タイワンガガブタといいます。ここまで紹介してきたガガブタと同じミツガシワ科のアサザ属ですが、葉が大きめで開花時期も長く少し特徴が異なります。タイワンガガブタは和名で、台湾では「水蓮菜」と呼ばれており、茎の部分を食べます。シャキシャキとした歯ごたえが美味しい台湾の家庭料理です。
食べても大丈夫?
タイワンガガブタは食べられるようですが、日本には食用のタイワンガガブタが売られていません。食用ではないタイワンガガブタを食べて体調を崩したという報告はありませんが、食用でないかぎりは食べないほうがいいかもしれません。
まとめ
昔は池や沼に群生するガガブタをよく見ることができました。今では水質の変化から、自然に群生するガガブタを見られる場所が減りました。家庭で育てやすい水生植物ですので、繁殖させて池の世界を再現することも楽しみの一つですね。越冬も容易なので四季を通して育てやすく、毎年花を楽しめるところが魅力的です。ぜひお気に入りの材料で、ガガタブを育ててみてくださいね。
出典:BOTANICA