トマトの種類と特徴
トマトの種類
トマトは、大玉トマトと言われる大きなもの、中玉のミディトマト、そしてミニトマトの3種類の大きさに分けられます。
トマトの特徴
よく日が当たる土地を好むトマトは、きゅうりなどの夏野菜と違い、乾燥気味な土地でもよく育ちます。更に、昼と夜の気温差があると、より甘く美味しいトマトができます。なぜこのような過酷とも言える気候を好むのか。それは、南米アンデス山脈の高原地がトマトの原産地であるためです。
トマトの苗の種類と選び方
トマトの苗には、育ち方が違う2種類の苗があることをご存じですか?「実生苗(みしょうなえ)」と呼ばれる苗が1種類目。そしてもう1種類は「接ぎ木苗」。見た目同じような実生苗と接ぎ木苗ですが、この2つの苗には違いがあります。
実生苗と接ぎ木苗の違い
実生苗とは「種から育てた苗」のことです。また、接ぎ木苗とは「丈夫な品種の根の台木と茎の穂木(ほぎ)を接ぎ木した苗」のことです。
実生苗と接ぎ木苗の長所・短所
良い所 | 悪い所 | |
実生苗 | 価格が安い | 病気になりやすい 収穫量も少なめ |
接ぎ木苗 | 病気になりにくい 収穫量が多い |
価格が高い ※実生苗の約3倍~5倍 |
苗の選び方
丈夫な苗を増やすためにも、苗選びはとても大切です。以下6つを参考に良い苗を選んでみましょう。
- 苗の葉が濃い色をしたもの
- 苗の茎は太く、真っ直ぐなもの
- 節と節の間隔が狭いもの
- 苗のポットの底から、根が見えているもの
- 1番花が咲いている、または蕾が付いているもの
- 双葉が残っているもの
トマトの苗を増やすメリット(利点)
では、本題の増やし方ですが、まず、同じトマトの苗を増やしていくと、次のようなメリットがあります。
- 同じ特徴(甘いなど)を持った苗を、増やすことができる
- 苗の成長時期がずれることにより、収穫の時期もずらすことができる
トマトの苗の増やし方とは
では、具体的にどうやってトマトを増やすのでしょうか。皆さん「挿し木」という方法をご存じですか?トマトの場合、この「挿し木」には「脇芽」を使います。この「脇芽」はトマトを育てる時、普通なら摘んで捨ててしまうものです。
脇芽って何?
先ずは、上の写真からご覧下さい。縦に伸びた太い茎。これを主枝(しゅし)と言います。この主枝の横に、ちょこんと芽が出ているのが分りますでしょうか。これが「脇芽」です。通常、トマトを育てる上では、この脇芽がそのまま残ると栄養を吸ってしまうため、主枝に栄養が十分行き渡らなくなってしまいます。そのため、「脇芽」は摘んであげるんですね。
脇芽を摘む
脇芽を摘む。これを「芽かき」と言います。トマトを育てる時、なるべく小さい内に脇芽は取った方がいいです。ですが、この脇芽から苗を育てるとなると話は別です。10cm~15cmくらいの大きさになった脇芽が理想の大きさです。手で摘むことをおすすめしますが、ハサミを使うときには必ず綺麗なものを使うように注意しましょう。(元の枝の切り口にハサミに付いた菌などが付着して病気にならないようにする為です。)
トマトの挿し穂の作り方
挿し穂を作る時期
まだ暑過ぎない6月頃。この時期が、挿し木(挿し芽)をするには適しています。この時期は失敗が少なく、上手く根付かせることができます。上手く根付けば、8月頃に真っ赤なトマトの収穫ができるようになります。始めに「挿し穂」を作ってみましょう。(※「挿し穂」とは、挿し木(挿し芽)に使う枝のことをいいます。)
挿し穂の作り方
元となる苗から摘んだ脇芽を使い、挿し穂を作ります。挿し穂を作るため、脇芽の切り口をカットすることから始めましょう。カットの仕方も2通りあります。写真右は切り口を真っ直ぐにした「水平切り」、写真左は切り口を斜めにした「斜め切り」です。初心者の方は水平切りにして根の量を多くし、失敗のリスクを減らしましょう。
切り方 | メリット | デメリット |
斜め切り | 根が早く出る | 根の量が少ない |
水平切り | 根の量が多い | 根が出るのは遅い |
挿し木(挿し芽)での増やし方
挿し木(挿し芽)の方法としては、2通りの仕方があります。一つは、発根をするまで水に挿し、それから土に挿す「水挿し」です。もう1つは、挿し穂を水に挿し、十分に水を吸わせてから土に直接挿す「土挿し」です。
次のページから、増やし方を詳しく説明するよ!
トマトの苗の増やし方①(水挿し)
挿し木の手順
用意した挿し穂を発根するまで水に差し、土に植え付けるまでの手順です。
- 挿し穂の枝は、切り口から3分の1の葉を落とす
- 葉を落とした茎の、下から3分の1を水に挿す
- 約1週間~2週間くらい、発根し始める
- 発根から1週間くらい、根がしっかり張ってきたら土に植え付ける
挿し木を失敗させないコツ
- 水に挿すのは、葉を落とした部分の3分の1まで
- 水に挿した後は、日向に置かず明るい日陰で管理
- 水は毎日交換
- 土に植え付けたら水をたっぷり与える
トマトの苗の増やし方②(土挿し)
挿し木の手順
用意した挿し穂を直接土に挿し、育てる仕方の手順です。
- 挿し穂は1日水に挿し、十分に水を吸わせる
- 挿し穂を挿す土は、あらかじめ湿らせておく
- 土に指や棒等で穴を開け、挿し穂を植え付ける
挿し木を失敗させないコツ
- 挿し穂に水を吸わせるため、水上げの時間を十分にとる
- 土に植え付けた後は、水をたっぷりと与える
- 発根までは日向に置かず、半日陰の場所で管理
水上げの後、土に植え付ける時点で葉が萎れているようなら、それは水上げが失敗したものです。また、水上げせずに直ぐ土に挿す仕方もありますが、初心者にはあまりおすすめしない方法です。土はホームセンターなどに売っている、野菜の培養土を使うといいでしょう。
収穫までの流れ
6月頃に挿し木し、順調に成長すると、8月頃には収穫時期になります。天気や気温などにより、若干成長速度は変わります。成長の流れの目安にしてください。
土に根付き1週間~2週間後頃 | 挿し木した苗に脇芽が付く |
2週間~3週間後頃 | 花芽が付く |
3週間~4週間後頃 | 花が咲く |
4週間~5週間後頃 | 実が付く |
5週間~6週間後頃 | 収穫 |
肥料
トマトを育てる上で、肥料の選び方も大切になります。肥料には有機質肥料と化学肥料がありますが、トマトの苗をじっくりと丈夫に育てる為にも、有機質肥料を使うことをおすすめします。少し臭いは気になりますが、トマトの苗の成長に合わせ、効果は長く続きます。
まとめ
トマトを育てる上で捨ててしまう脇芽。この脇芽を上手く利用し、ミニトマト・大玉トマトだけでなく、ミディトマトや色の変わったトマトの苗も増やしてみてください。増やした苗が成長したら、8月には美味しいトマトをたくさん食べることができますね。
出典:BOTANICA