じゃがいもをベランダで栽培する方法
じゃがいもは初心者でも育てやすい野菜です。植えつけ時期は春(2月下旬~4月中旬)と秋(8月下旬~9月)の年2回で、生育適温は15~25℃です。栽培にはひなたが適しています。土が乾いたら水を与えますが、過湿は厳禁です。連作障害を起こしやすいじゃがいもは、同じナス科の植物(トマトやピーマンなど)を植えた土には3~4年植えられません。
用意するもの
種イモ
種イモはホームセンターや園芸店で購入できます。一般的な販売時期は12月下旬~4月中旬ですが、植えつけ直前に購入するのがおすすめです。あまり早い時期に買うと、植えつけ前に腐りやすくなるので注意しましょう。切らずにそのまま使える小さな種イモなら初心者でも植えやすいです。好きな品種を選んでください。
プランター・受け皿
深さ30cm以上の深型プランターを用意してください。横幅は1株につき30~40cm必要です。植える株数にあわせてプランターのサイズや個数を決め、受け皿も忘れずに購入しましょう。なお、深型プランター以外では培養土が入っていた袋でも栽培できます。袋の底に排水用の穴をあけて使用しましょう。
土・肥料
実際に筆者が栽培に使った土です。
じゃがいもは一般的な野菜用の土で育てられますが、ベランダ菜園では重量の軽い土がおすすめです。植えつけの1週間前に土に肥料(一般的な野菜用かじゃがいも専用のもの)を混ぜておいてください。土や肥料は生育途中にも使用するので少し多めにあると安心です。なお、酸性の土を好むじゃがいもの栽培には石灰は必要ありません。
ベランダでのじゃがいも栽培の手順
手順①芽出し
芽出しとは、植えつけ前の種イモに日光をあて発芽させることです。必須ではありませんが、順調な生育のためには芽出しをしておくのがおすすめです。芽出しは植えつけの2~3週間前からおこないましょう。明るい時間帯に種イモを外に出し、気温の下がる夜間は室内で保管してください。
手順②種イモのカット・植えつけ
サイズの大きな種イモは植えつけ前日にカットしておきましょう。腐敗防止のため、切り口には草木灰やハイフレッシュなどをつけ、翌日まで天日干ししてください。植えつけでは種イモを深さ5cmまで埋めます。後で土寄せをするときに困らないよう、土はプランターの半分くらいの量にとどめておきましょう。
手順③芽かき・土寄せと追肥
芽が5cmまで伸びたら芽かきをします。元気な芽を2~3本だけ残し、ほかは引き抜いてください。種イモが抜けないよう根元を押さえて引き抜くのがポイントです。また、芽かきの直後と草丈30cmになったら土と肥料を追加します(=土寄せと追肥)。じゃがいもが日光に当たると、食中毒の原因となる天然の毒素が増えて危険なので、しっかりと土寄せしましょう。
ボタニ子
徒長を防ぐため、肥料のあげすぎにも注意してください。
手順④花摘み
じゃがいもの花を摘むべきかについては賛否両論ありますが、花を摘むメリットは収穫量がわずかに増えるということです。デメリットとして、病気にかかりやすくなる点が挙げられます。また、ベランダ菜園で花を楽しむ場合は、花が落ちたら早めに片付けましょう。花の色や形はじゃがいもの品種によって異なります。
手順⑤収穫
葉の7~8割が黄色く枯れたら、土がよく乾いた晴れの日に収穫してください。一般的な収穫時期は、春作では5月下旬~6月中旬、秋作では11月中旬~12月上旬です。ベランダ菜園では新聞紙を敷いてから作業すると片付けが簡単です。スコップを使う場合はじゃがいもを傷つけないようにしてください。
ボタ爺
梅雨時期はじゃがいもが腐りやすくなるので、春作では梅雨入り前に収穫するのがおすすめです。
ボタニ子
ただし、早すぎる時期に収穫すると、じゃがいもに毒素が残りやすくなるので注意しましょう。
じゃがいもの病害虫対策
「テントウムシダマシ」などの害虫を見つけたら捕殺するか殺虫剤などで対策してください。暖かい時期には特に注意が必要です。また、イモの表面にかさぶたのようなブツブツができる「そうか病」や葉が黒くなる「疫病」にも気をつけましょう。病気予防には質のよい種イモ選びや連作を避けることなどが重要です。
ベランダ菜園での注意点
じゃがいもの栽培に限らず、ベランダ菜園では植物を育てるうえでの基本的なこと(日当たりや風通しなど)のほかにも気をつけなければならないことがあります。近隣トラブルの原因となる可能性もあるので、特に集合住宅に住んでいる場合はベランダ菜園を始める前に必ずチェックしておきましょう。
注意点①集合住宅の規則
集合住宅のベランダは専有部分ではなく共用部分です。規則に基づいて使用されなければなりません。ベランダ菜園を禁止しているマンションなどもあるので、管理規約には必ず目を通してください。また、ベランダの耐荷重が気になるときには施工業者や家主に確認しましょう。
注意点②プランターの置き場所
避難用ハッチや避難経路のそばにプランターを置かないでください。落下のおそれがあるところや、小さな子がいる家庭では子どもの足場になりそうな柵付近も避けましょう。また、風が強い日などにはプランターを部屋の中に入れる必要が出てくるかもしれません。室内にも置けるスペースを確保しておくと安心です。
注意点③衛生面の問題など
ベランダを清潔に保ちましょう。排水溝詰まりの原因となるので、泥水や枯れ葉はこまめに取り除いてください。また、階下への水漏れを防ぐため、プランターの下には受け皿を敷き、水やりのときにもなるべく水をこぼさないよう注意しましょう。害虫対策もしっかりとおこなってください。
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実際に筆者が栽培に使ったプランターです。