じゃがいもが変色する原因は?
生の状態では傷みもなく、きれいな色をしていたじゃがいもが、調理したあと、黒色や紫がかった色になった場合には、ふたつの原因が考えられます。なぜ、調理後のじゃがいもが変色するのか?変色を防ぐにはどうすればよいのか?原因と対処法をご紹介します。
変色する理由①メラニン
生のじゃがいもの切り口が、時間の経過とともに紫や黒色に変色するのは、メラニンが作り出されるのが原因です。じゃがいもにはアミノ酸の一種=チロシンが含まれており、切ったところが空気に触れると、チロシンの酸化が始まります。さらに、じゃがいもに含まれている酵素=チロシナーゼがチロシンの酸化を促し、メラニンを作り出すため変色が起こります。
変色する理由②鉄分とジフェノール
切ってすぐの生のじゃがいもが、茹でたり温めたりしたときに変色した場合は、水煮黒変が考えられます。 水煮黒変は鉄分・ジフェノールが多く含まれている場合に起こり、じゃがいもに熱を加えることで鉄分とジフェノールが結びつき、ジフェノール化合物を作り出すため変色が起こります。
じゃがいもの変色を防ぐにはどうすればよい?
切ったり、皮をむいたりした生のじゃがいもは、できるだけ空気に触れる時間を短くし、水や酢水につけてから調理すると、変色を防ぐことができます。
水・酢水にさらす
水の量に対して1%から2%の酢を入れた「酢水」に 10分程度さらすことによって、アク抜き・変色を防ぐことができます。ただ、じゃがいもは長い時間、水にさらすと、じゃがいもの栄養分が水に溶け出してしまうため、さらすのは10分から15分程度にし、早めに調理するようにしましょう。
じゃがいもは変色しても問題なく食べられる?
切ったり茹でたりしたじゃがいもの変色は、傷みや腐敗ではありませんので、問題なく食べることができます。ただ、紫がかった色や黒色が目立つじゃがいもは、見た目が悪いため、気になる方は、取り除くとよいでしょう。
黒や紫がかった色になったじゃがいもの味は?
紫がかった色や黒色になってしまったじゃがいもは、味が悪いと思う方もおられるでしょう。しかし、見た目が悪くても、味に変わりはなく、おいしく頂くことができます。気になる場合は取り除くしかありませんが、味付けをしていないものであれば、潰してコロッケなどに使うと、黒い部分もあまり気にならないでしょう。
じゃがいもの皮が緑色になったものは要注意!
じゃがいもは長時間、光を浴びることで葉緑素(クロロフィル)が作られ、皮が緑色に変色してきます。 緑色に変色した部分や、じゃがいもの芽には ソラニン・チャコニンと呼ばれる有毒成分が含まれており、有毒成分が含まれる箇所を除かずに食べると食中毒を起こす原因となります。苦味やえぐみも感じられますので、注意が必要です。
じゃがいもの有毒成分について
じゃがいもには微量の有毒成分が含まれていますが、体に害を与えるほどの量は含まれていません。しかし、光にあたり、緑色になってしまったじゃがいもは、有毒成分が増えており、食中毒の原因になります。また、栽培がしっかりと行われずに育てられた、未熟で小さなじゃがいもも、有毒成分が高い傾向にあるため、注意しましょう。
じゃがいもの保存方法
じゃがいもは長期保存ができる野菜です。しかし、保存方法を間違うとすぐに緑化し、芽が伸びてきます。上手に保存して、じゃがいもを長持ちさせましょう!
常温保存
じゃがいもは極端な低温・高温を嫌います。また、光があたる場所での保存は、じゃがいもの緑化が進み、芽が伸びるのも早いため、光を遮断することが大切です。新聞紙などに包んで涼しく暗い場所で保存するようにしましょう。
冷蔵保存
風通しのよい涼しい場所を確保するのが難しい場合は、じゃがいもを紙で包み、保存パックや発泡スチロールに入れ、冷蔵庫の野菜室で保存するとよいでしょう。冷蔵庫の野菜室は若干、冷蔵室よりも温度が高いため、紙で包んだじゃがいもを、ビニール袋に入れておけば大丈夫です。冷蔵庫に入れるときには、りんごと一緒にじゃがいもを入れておくと、芽が伸びるのも遅くなります。
冷凍保存
潰したり、細くカットしたりしたじゃがいもは、冷凍しても食感が変わることはありません。細切りにしたじゃがいもは炒め物や揚げ物にすると便利です。また、茹でて潰しておくと、ポテトサラダやコロッケなどにもすぐに利用でき、調理する手間も省けます。
まとめ
じゃがいもの旬は春と秋。長期保存が可能なじゃがいもは、常にストックしておきたい野菜のひとつです。普段は常温でじゅうぶん保存できるじゃがいもですが、夏場、涼しい場所が確保できない場合は、冷蔵庫の野菜室を活用したり、マッシュポテトにして冷凍保存するのもよいでしょう。調理後、黒や紫がかった色に変色しても味に変わりはありません。栄養満点のじゃがいもをおいしく召し上がって下さいね!
出典:筆者撮影