記事の目次
- 1.フルティカの特徴
- 2.フルティカの栽培スケジュール
- 3.フルティカの栽培準備① 注意点の把握
- 4.フルティカの栽培準備② 土づくり
- 5.フルティカの栽培準備③ 資材
- 6.さっそく栽培を始めてみましょう!
- 7.フルティカ栽培0日目(4月17日):苗の選び方
- 8.フルティカ栽培1日目:苗の定植
- 9.フルティカ栽培6日目:わき芽かき
- 10.フルティカ栽培15日目:支柱をたてる
- 11.フルティカ栽培17日目:病気
- 12.フルティカ栽培28日目:病気その後
- 13.フルティカ栽培34日目:追肥
- 14.フルティカ栽培36日目:摘果
- 15.フルティカ栽培51日目:収穫!
- 16.フルティカ栽培73日目:摘芯
- 17.フルティカ栽培114日目:最後の収穫
- 18.フルティカの実食
- 19.まとめ
フルティカの特徴
家庭菜園で栽培できる野菜の中で、特に品種の多いトマト!今回は、初心者でも育てやすいミディトマト、フルティカのご紹介です。病気にも強く生育旺盛なフルティカは、地植え・プランター栽培問わず、かんたんに育てることができますよ!さっそく、フルティカの特徴と栽培のポイントを見てみましょう。
フルティカの特徴
- 葉かび病、斑点病耐病性があるので減農薬栽培が可能
- 果皮に弾力性があるので、裂果が少なく見栄えがよい
- 生育が良く収穫量が多い
フルティカ栽培の概要と難易度
種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 | 難易度 |
トマト | ナス科 | 6.0~6.5 | 4年以上あける | ★★☆☆☆ |
フルティカとは、1つの実がピンポン玉サイズのミディトマトで、タキイ種苗が開発した「タキイミディ195」という品種です。2008年にフルティカという名称で商標の登録を受けており、種や苗、実は「フルティカ」の名前で流通しています。酸味が少なく、糖度は7~8度と高めなのが特徴で、リコピン含量が多い人気のミディトマトです。
フルティカの栽培スケジュール
一般栽培地でのフルティカの栽培スケジュールです。トマトの生育に適切な温度は21℃から26℃なので、栽培する地域の気温を確かめながら栽培スケジュールは参考にしてくださいね!また、種まきから定植苗まではおおよそ2か月です。温度や湿度管理が必要な育苗は大変なので、初めて挑戦するときには苗を購入するのがおすすめ!
フルティカの栽培準備① 注意点の把握
病気に強く初心者でも育てやすい特徴をもつフルティカも病気や害虫、ときには害獣の被害に合うこともあります。トマト栽培で注意が必要なポイントを4つ、おさえておきましょう!
①連作障害
前年と同じ場所に、同じ種類・科の野菜を植えて育てることを連作といいます。連作すると、2年目3年目から野菜の育ちが悪くなり、収穫量も減り、病気・害虫が多発してしまいます。プランター栽培の場合は、新しい土に入れ替える。地植えでは連作に強い台木をつかった接木苗を植えることで対策できますよ。
連作障害の原因
- 植えた野菜を好む土壌中の病原菌がふえていき病気がでやすくなる
- 悪玉線虫が根に寄生し産卵、根こぶが発生し根から水分・養分をとれなくなる
- 前年使った支柱や敷きワラに細菌が付着したまま使い病斑を発生させる
- 野菜自身の老廃物(生育阻害物質)が土壌中に蓄積している
②病気
葉カビ病に耐性のあるフルティカも気象条件や害虫によるウイルス媒介によってさまざまな病気にかかります。対策方法は主に薬剤散布です。葉や茎の色がおかしいなと感じたら、どんな病気になっているかを調べましょう。トマトは乾燥地帯原産ですから、梅雨時期は特に注意したいですね。
病名 | 症状 | 原因 |
青枯病 | 葉や茎が黄変することなく急にしおれたあと枯死する | 梅雨明けの高温期や排水不良時に多発、根や茎の傷口から病原菌が侵入することで発病する |
ウドンコ病 | 葉の表面に白い粉状のカビが発生しやがて黄色くなる | 原因菌は乾燥を好む、春から梅雨前までと秋に多発する |
葉かび病 | 葉の表面に輪郭不鮮明な黄色の模様ができて葉裏には褐色のカビが生じる | 原因菌は資材の残渣や風で飛んできた胞子によって発病、低温多湿時に多発する |
モザイク病 | 葉脈に沿ってモザイク模様の病変が生じて果実はすじ腐れ症・えそが生じるときもある | ウイルスは複数あり汚染種子のほか、主にアブラムシによって伝染する |
斑点病 | 葉に2~3㎜の黒褐色の斑点が生じ周囲は黄色く縁どられる | 被害植物の残渣(胞子)によって次々感染 低温多湿によって多発 |
③害虫の被害
トマトにつく害虫は、葉や実の食害が多いことが特徴です。虫の中にはウイルスを媒介するものもいるので、わき芽かきや摘果のタイミングで、葉や茎、実をよく観察しましょう。丸い穴があいた実をみつけたら、幼虫を探して実ごと処分します。
害虫 | 被害 | 対処法 |
モグリバエ | 葉を食害し最悪は枯死 | 殺虫剤(オルトランなど)で駆除 |
オオタバコガの幼虫 | 果実を食害する | 大部分の食害は実ごと処分、殺虫剤で駆除 |
コガネムシ | ||
テントウムシダマシ類 | ||
カメムシ類 | 果実や茎の汁を吸う | 捕殺、または殺虫剤(オルトランなど)で駆除 |
蛾の成虫 | ||
アブラムシ | ||
コナジラミ類 | 果実の着色異常 ウイルスの媒介 |
成虫は殺虫剤(オルトランなど)で駆除 |
④害獣の被害
トマトの実が色づき、間もなく収穫という頃にタイミングよくやってくるのが鳥たちです。防鳥ネットを設置することや、実が色づいたら早めに収穫してしまうことで対策できます。シカやアライグマも収穫期のトマトを狙っていますよ!
フルティカの栽培準備② 土づくり
家庭菜園で野菜を育てるときに大事な土づくり。ナス科であるトマトは、深くまで根をはる特徴があるので、地植えをするときには定植の2週間前までに元肥、たい肥、石灰を混ぜ込みよく耕しましょう。プランター栽培のときには、野菜用の培養土を購入するのがおすすめです。
元肥の効果
元肥(もとごえ)は、野菜が育つのに必要な栄養分を根から吸収できるようにするものです。ゆっくり効く緩効性で、N(窒素)P(リン)K(カリウム)の含まれるものがよく、フルティカ栽培では元肥は少なめにして、実が付いた後の追肥で調節していきます。
たい肥の効果
たい肥とは、落ち葉や畜ふんを微生物の働きで分解・発酵させたもので、腐葉土や牛糞、油粕などのことをいいます。土に混ぜ込むことで土壌微生物の餌となる他、肥料持ちがよくなり、たい肥の繊維質で排水性の良い環境をつくることができます。
石灰の効果
野菜を育てている露地の土壌は酸性雨が降ったり、雨でアルカリ分が流されたりして酸性に傾いています。植え付け前に土壌のpH値をチェックして、トマト栽培に適した酸性度[pH6.0~6.5]に調整しましょう。酸性度の強い土では野菜の根が傷み、アルカリ性の強い土だと育ちが悪く病気になりやすくなります。
フルティカの栽培準備③ 資材
フルティカを栽培するときに、最低限必要な資材をまとめました。無くてもよいものもありますが、中には100円ショップで手に入るものもあるのでぜひ活用してみてくださいね!
資材名 | 必要 | 概要 |
黒マルチシート | 〇 | 泥はね・雑草予防、保温、保湿、雨水除け |
シートピン | △ | マルチシートをとめるもの |
支柱 | 〇 | 果実の重みで苗が倒れないように主枝・わき芽を支柱に誘引する |
誘引ひも | 〇 | 支柱と主枝・わき芽を結ぶ |
肥料 | 〇 | 元肥は緩効性、追肥は速効性のある化成肥料がおすすめ |
園芸用はさみ | 〇 | 収穫時や摘芯をするときにつかう |
雨除けビニール | △ | あればよいが無くても育てられる |
次のページから、実際の栽培結果を紹介していきます!