展着剤の使い方
展着剤には入れる順番や量があり、使い方を間違うとせっかくの展着剤も効果が薄れてしまいます。正しい展着剤の使い方をご紹介していきます。
使い方①入れる順番
展着剤が一番最初
薬剤を水で希釈する場合、基本的に混ざりやすいもの(界面活性剤の多いもの)から混ぜていきます。つまり、界面活性剤が主体の展着剤が一番最初になります。
水和剤など混ざりにくい薬剤は最後
1つの薬剤ならば展着剤のあとに入れるだけでよいですが、2種類の薬剤を混ぜる場合はさらに順番があります。展着剤のあとに乳剤や液剤を入れ、一度よくかき混ぜます。その後に水に混ざりにくい水和剤や水溶剤、フロアブル剤を入れ、再びよくかき混ぜて完成です。
使い方②使用上の注意点
適用のある薬剤を確認する
展着剤には相性のよい薬剤の組み合わせがあり、必ず適用のある薬剤を確認してから用いましょう。適用外の薬剤に展着剤を加えると、薬害など悪影響が出る恐れがあります。
展着剤の入れすぎは逆効果
たくさん展着剤が入ると、より薬剤が付きやすくなるどころか、逆に付きが悪くなる場合があります。特にもともと薬剤が付きやすい植物には、影響が強く見られます。また薬害を引き起こす原因にもなりますので、薬剤ごとの規定量はしっかり守りましょう。
展着剤不要の薬剤がある
乳剤やフロアブル剤などは、薬剤の付きをよくする機能をすでに持っているため、展着剤が不要の場合も多く、使える展着剤が限られています。ラベルやパッケージに「展着剤不要」と記載があるものには、用いないようにしましょう。
展着剤が必須のケースは?
少ない薬剤で効率よく防除するため、展着剤が必須のケースを知っておくことが大切です。なかでも下記のようなケースは、ぜひ活用しましょう。
ケース①水をはじきやすい植物や害虫への散布
植物や病害虫の中でも、次のような特徴をもつ場合、ほとんど薬剤を弾いてしまいます。
- 表面がワックスのようにロウ物質(クチクラ層)でコーティングされている植物
- 細かい毛で覆われている植物
- 毛やキチン質のような固い殻で覆われている害虫
ケース②家庭菜園など野菜類への散布
できるだけ少ない農薬で野菜作りをするためにも、ぜひ展着剤を利用し効果的に防除を行いましょう。特にネギやキャベツなど、薬剤が付きにくい野菜には必須です。薬剤の付きやすさを一覧にまとめてみました。
薬剤の付きやすさ | 野菜例 |
付きにくい | イネ、ムギ、ダイズ、ネギ、キャベツ、サトイモ、アスパラガス |
やや付きにくい | トマト、ナス、ジャガイモ、イチゴ、メロン |
付きやすい | キュウリ、インゲン、サツマイモ、チャ、トウモロコシ |
ケース③果樹への散布
定期的な病害虫防除が欠かせない果樹は、使用量も多いため展着剤で効率よく農薬を散布しましょう。屋外での散布も多いため、雨に強い展着剤を利用するとよいでしょう。果樹の薬剤の付きやすさは下記の通りです。
薬剤の付きやすさ | 果樹例 |
やや付きにくい | ブドウ、カキ |
付きやすい | リンゴ、モモ、ナシ |
画像出典:筆者撮影