苔植物とは
苔は地球上の植物の中でも大昔からある植物です。苔は苔類、蘚類、ツノゴケ類と大きく3種類に分けられ、日本には約2000種類以上の苔植物が自生しているといわれています。また、苔は花を咲かせない植物で、種ではなく胞子で繁殖する特殊な植物です。
苔植物の育て方
苔植物はその生育環境も幅広く、日の当たる乾燥気味のコンクリートの隙間であったり、渓流沿いの水際だったりと実にさまざまです。苔を上手に育てるには、移植する場所や管理する場所を自生している環境に近づけることが失敗しないコツです。
育て方①用土
苔植物は着生している場所もさまざまなので、好む環境や育てる場所により使用する用土を選びます。屋外で使用する場合は、赤玉とピートモスを3:7で混ぜるのが基本です。苔によっては保水性、排水性を考えて川砂やバーミキュライトなどで調整してみてください。室内で育てる場合には、水はけがよいソイルや腐りにくい樹皮培養土などを使用するとよいでしょう。
育て方②容器
苔植物は、ガラスや陶器などのさまざまな容器で育てられます。初心者には、湿度管理のしやすい開閉式の密封容器がおすすめです。ただし、締め切ったままでは空気の流れがなくなってしまいます。苔は空気の流れが全くないと苔は育ちませんので、1週間に2、3回程度蓋を開けて容器内の換気をします。蓋のないオープン容器で育てる場合は乾燥に強い種類を選び、エアコンなどの風が当たる場所は避けましょう。
育て方③置き場所
半日陰や日陰が好きな苔にとって、家の中は光が入らず暗い場所です。苔類は養分を吸収する根がないため、光合成をすることで養分を得ています。室内栽培で葉の色が変わったり、成長が遅かったりするようなら少し明るい場所に移動させるか、LEDライトなどで光を当てましょう。明るい場所や半日陰を好む苔は適度に光の入るカーテン越しの窓際、薄暗い場所が好きな苔は窓際から少し離れた場所が適所です。
育て方④水やり
苔を栽培するときには水やりや湿度調整も大切です。水やり方法は、苔の種類や栽培方法によっても変わってきます。テラリウムや室内で育てる場合はミスティング、苔玉には灌水が重要です。苔庭の場合には、夏などの日差しが強い時期には日中の水やりは避け、夕方や早朝に水やりをしましょう。
ミスティング
ミスティングとは霧吹きで行う水やり方法です。霧吹きで苔や土がしっとりと湿る程度に水を与えます。使用している容器や育てる環境によって違いますが、オープンな容器なら朝晩、蓋付き容器でも密封されていないのなら1週間に1回が目安です。密封容器なら、換気のときに苔が乾いていて、湿度が足りないようならミスティングしてください。どの容器でも苔がしっとりしていたらミスティングの必要はありません。
灌水
苔玉の場合は周りの苔は乾いていなくても、植物の根まで水分が行き渡っていない場合があります。苔玉を持ち上げて軽くなっている場合にはボウルやバケツに水を入れ、その中に苔玉を5分~10分沈めます。ブクブク泡が出なくなったら水から出します。季節や室内の湿度にもよりますが3日~4日に1回、軽くなっていないか確認しましょう。
育て方⑤肥料
基本的に苔には、肥料は必要ありません。苔植物は根がなく、肥料を吸収しづらいです。また、肥料やけを起こしやすく、油かすなどの肥料を与えてしまうと変色や枯れの原因になることもあります。ほかの植物と寄せ植えをしている場合や葉の色が薄くなったときには、水やりの際に観葉植物用の液肥を水で薄めてスプレーするとよいでしょう。
育て方⑥病害虫対策
通常の腐葉土を使用したり、庭に生えている苔を採取したりした場合、植え付けるときにはすでに虫が紛れ込んでいる可能性があります。テラリウムに適している樹皮培養土やソイルを使用し、苔は信頼できる園芸店、アクアリウムショップなどの入手がおすすめです。また、じめじめした場所を好む印象のある苔ですが、かびなどの菌類に弱く、白絹病などの病気にかかります。株が蒸れないように注意しましょう。
ボタニ子
苔植物の殖やし方
移植法
コウヤノマンネングサやオオカサゴケなどの直立する苔や地下茎がある苔の殖やし方として向いているのが移植法です。広範囲ではなくテラリウムなどの小型の容器での殖やし方として適しています。
移植法のやり方
- 移植する容器にソイルや樹皮培養土などを入れる
- 土を水で湿らせたら移植する場所に割り箸やピンセットなどで穴を掘る
- 穴に苔(仮根部分)を入れ、ピンセットや割り箸などで仮根のまわりにソイルや培養土をかぶせる
まき苔法
広範囲への殖やし方としてまき苔法があります。葉から水分を吸収する苔の性質を使った殖やし方です。根付きづらい苔や小さな苔の殖やし方に適しています。時間はかかりますが庭などの広範囲に殖やしたい場合や、テラリウムなどで苔を均一にしたいときにもまき苔法がよいでしょう。
まき苔法のやり方
- 苔を細かくして種苔を作る
- 細かくした種苔を殖やしたい場所に薄くまく
- 種苔がまき終わったら、まいた苔を優しく上からおさえて土に密着させる
- 苔を完全に覆わない程度に薄く目土をかけ、静かに水を蒔く
ボタニ子
庭でまき苔法を行う場合には、気温が10℃以上であまり高くなりすぎない4月~6月が適した時期です。
はり苔法
はり苔法はマット状の苔をそのまま移植する方法で、スナゴケ、ハイゴケ、アラハシラガゴケなど、ある程度かたまりで扱える苔の殖やし方として適しています。塊で移植できるため、庭や盆栽など広い場所で殖やすときにむいています。
はり苔法のやり方
- 苔を移植したい場所の雑草を取り、土を敷く
- 敷いた土の上にマット状の苔を置く
- 上から優しく押さえて苔と土と密着させ、水をまく
ボタニ子
苔の土は、保水性も大切ですが、排水性も大切ですので赤玉土などで調整しましょう。
ボタ爺
苔マットが大きい場合にはスペースにあわせてカットしよう。
病気になってしまった株は取り除いたり、殺菌剤を使ったりするといいわ。