なぜかいわれ大根と呼ばれるの?
かいわれ大根は、フサフサした緑色の葉っぱとピリッとした辛味が特徴の野菜です。柔らかい食感と彩りが楽しめるため、家庭で栽培されている方も多いかもしれません。平安時代の貴族が食べていた高級食材だったともいわれ、古くから親しまれてきた野菜です。
名前の由来
かいわれ大根は、漢字で「貝割れ大根」と書きます。発芽した葉っぱの形が、二枚貝が開いた様子に似ていることが名前の由来です。もともと俳句の季語としてアブラナ科の野菜の双葉を「貝割れ菜(かいわれな)」と呼んでいたためともいわれています。
かいわれ大根はどのような野菜?
かいわれ大根は、品種改良された大根の種から発芽した新芽です。野菜の種類は、もやしやアルファルファと同じ「スプラウト」に分類されます。大根の種子を発芽させ、胚軸(はいじく)が伸びて子葉が開いたところに日光を当てて緑化させます。もともと平安貴族が食べていた高級野菜ですが、水耕栽培による大量生産が可能になり、昭和50年代以降一般家庭の食卓にも並ぶようになりました。
スプラウトとは?
かいわれ大根のほか、緑化させない大豆の新芽「もやし」、エンドウ豆の新芽「豆苗」もスプラウトの仲間です。スプラウトとは、豆類や野菜の種子を人為的に発芽させた食用新芽を意味します。「発芽野菜」や「新芽野菜」とも呼ばれ、柔らかい食感のブロッコリースプラウトや鮮やかな色をしたレッドキャベツスプラウトなど、さまざまな種類が出回っています。
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スプラウトは、英語の「Sprout」に由来し「芽生え」を意味します。
かいわれ大根の特徴
かいわれ大根は、ハート型の緑の葉っぱと細長い茎、ピリッとした辛味が特徴です。食べるとシャキシャキした歯ごたえがあり、爽やかな風味を味わえます。白い茎が一般的ですが、大根の種類によってピンク色の茎をもつ品種もあります。サラダやパスタなどに加えると味の変化を楽しめ、刺身に添えると殺菌の役割をしてくれるでしょう。
かいわれ大根の旬
かいわれ大根は、室内で水耕栽培されているため旬はありません。水耕栽培とは、土を使わず植物の根を水に浸して栽培する方法です。室内で温度と湿度を管理しながら育てるため、季節に関係なく栽培できます。天候に左右されず一年中安定した価格で販売されています。
かいわれ大根の選び方
かいわれ大根は、緑色の葉っぱがフサフサしていて艶があり、茎がピンと立っているものを選びましょう。葉がしおれて黄色く変化してきたら鮮度の落ちる手前です。茎が折れて茶色に色が変化したものは鮮度が落ちています。また、根が張っているスポンジが乾いている場合は、出荷から時間が経っている可能性が高いため注意が必要です。
かいわれ大根と大根の違い
かいわれ大根と大根は、名前に同じ「大根」が付いていますが、まったく別の野菜です。野菜の種類も、かいわれ大根はスプラウト類、大根は根菜類に分けられます。かいわれ大根は、大根の種を品種改良し新芽の部分だけを食べるように作られています。新芽を刈り取らず、そのまま育てても白く太い大根にはなりません。
かいわれ大根と大根の種類
- かいわれ大根・・・新芽を食べるスプラウト類
- 大根・・・根を食べる根菜類
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かいわれ大根を土に植えたままにすると、稀に小さい大根が育つ場合があります。花が咲く姿も楽しめるため試してみると面白いでしょう。
栄養素の違い
緑黄色野菜に分類されるかいわれ大根は、大根より多くβカロチンを含んでいます。βカロチンは植物の色素成分で、色の濃い野菜に豊富に含まれており、肥満や生活習慣病などの予防に効果があるとされています。淡色野菜に分類される大根は、食物繊維が多いのが特徴です。腸内環境を整え糖質や脂質の吸収をおだやかにする効果があるといわれています。
かいわれ大根の水耕栽培
かいわれ大根の栽培は、水耕栽培で育てる方法が一般的です。室内に置いて、どんどん新芽が増える楽しみを感じてみましょう。ただし、水耕栽培で育てたかいわれ大根を土に植え替えても、白く太い大根に成長することはありません。
材料
- かいわれ大根の種
- プラスチック容器(肉や魚が入っていたトレーやペットボトル)
- 脱脂綿、またはキッチンペーパー
- アルミホイル
栽培方法
- 種を水に5~6時間ほど浸けておく
- 脱脂綿(キッチンペーパー)を水で湿らせる
- 湿らせた脱脂綿を容器に敷く
- 重ならないように種を均等に並べる
- アルミホイルを容器にかぶせ日を遮る
- 暗い場所で3日間放置する
- 脱脂綿が乾かないように霧吹きで水やりをする
- 発芽して5~6cmほど伸びたら、日の当たる場所に移動する
- 茎が10cm程度、葉っぱが濃い緑色に変化したら切り取る
なぜかいわれ大根は再生栽培できないのか?
かいわれ大根は、水に湿ったスポンジ部分に根が張った状態で販売されています。切り取った後、根を残しておけば生え変わると考える方もいるかもしれません。しかし、かいわれ大根は再生栽培が難しい野菜です。
再生栽培とは?
再生栽培は、野菜の根や葉を水に浸したり土に埋めたりする栽培法です。再生栽培できる野菜は、根に成長点がある野菜に限ります。成長点とは、その部分から葉や花びらが伸びていく大切な部分です。豆苗など種の大きいものは、根元を残して水耕栽培で1~2回の再生栽培が可能です。
なぜ再生栽培できないの?
再生栽培ができない理由は、成長しきった状態で売られており、食べる際に成長点を切り落としてしまうためです。かいわれ大根の成長点は、双葉の間に1つしかなく、そこを切り取ってしまうと再び育つことはありません。切り取った後の根を水に浸けても新芽が増えることはなく腐ってしまいます。
かいわれ大根に含まれる栄養と効能
かいわれ大根は、発芽直後の新芽を食べる野菜です。植物は発芽するときに多くの栄養素を合成するため、ビタミン群やミネラルが豊富に含まれています。かいわれ大根も優れた抗酸化作用があり、免疫力を上げる食材として人気があります。しかし、食べ過ぎると胃が痛くなる場合があり注意が必要です。
栄養と効能①解毒作用がある
かいわれ大根が辛い理由は、「イソチオシアネート」と呼ばれる成分が含まれているためです。イソチオシアネートは、わさびやマスタードにも含まれており、ピリッとした辛さを作り出す成分です。活性酸素の除去や殺菌の役割、肝臓の解毒作用を助ける働きがあります。肝臓が元気になり血液がきれいになることで、さまざまな病気の原因を防ぐ効果が期待できるでしょう。
胃が痛くなる理由
かいわれ大根は、食べ過ぎると胃が痛くなる場合があります。イソチオシアネートの辛味は味のアクセントになりますが、たくさん食べると胃を刺激してしまいます。火を通したり、水にさらしたりして辛味をやわらげて少しずつ食べましょう。
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かいわれ大根は加熱すると辛味を抑えられます。電子レンジで20秒ほど加熱してみましょう!
栄養と効能②ダイエット効果がある
かいわれ大根は、カロリーが低くダイエットにおすすめの食材です。ビタミンKとビタミンCの働きにより、美肌効果や胃腸の動きの促進など健康と美容のどちらにも効果があるとされています。また、消化酵素である「ジアスターゼ」が大量に含まれているため、消化を助けてくれる効果が期待できるでしょう。しかし加熱すると栄養価が落ちるため、ダイエットのためには生のまま食べるのがおすすめです。
かいわれ大根を食卓に取り入れてみよう
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かいわれ大根をハムで巻くと、かわいらしい花束のようになります。パーティーやお弁当におすすめです。
かいわれ大根は、「芽生え」という意味をもつスプラウトです。栄養が豊富で彩りや食感がよいため毎日の食卓に少しずつ取り入れてみましょう。また、かいわれ大根は室内で気軽に栽培でき、自由研究の題材におすすめです。再生栽培ができるのか、土に植え替えると花が咲くのかなど、いろいろ試してみるとおもしろいでしょう。
出典:写真AC