大根が辛いワケ
大根は日本の冬の食卓に並ぶことの多い食材です。葉っぱから根の部分まで、まるまる1本を食べられます。しかし、大根には辛いところと甘いところがあるのはご存じでしょうか?大根の辛いところはどこなのか、なぜ辛いのかなど、身近なのに意外と知らない大根の秘密を紐解いていきます。
辛いところは先端
大根の辛いところは先端と言われています。サラダや煮物には上部の甘い部分を使い、豚汁や大根おろしなど辛味を生かした料理には先端の辛い部分を使うことが多いです。
辛いところの正体
大根の辛さの正体は「アリルイソチオシアネート」という物質です。ワサビやカラシを口にすると、鼻や舌などがツンとした経験はないでしょうか?このツンとする辛さの成分がアリルイソチオシアネートです。
主な辛味三種類
日本の食材にある辛みは主に3つ種類に分けられます。ワサビのようなツンとした辛味、トウガラシのようなヒリヒリとした辛味、ショウガのような舌を痺れさせる辛味です。
辛いときには温かい飲み物を
大根の辛みはワサビと同様、冷たいものを飲むと強調され、温かい飲み物をのむと辛さが和らぎます。逆に、トウガラシのカプサイシンは熱い飲み物をのむと辛さが強調されるため、注意が必要です。
大根おろしは理にかなっている
「アリルイソチオシアネート」という成分は壊されることで辛さを作り出します。大根おろしを作るときにおろし金ですりおろすことは、大根の辛み成分を刺激しているのです。料理のアクセントとして用いる大根おろしは、まさに理にかなった大根の利用法と言えるでしょう。
大根の上の部分が甘いワケ
大根の上部は、先端とは逆に甘みの強い部分です。煮物やおでんのように熱を加えるとほっこりするような甘みを味わえます。同じ野菜にもかかわらず、なぜ辛い部分と辛くない部分があるのでしょうか?
甘い部分の正体
大根の辛くない部分の正体は「ブドウ糖」です。冬野菜の代表でもある大根は、養分を糖分に変え自らを守ろうとします。この性質を利用して野菜をもっと甘くするために、北国など寒い場所では雪の中に大根を埋めたり暗い場所に保存したりするのです。このように保存された野菜を「越冬野菜」「雪下野菜」と呼びます。ストレスを与えるほど辛くない大根になるという、雪国の方たちの知恵の結晶です。
野菜が寒さから身を守ろうとする性質を利用するのね!
辛い大根の見分け方
大根の上下にかけて、ポコポコと穴が開いています。その穴に生えている根っこのようなものを「ひげ根」といいます。このひげ根が辛い大根と甘い大根を見分けるための重要なポイントです。
ひげ根がまっすぐなものを
ひげ根が上下にきれいに並んでいるものは「甘い大根」、あちこちにあり不規則なものは「辛い大根」だと言われています。土の中でストレスを受けていた大根は、まっすぐにひげ根が並びません。スーパーにたくさん並ぶ大根の中から甘いものを選びたいときは、ひげ根が上下にきれいに並んだものを探してみてくださいね。
夏の大根は辛味が強い
大根は季節によって辛さが変わるとも言われています。夏の大根は厳しい暑さの中で育つため、辛い大根になりやすいと言われています。土の水分も不足がちでストレスを受けやすく、辛味の強い大根が育ちやすいのです。
冬の大根は甘い
夏とは逆に、冬の大根は甘みが強いのが特徴です。前述のとおり、冬にとれる大根は本体を凍らせないために、養分を糖分に変えて自分自身を守ろうとしているためです。甘みの強い冬の大根は、おでんや煮物を作るのに向いています。水分も蓄えられており、みずみずしい味わいを楽しめるでしょう。
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