じゃがいもの花の役割とは？花が咲いた時は摘むべき？摘まないべき？

じゃがいもは、カレーやシチュー、肉じゃがにフライドポテトなど、いろいろなメニューに大活躍ですよね。育て方も簡単で丈夫なじゃがいもは、家庭菜園にもぴったりです。そんなじゃがいもの花について、皆さんは、どんなものかパッとイメージできるでしょうか？

素朴な印象が強いかもしれませんが、つける花はとってもかわいらしいものです。葉の付け根から長く伸ばした花茎の先にたくさんの花をつけるじゃがいもは、清楚な雰囲気で見る人の心を和ませてくれますよ。実は、あの有名なマリー・アントワネットもじゃがいもの花を好んでいて、髪飾りにしていたという逸話が残っているんです。

男爵やメイクイーン、インカのひとみなど、じゃがいもにはたくさんの種類がありますね。花の形も同じように、実るじゃがいもによって異なります。色は紫色や白色、紫と白のグラデーションなどバリエーションに富んでいてにぎやかです。いくつか異なった品種のじゃがいもを育てていると、色違いの花を楽しめます。品種によって花が咲きやすい、ほとんど咲かない、花芽はつくがすぐに落ちてしまうなどの違いもあるので、栽培していたじゃがいもの花が見られたらラッキーな気持ちになれるかもしれませんね。

じゃがいもの花の開花する時期は、じゃがいもの収穫よりも早い5月から7月ごろです。日本では特に北海道の農場で、見渡す限りの広大なじゃがいもの花畑を見ることができますよ。爽やかな風に吹かれながら眺める一面の花は、強い野菜であるじゃがいもの生命力に溢れています。この花が散るころ、土の中では茎に栄養がたまり、じゃがいもが作られています。

花束やアレンジメントに用いられることはほとんどありませんが、じゃがいもの花にも花言葉が存在します。「恩恵」「慈愛」「慈悲」「情け深い」といったもので、どれもとても優しい言葉ですね。じゃがいもは栽培するのが簡単で、寒い土地でもよく育ちます。さらに1年間のうちに複数回収穫ができるので、食糧不足の危機を何度も救ってきたという歴史があるのです。そうした背景から、「恩恵」「慈悲」など、まさに母なる大地の包容力を感じさせる花言葉がつけられました。

では、じゃがいもの花にはどんな役割があるのでしょうか？結論から言えば、他の植物と同じで、「繁殖するため」です。

じゃがいもは一般的に種ではなく半分に切ったじゃがいも（種芋）を土に植えて育てますが、種が作られないわけではありません。前述のように花も咲かせますし、花が散ると小さなトマトのような実もなります。そこから取れる種を植えれば、じゃがいもの栽培も可能なのです。

しかし種から作ったじゃがいもは初めはビー玉くらいの大きさしかなくて、一般的に見かける大きさになるまでには3年近くかかってしまいます。種芋から作った方が収穫までが早いため、あまり実用化はされていないというわけです。

じゃがいもの花を摘むメリットは、「じゃがいもの体力を温存できる」ということです。植物は花を咲かせ実（種子）をつける時に体力を消耗するので、花を摘みとっておくとその分の体力を消耗せずにすみます。ただし、じゃがいもは実ではなく根の部分であるイモを使って繁殖するので、他の野菜に比べると花が咲いても体力の消耗はそれほど激しくありません。

じゃがいもの花を摘んだ場合には、主に二つのデメリットが考えられます。

じゃがいもの花を摘むデメリットの一つ目は、「手間と時間がかかってしまう」ことです。家庭菜園のようなあまり広くないスペースで育てている場合は、花を摘むのもそれほど大変ではありません。しかしながら、農家のように広い敷地でたくさんのじゃがいもを栽培している場合には、花を摘むのには手間と時間が必要になります。可憐な花は見る人を楽しませてくれるので、自然に散るまでそのままにしておく農家も多いようです。

デメリットの二つ目は、「病気の感染リスクが上がる」ことです。花を摘むことによってついた傷から病原菌が入り込み、病気に感染してしまうことがあります。多少体力を消耗させたとしても、花が咲いたら摘まないでおいた方が、病気予防の面では有効と言えます。

一般的に植物は花を咲かせる時に体力を消耗するので、栄養を吸われないように花は摘んでしまうという育て方が主流です。けれども、根につくイモで繁殖するじゃがいもの場合は、花を摘んでも摘まなくても収穫量にあまり変化がありません。加えて病気リスクを抑える、見た目にも美しいといったメリットもあり、花が咲いてもそのまま放っておくという育て方が、農家の間でも一般的になっています。新緑の時期にじゃがいもの花が咲いたら、自然に散るまで鑑賞して楽しんでみてはいかがでしょうか。可憐な花の姿は、きっと家庭菜園の癒しになりますよ。