青くなったジャガイモは食べられるの？青い（緑）部分の毒性を解説！

ジャガイモに含まれる葉緑素（クロロフィル）は、光に当たると量が増えます。長時間光に当たり葉緑素が増えることが、ジャガイモが青く変色していく原因です。日光などの自然光だけでなく、蛍光灯などの人工的な光でも葉緑素は増えます。

ジャガイモは保存がきく野菜といわれていますが、時間が経つほどジャガイモに含まれる有毒物質の形成が進みます。光に当たらない場所に保管したとしても、収穫から長い期間放置をすると芽が出たり皮が青く変色したりする場合があります。

ジャガイモの青い（緑）部分には「ソラニン」や「チャコニン」という有毒物質が多く含まれています。この部分を食べてしまうと、食中毒を起こす可能性があります。しかし青い部分を残さず取り除けば、食べることも可能です。

ソラニンやチャコニンは天然毒素、ナス科の植物（ジャガイモ・ツルナス・イヌホオズキなど）に含まれる物質です。ジャガイモの芽には多くのソラニンやチャコニンが含まれているため、食べると危険といわれています。青（緑）色になったジャガイモの皮にも100g当たり100mg以上のソラニンやチャコニンが含まれており、成人の場合は150mg以上摂取すると死に至る可能性があります。

多量のソラニンやチャコニンを摂取した際に起きる症状は、吐き気や下痢、嘔吐、腹痛、頭痛、めまいなどです。摂取した数分後から症状が出始め、遅ければ数日後に出る場合もあります。重症の場合は眠気や錯乱などの神経症状や視覚障害、低血圧症状がみられ、最悪の場合は死に至ります。

青くなったジャガイモを調理するときは、ピーラーや包丁で厚く皮をむきましょう。変色部分だけを薄くむくのではなく、その周辺も深めにカットし取り除くことがポイントです。皮の表面だけでなく中にまで青い部分が到達している場合もあります。青い部分を残さないように、よく見て削り取りましょう。

多くの食中毒菌は、加熱することで死滅させられますが、ソラニンやチャコニンは、熱を通しても量を減らせません。青い部分は使わずに処分してください。

じつは青くなっていないジャガイモにも、皮の部分には微量のソラニンやチャコニンが含まれています。ジャガイモはできるだけ皮をむいて調理することで、より安全に食べられます。 

ソラニンやチャコニンは、口に含むと強い苦みを感じます。ジャガイモを食べたときに苦みやえぐみを感じたら、食べるのをやめましょう。食べてから体調に異変を感じた場合は、すぐに病院で診察を受けてください。

ソラニンやチャコニンにおける子どもの中毒量は、大人の中毒量の1/10といわれています。大人よりも子どものほうが少量で重篤な症状が出る場合があります。子どものいる家庭では、安全のために青くなったジャガイモは処分しましょう。

収穫から長期間が経過したジャガイモは、ソラニンやチャコニンの含有量が多くなっています。購入するときは、芽が生えているものや青い部分があるものは避け、できるだけ採れたてのジャガイモを選びましょう。また表面にしわがある、柔らかくなっているものも鮮度が落ちている証拠です。

光のほかに、湿気や温度が高くなることもソラニンやチャコニンが増える原因となります。ジャガイモは通気性のよいかごなどに入れて、10℃以下の涼しい場所で保存してください。冷蔵庫に入れると乾燥しすぎてしまうため、基本は常温保存です。照明の下などにも置かないように気をつけましょう。

ジャガイモは長期保存をすればするほど、ソラニンやチャコニンの含有量が増えます。料理に万能なジャガイモですが、一度の買い物で大量に買うのは避けて、その都度食べられる量を買うことで食中毒を防げます。

ジャガイモを栽培しているときも、青くならないように対策をとりましょう。太陽光に当たって青くなるのを防ぐため、ジャガイモは土から出ないように土寄せをします。収穫したジャガイモは太陽の下に放置しないよう注意してください。また、小さく未熟なジャガイモにはソラニンやチャコニンが多く含まれています。充分に大きく熟してから収穫しましょう。

傷はソラニンやチャコニンが増える原因になるため、収穫時や保存する際にはできるだけ表面に傷がつかないように注意します。収穫後は洗って土を落としたいと思うかもしれませんが、水洗いは調理直前に行いましょう。

学校で育てたジャガイモをまるごと調理して食べた小学生が集団食中毒を起こしたという事例が、過去に何件も起こっています。ジャガイモを育てるときは、青くなったものや未熟なジャガイモの危険性について十分に理解することが大切です。

青くなったジャガイモの危険性は、ジャガイモの芽の危険性ほどは知られていません。ジャガイモは青くならないよう正しく保管し、青くなってしまったら変色部分をしっかりと取り除いて処理をしましょう。栄養満点でさまざまな料理で活躍するジャガイモを、安全に美味しく調理してくださいね。