トマトが赤くならない
トマトといえば真っ赤で鮮やかな色が印象的な野菜です。家庭菜園でも比較的育てやすいのですが、せっかく実ったトマトが青いまま赤くならない、色づきが悪いという場合もあります。トマトが赤く色づくメカニズムや、日当たりや温度、栽培方法を確認してみましょう。
トマトが赤くなる仕組み
トマトが赤くなるメカニズムは、紅葉によく似ています。緑色の茎や葉にはクロロフィルという成分が含まれています。水分と栄養分が吸収されクロロフィルがつくられ植物が成長しますが、積算温度などの一定の条件が揃うとクロロフィルの生成が少なくなり分解され、リコピンやカロテンの生成が促進されトマトが赤くなるのです。
ボタニ子
トマトが赤くならない原因
緑色のトマトが赤くなるためにはいくつかの条件が必要あります。まず栽培方法が適切でトマトが順調に生育していることが前提です。トマトが赤く色づくには温度と日光が不可欠で、天候に恵まれず1か月たっても色づきが悪く赤くならないという場合もあります。トマトが赤く色づかない原因がどこにあるのか、一つひとつ対策しましょう。
原因①温度
トマトが赤く色づくために必要なポイントの1つは温度です。ある程度の気温が継続することが必要です。「積算温度」といって、実がなる前の花の状態から計算して、一定以上の温度が累積しなくてはトマトは赤くなりません。必要な積算温度は品種によって異なります。トマトが赤く色づくまでには思った以上の時間がかかるのです。
ボタニ子
トマトの積算温度は1100~1200℃です
ボタ爺
トマトの場合は、一日の平均気温20℃で50~60日必要じゃ。思ったより長くかかるもんじゃな。
原因②日当たり
温度も必要ですが、それには日当たりがとても重要になります。栽培場所が日当たりが悪いとトマトはなかなか育ちません。プランターで育てている場合は日当たりのよい場所に移動させることができます。日当たりがよい場所で育てれば積算温度の条件も満たしやすく、トマトを赤く色づかせることができるでしょう。
原因③土の栄養素の問題
すべての植物は土から栄養を摂り、大きく育ち実をつけます。トマトの実が十分育つためにはさまざまな栄養素を含んだ培養土を使い、成長に応じて定期的に追肥することが大切です。果樹を育てるときは窒素過多にならないように、リン酸を多めに配合した土を用意して植え付けましょう。トマト専用の培養土も市販されています。
ボタ爺
窒素過多の土で果樹を育てると、病害虫被害が増えて生育が悪くなりやすいんじゃ
原因④摘果・摘心
果物や花を育てるときに摘果・摘心をすることがあります。たくさんの実や花をつけることができても、栄養がいきわたらないとサイズが小さかったり、十分に育たなかったりするものが出てきます。多すぎる花や実を意図的に摘んで、ほどよい数の花や実にそれぞれに十分な栄養を行きわたらせると、大きく成長したものを収穫できるでしょう。
ボタニ子
形の悪いものや実が小さいもの、見た目が悪いものを摘果・摘心して、一房に3~4個の実がなるようにします
赤くならないトマトを色づかせる方法
トマトを赤くする方法はいくつかあります。一番簡単な方法は待つことです。実がなっていれば、積算温度が十分になるとトマトは赤く色づきます。何もしていないようですが、「日にち薬」という言葉があるように時間がたつことで積算温度が累積していき、自然と赤く色づいていくのを待ちます。
①日当たりの工夫
日当たりがよくない場合、プランターで育てていれば日当たりがよい場所に移動させるのが効果的な方法です。また、地植え・プランターどちらでも行うのが「葉かき(摘葉)」です。トマトによく日光が当たるように茂りすぎた葉を取り除き、空気の流れをよくしてトマトが自然に色づくのを促します。
②栄養のある土で育てる
トマトの色づきをよくし、たくさんの実をつけるためには土の栄養分が必要です。肥料が配合された培養土を使って植え付けます。果樹を育てる場合は、葉や実に栄養を行きわたらせるために、リン酸が多めの肥料を使いましょう。植え付けてから1か月後から2週間に一度、追肥を行うのがおすすめです。
ボタ爺
栄養不足なのか栄養過多なのかを見極めよう
栄養不足・栄養過多の見極め方
栄養が不足している場合は追肥をしますが、多すぎる場合もあります。目安は葉や茎の様子を観察して、茎が細く葉の枚数が少なく弱々しい印象なのが栄養不足、茎が太く葉が裏側に巻いておりアンバランスな印象の場合は栄養過多です。栄養過多の場合も実がなりづらかったり、色づかなかったりする原因になるので気をつけましょう。
栄養過多の場合
- 水やりで多めに水を流して肥料成分を土から流すようにしましょう
- 追肥は3週間に一度くらいに減らすといいでしょう
おすすめの肥料
植えつけ用の肥料とは別に追肥を行って、色づきがよいたくさんの実を収穫できるようにします。花や木を育てる肥料ではなく、果樹用の肥料をえらぶとよいです。追肥ありとなしでは生育の仕方や収穫量が倍以上の差がでます。ぜひ追肥は行うようにしましょう。有機肥料と化学肥料を組み合わせて使用するのもおすすめです。
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【植えてからの肥料】日清ガーデンメイト 野菜の追肥 3kg
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野菜のための追肥用の肥料です。追肥として必要な成分がバランスよく入っており、有機栽培用で安全でおいしい野菜が収穫できます。
おいしい野菜の肥料
自然応用科学 おいしい野菜の肥料 2kg
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トマト以外の野菜にも使えて、元肥・追肥ともに使用できます。有機肥料独特のにおいがほとんどないため、広い畑だけでなく庭やベランダでのプランター栽培でも使いやすい商品です。
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ハイポネックス トマトの肥料 150g
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ハイポネックスのトマト専用の肥料です。錠剤(タブレット)なので軽く株の周辺に置くだけで施肥でき、使い方も手軽で便利です。さまざまな肥料がありますが、トマト専用なのでトマト栽培に必要な成分に特化しているのが特徴です。
トマトとミニトマトのちがい
違い①栄養素
トマトとミニトマトでは栄養価に違いがあります。ミニトマトの方が栄養素が凝縮されており、5~6個で1個のトマトの栄養素と同じくらいです。大きい一般的なトマトは見た目も立派で収穫の達成感もひとしおですが、ミニトマトは小さいので食べやすいです。栽培も一般的なトマト(桃太郎トマトなど)と比べてみるミニトマトのほうが手軽で簡単で人気があります。
違い②積算温度
一般的なトマトは花が咲いてトマトが赤くなるのに積算温度が1000~1100℃で約50~60日かかりますが、ミニトマトは850~900℃ほど、約45日で赤く色づきます(平均気温20℃で育てた場合)。ミニトマトのほうが多少積算温度は少ないです。
赤くならないトマトもおいしく食べられます
家庭菜園でトマトを栽培している方は多いでしょう。なかなか赤くならないと不安になるかもしれませんが、まずは待つことも大切です。一つひとつ問題を解決してトマトが赤くなるのを待ちましょう。青いトマトのまま落ちてしまうこともありますが、気にしないで食べてみてください。サラダや漬物などで楽しめますよ。
赤くなったトマトの収穫が遅れると実が割れてしまうことがあるので、色づいたら早めに収穫しましょう。