じゃがいもの収穫時期と保存について
じゃがいもと言えば、イモ類の代表格で、最も代表的な食材のひとつです。じゃがいもの収穫を経験したことがある、という人もかなりいるのではないでしょうか。そんな身近なじゃがいもですが、もう一歩踏み込んで、じゃがいもの適切な収穫時期はいつなのか、さらには、収穫後の保存方法のコツとはどんなものなのでしょうか。じゃがいもについて、もっと知ってみましょう。
春じゃがと秋じゃが
じゃがいもは、2~3月頃に植え付けを行い、おおよそ6月頃には収穫期を迎える春じゃがと、8~9月頃植え付け、霜が降りる前に収穫期を迎える秋じゃがと、2通りの栽培時期があります。秋じゃがは、残暑の厳しい時期に暑さに弱いじゃがいもを植え付けなければならず、さらに霜が降りる前に収穫しないと、じゃがいもが育つ前に枯れてしまうことがあり、初心者には難しいかもしれません。
最初にじゃがいも栽培に挑戦するときは、春じゃががおすすめよ!
保存が効くのかどうか
じゃがいもは、種類による違いはありますが、基本的には長期保存に適した作物です。じゃがいもはもともとインカ帝国の食べ物でした。しかし栽培しやすく、保存もきくので、ヨーロッパや日本でも最初は観葉植物として扱われていたのが、次第に食糧として重宝されるようになっていきました。長期保存のコツは後述します。
じゃがいもの植え付け
美味しいじゃがいもを収穫するためには、植え付けの段階から収穫期にかけて、いくつかの栽培方法のコツを知っておく必要があります。基本的な栽培方法や、植え付けからいつぐらいの段階で収穫するかなど、基本的な栽培方法は春じゃがでも秋じゃがでも変わりません。植え付けから順番にみていきましょう。
植え付け
作物を育てるとき、まずはそれに適した土づくりをする必要があります。作物を植え付ける前の土壌に必要に応じて肥料をやる、つまり元肥をします。このとき気をつけることは、じゃがいもは比較的弱酸性の土地で育てる必要がある、ということです。元肥で、土壌をアルカリ性に近づける石灰肥料をやりすぎてはいけません。
肥料
じゃがいもは種芋を植え付けて育てます。この種芋は、元々養分を蓄えているため、自力で芽や根を出すことができ、最初にじゃがいもが芽や根を出す段階では肥料はさほど必要ありません。いつ肥料が必要となるかというと、育った根が横に伸びてきたときです。じゃがいもの根は浅いところで横に伸びてくるため、肥料は伸びてきた根の先に置く、つまり置き肥にします。
土寄せ
じゃがいもは地中の浅いところに根をはるため、栽培中の土を放っておくと、地表にいもが露出してしまいます。じゃがいもは日光にさらされると、緑色に変色し、この緑色の部分にソラニンという有毒物質を蓄えるのです。そこで、栽培する場所は、しっかりと土寄せし、高畝にしておきましょう。
ボタ爺
「日光にさらさない」ことは、じゃがいもの栽培時期、収穫期さらには収穫後の保存期間も含めて、もっとも注意しなければいけないことの1つじゃ。
「芽かき」が重要
じゃがいもは、1株から芽が5~6本同時に出てきます。芽の数が多いとじゃがいもの個数も多くなりますが、その分小さいじゃがいもができます。そこで、植え付けから1か月くらいしたら、1株から芽が1~2本になるよう、「芽かき」をします。芽かきとは、成育のよい芽を残し、残りを根元から引き抜くことです。
ボタニ子
このとき、種芋は抜けないよう、残す芽の根元を抑えながら抜こうね。
芽かきの後も土寄せをするよ。
じゃがいもの収穫とタイミング
じゃがいもの収穫のタイミングは植え付けからおよそ100日くらいで収穫期を迎えます。植物の成長なので、これはあくまで目安です。ここでは、じゃがいもの収穫の時期がいつなのか、タイミングを見極めるコツについてみていきましょう。
じゃがいも収穫の時期
葉や茎が枯れ始めたら
私たちが食べているじゃがいもは、地中の茎を肥大化させたものです。この地中の茎が十分に肥大化しているかをみる目安は、地上に出ている茎や葉の状態なのです。新じゃがの場合は異なりますが、地上の茎や葉が枯れ始めるタイミングが、収穫期が訪れたことを知らせる目安となります。
新じゃがの場合
じゃがいもの収穫期の初期に出回るのが新じゃがです。新じゃがの場合は、地上部分の茎や葉が枯れだす前に収穫をします。早い段階で収穫し、貯蔵せずに出荷するため、薄い皮ごと食べられる、水分の多いじゃがいもになります。じゃがいもは日本では北海道でその大半が収穫されていますが、新じゃがの場合は春先に九州地方からも多く出荷されています。
花を目安にするか葉茎を目安にするか
じゃがいもにも花が咲きます。じゃがいものような根菜類は、一般的に植物の栄養成長期に収穫する、というのが一つの目安です。栄養成長期とは、植物が体をつくる期間で、通常は花の咲く前になります。しかし、じゃがいもの場合は、花の咲いている時期はまだじゃがいもが成長している時期なので、ここで収穫してしまっては、収穫のタイミングとしては早すぎてしまいます。
ボタニ子
じゃがいもの収穫の目安は、あくまでも茎と葉の状態を見て判断するのがいいよ。
ちなみに、花は栄養分をじゃがいもと分け合っているから、花を摘み取ってしまったほうが、収穫量は少し多くなるのよ。
ボタニ子
絶対に花を摘み取らなきゃいけないというほど影響はないから、花も楽しみたい人はそのままにしよう!
収穫期の天候は重要
じゃがいもの収穫期が訪れたら、いつ収穫するかは天候を気にする必要があります。じゃがいも堀りのタイミングは土が十分に乾いた、晴れた日が2~3日続いた後が最もよいです。土の表面が湿っていると、いもの表面についた傷から菌が入って腐ってしまうことがあるからです。収穫後も2~3時間風通しのよいところに広げ、表面を乾かします。
ボタニ子
梅雨入り前に収穫できるといいね。
出典:写真AC