家庭菜園でも人気のトマト
トマトの原産地は南米ペルーのアンデス高原で、日本へは鑑賞用として18世紀ごろに伝わりました。食用として栽培されるようになったのは、明治に入ってからです。トマトは免疫力を高めてくれるビタミンCと生活習慣病やがん予防に効果があるリコピンが豊富で、栄養価がとても高い野菜です。また、農薬を使わずに栽培しやすいことから家庭菜園でも人気があります。
ボタニ子
トマト栽培での元肥の与え方
トマトの栽培方法には、畑や庭で育てる地植えと、プランターや鉢で育てる鉢植えがあります。種、苗のどちらからでも育てられ、植え付け、芽かき、着果、収穫が一連の栽培方法です。地植え、鉢植えとも植え付け前に肥料を施す「元肥」、成長途中に肥料を与える「追肥」の必要があります。
トマトを育てる前に
元肥とは種や苗を植える前に土壌に肥料を施しておくことです。自然下では、植物や虫の死骸が土の栄養分になります。しかし、地植えでは十分な栄養量にならず、鉢植えでは土の量に限りがあるため栄養分が不足してしまいます。元肥で、トマトのために豊かな土壌を作りましょう。
元肥の与え方と量
地植えでのトマト栽培の場合
地植えでは、10㎡あたり0.4kgの化成肥料を施します。植え付ける場所の30cmほど下に肥料を置いて、上から土を被せます。
鉢植えでのトマト栽培の場合
鉢植えの場合は、直径と深さともに30cm以上のプランターや鉢の底に鉢底石を敷き詰め、その上から肥料の入りの野菜培養土を入れるのが簡単です。擦りきれるまで入れるのではなく、水やりで中身が溢れないように、少し高さを残してください。また、トマトの成長にはカルシウムが必要です。野菜培養土の商品表記を確認して、カルシウムが足りないときは、苦土石灰などを混ぜて補います。
トマト栽培での追肥の与え方
トマトが成長するにしたがい、植え付け時に与えた元肥が少なくなっていきます。元肥がなくなると、充分に栄養が行き渡らず、成長が滞ってしまいます。栄養不足に陥ると、新しい葉や実が作られません。また、せっかく実がなっても、栄養不足からお尻が黒くなる「尻腐れ病」などの病気にかかってしまいます。トラブルを防ぐためにも、追肥をしましょう。
最初の実が大きくなりはじめたら追肥する
最初の 追肥を与えるタイミングは、地植え・鉢植えとも、最初の実が大きくなり始めたらです。実がピンポン玉ぐらいの大きさになったら最初の追肥をします。時期としては、一番花の実が脹らみ始める5月中旬~花が付き終わる7月までです。また、最初以降の追肥のタイミングは、地植えと鉢植えで異なります。
地植えの追肥
奇数花に注目する
畑や庭など地面に直接植える地植えの場合は、一番花・三番花・五番花と奇数花の実が脹らみ始めたときが、追肥のタイミングです。苗の周りに沿って、化成肥料を一握り撒き、肥料の上から土をかけます。このとき、肥料が苗につかないように気をつけてください。苗に直接つくと、根が傷み発育が悪くなってしまいます。
鉢植えの追肥
1~2週間に1回が目安
鉢やプランターで育てる鉢植えの追肥には、根に直接栄養を与える液肥がおすすめです。メーカーにもよりますが、水1Lに対して原液を400~500倍に薄めて、水やりの代わりに1~2週間に1回追肥すします。ただし、トマトは乾燥に弱いため、土が乾いていたら追肥しましょう。
トマト栽培におすすめの肥料
肥料には有機肥料や化成肥料、粒状や固形と種類が豊富で、また栄養素の表示も多くあります。特に初心者の方は「トマトの肥料は何がいいかわからない」と、選ぶのに迷ってしまうかもしれません。トマト栽培初心者でも簡単に使える肥料を選び、丈夫なトマトを育てましょう。
おすすめの肥料①マイガーデンベジフル
マイガーデンベジフル
参考価格: 1,036円
住友化学の「マイガーデンベジフル」には有機質がブレンドされ、栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得しています。肥料を吸収しやすくし、土壌の保水性、通気性を高める効果が期待できます。粒状のため、元肥なら土に混ぜ込むだけ、追肥ならばらまくだけと簡単に使えるのも嬉しいポイントです。
おすすめの肥料②おうちのやさい
おうちのやさい
参考価格: 1,780円
「おうちのやさい」は、ユーザーの声と研究者の意見を取り入れ、リニューアルされました。野菜栽培に必要な栄養素がバランスよく配合されており、どの液肥を使えばよいかわからないトマト栽培初心者の方におすすめです。ボトルのキャップで計量できるため、簡単に希釈できて便利です。週に1回、株元に追肥として使用しましょう。
おすすめの肥料③トマトの肥料
トマトの肥料
参考価格: 330円
「トマトの肥料」は、土の上に置くだけの錠剤肥料です。即効性と緩行性の有機質が配合されており、効果は約1カ月間と安定して続きます。臭いが少なく、近隣を気にするベランダでのプランター栽培に最適です。生育期に置くだけのため、追肥として使用してください。また、トマトの肥料という名前ですが、ほかの野菜や草花にも使えます。
ボタニ子
トマトの肥料は何がいいかわからない、というときは、ずばり名前に「トマト」と入っているものを選ぶと安心ね!
おすすめの肥料④住友液肥
住友液肥
参考価格: 973円
「住友液肥」は、成長に必要な肥料の三要素、窒素、リン、カリのみがバランスよく配合されている液肥です。水に薄めて簡単に濃度調整ができ、成分は素早く根に吸収されます。連続で使用しても塩類が土に集積しにくく、成分が水溶性のため、土壌を傷めないやさしい肥料です。1週間に1回の使用がおすすめです。トマト以外の実ものや根もの野菜にも適しています。
トマトに肥料を与えるときの注意点
肥料の説明書通りに肥料を与えていても、「これで大丈夫かな」と心配になることもあるでしょう。そんなときに見分けるポイントがあります。ポイントは、トマトが出すサインに気づくことです。トマトの葉の状態や茎の太さで、肥料不足か肥料過多かが分かります。トマトのサインから、適切な量の肥料を与えて、よりおいしく育てましょう。
肥料不足
葉の状態が悪い
トマトの葉が外側に巻く、下の葉の色が薄くなる、新芽やその下の葉が小さくなるなどは、肥料不足のサインです。肥料に含まれるカリ不足から、このような症状が出ます。わき芽や不要な葉を取り除いて、栄養がトマト全体に届くように追肥しましょう。
茎が細い
茎の先端から20cmくらいまでが細くなり、成長点が上を向いた状態になるのも肥料不足のサインです。肥料が適度な状態なら、茎の太さは10~12mmで、葉は軽く下を向いています。即効性のある液肥での追肥をおすすめします。
肥料過多
葉が育ち過ぎる
肥料過多の場合、トマトの葉が内側に巻く、葉の色が濃い緑色になるなどのサインが現れます。成長点が上に伸びず、葉がどんどん大きくなっていきます。これは、土の中の窒素の量が異常に多いためです。肥料を与えすぎのため、茎を半分ほど切り落とし、栄養分を吸った葉を少なくします。また、水やりで余分な肥料を流しましょう。すると、成長点が上に伸びていきます。
茎が太い
茎が太くなってしまうのは、葉が育ち過ぎるのと同様、土の窒素の量が多いからです。品種にもよりますが、茎の太さが12mm以上では太いといえます。茎を切り落として、葉を減らしましょう。葉を切り落として余分な栄養を減らし、栄養が全体にバランスよく行き渡るようにします。
適切に肥料を与えて楽しくトマトを栽培しよう
自分で育てたトマトは、手間をかけた分、購入するトマトよりもおいしく味わえます。成長していく姿を見ながら、収穫を待つ楽しさもありますね。農薬を使わず肥料を適切に与えて、トマト栽培を楽しみましょう。
4月から植えつけを始め、6月下旬~9月上旬にかけて収穫します。夏の時期においしい野菜です!