サトウキビとは
サトウキビは、イネ科サトウキビ属の植物です。縦に入った繊維や節から、見た目は竹や笹に似ています。しかし中は空洞でなく、甘い髄(ずい)が詰まっています。砂糖やバイオエタノールの材料として使われる他、うま味調味料の原料としても利用されています。
学名 | Saccharum officinarum |
和名 | サトウキビ |
原産地 | ニューギニア島 |
草丈 | 2~3m |
砂糖の原料として欠かせない
サトウキビはテンサイと並んで、砂糖の材料である世界的に大切な植物です。サトウキビは冬になると、節の中の髄に甘さを十分に蓄えます。これを絞って濃縮・凝固させたものが黒砂糖です。一般的に使われている白砂糖は、更に何度も濾過(ろか)を繰り返すことで純度を高めたものです。
サトウキビで作られるお酒
サトウキビは、砂糖以外にもさまざまな利用方法がある、大変無駄のない植物です。中でも特に有名なのが、お酒です。お酒を作るためのアルコール発酵には糖分が必要であり、サトウキビは糖分が特に豊富であるからです。ラム酒やカシャッサ・黒糖焼酎など、多くの種類のお酒が世界中で作られています。
多くは蒸留酒
世界中で作られているサトウキビのお酒ですが、洋酒を中心にその多くは蒸留酒です。蒸留酒とは、発酵させて作ったアルコールを更に蒸留することでアルコール度数を高めたお酒を指します。通常の醸造酒はアルコール度数は20%程度が限度ですが、蒸留することでこれをさらに高めることができます。
サトウキビのお酒1:ラム酒
サトウキビを使ったお酒の中でも一番有名なのが、ラム酒です。世界四大スピリッツの一つにも数えられ、非常に種類が多いのが特徴です。甘い香りと風味から、世界的に人気が高い洋酒の一つでもあります。また、ブラジルのカシャッサも、ラム酒の親戚にあたります。
甘い香りと味わいが特徴
ラム酒は、カラメルに似た香りと深い甘さが特徴です。この甘さのおかげで、蒸留酒の中でも比較的飲みやすく、日本人好みの洋酒とも言われています。多くの種類がありますが、大きく分けると透明で癖の少ないホワイトラム、適度な香りと甘みで飲みやすいゴールドラム、濃い色と風味を持ちダークラムに分類されます。
サトウキビの廃糖蜜を蒸留
ラム酒の作り方で一番特徴的なことは、サトウキビから砂糖をとった後の廃糖蜜(黒蜜・モラセス)を原料にする、ということです。砂糖を精製して残ったカスとはいえ、糖分は60%とまだまだ残っています。そこでこれを発酵させ、カラメルのような甘い風味が残った醸造酒を作ります。
蒸留後に樽で熟成
蒸留を繰り返してアルコール度数を高めたラム酒は、樽(たる)の中で貯蔵され、風味を高めていきます。樽は主にナラが使われますが、素材によって風味が変わってきます。また、熟成期間に応じて色や香りが濃くなっていきます。透明なホワイトラムは、短時間の熟成のあとに活性炭に通したものです。
ラム酒は海賊のお酒?
ラム酒と聞くと、「パイレーツ・オブ・カリビアン」などの海賊映画を連想する人も多いかもしれません。当時の海賊たちは、ラム酒を何より愛していました。当時の航海は、陸上に上がれない日が何十日にも及ぶ危険なものでした。しかし、当時は冷蔵技術などありません。そのため、水より腐りにくく安価なラム酒が多用されたのです。
誕生のきっかけはコロンブス
カリブには、本来サトウキビは自生していません。しかし、コロンブスが持ち込んだサトウキビは、カリブの気候にとてもよくあっていたのです。そのため、三角貿易の大切な一角として砂糖栽培が栄えました。カリブと言えば海賊たちの一大拠点でしたから、廃糖液で作れるラム酒は、海賊たちと相性が良かったのです。
定番はストレートやロック
ラム酒は、甘い香りから日本でも人気の高い洋酒の一つです。そのまま飲む場合には、ストレートやロックが比較的好まれます。おつまみは、ナッツが定番です。これは、適度な塩気がありながらも味の主張が強くないので、ラム酒の甘い風味を邪魔しにくいためです。また、ダークラムにはチョコレートをあわせるのも定番です。
カクテルベースとしても人気
ラム酒は、カクテルベースとしてもよく使われています。特に人気が高いのはモヒートです。炭酸水とライム、砂糖をラム酒と合わせてミントを加えるシンプルなレシピですが、日本の暑い夏にもぴったりです。また、ラム酒をコーラで割ってライムを加えたキューバ・リブレも美味しいですよ。
ケーキなどの製菓材料にも
甘いラム酒は、製菓材料としても人気が高いお酒です。特にドライフルーツとの相性が良く、レーズンをはじめとしてさまざまなフルーツがラム酒に漬けられています。また、パウンドケーキやシュトレン、トリュフなどに加えると、ラム酒独特の甘い香りを目一杯楽しむことができます。
ボタニ子
次のページでは、日本で作られているサトウキビのお酒について紹介します。
出典:写真AC