初心者でも育てやすい苔植物
苔は湿度と光があれば育てられます。園芸店やアクアリウムショップには、初心者でも扱いやすく、手入れも簡単な種類も多いです。栽培する環境やイメージなどで選んでみましょう。
明るく適度な湿度を好む苔
ハイゴケ
ハイゴケはどのような場所でも育ち、乾燥にも強い植物で初心者でも扱いやすい苔の一つです。成長が早く匍匐性があるため、球根などを植えた際のマルチングとしてもおすすめです。乾燥しすぎたり、直射日光が当たり過ぎたりすると茶色く変色してしまうため、水やりや置く場所には気をつけましょう。
ホソバオキナゴケ(ヤマゴケ)
ホソバオキナゴケは日当たりのよい場所に自生しています。冬場の湿度管理を考えると蓋つき容器が管理しやすいです。多湿は嫌うため、夏は蓋を開けて風通しをよく、冬は乾燥防止のために閉めた状態で管理してください。フサフサと密集しており、移植するときも扱いやすい種類です。
スナゴケ
スナゴケは星型の苔で、市街地の庭や公園でも見かけられます。密に群生することから、苔玉や苔庭などにも使われることの多い苔です。室内で鮮やかな緑を楽しむためには、日が当たる明るい部屋で管理するのが適しています。苔の中では乾燥に強く、初心者でも管理がしやすいです。まき苔法で簡単に増やせます。
明るい半日陰で高い湿度を好む苔
コウヤノマンネングサ
コウヤノマンネングサは、樹質の茎で直立した先に葉をつける独特な姿をしています。成長すると10cm以上になることから、高さのある容器を選ぶとよいでしょう。湿度の高い場所を好む植物ですが、日陰だと光量が足りないため、明るい日陰か半日陰に置いてください。アクアリウムの水槽のレイアウトにも使われている種類です。地下茎のある種類で、殖やし方は移植法が適しています。
オオカサゴケ
山林や湿度の高い水際などに自生するオオカサゴケは、花のような姿の直立型の苔です。ほかの苔と組み合わせて植えると、高低差のある美しいテラリウムを作れます。日向から半日陰を好む苔植物のため、明るい場所に置きましょう。
半日陰で適度な湿度を好む苔
アラハシラガゴケ
葉が乾燥すると白く見えることから「粗葉白髪苔(アラハシラガゴケ)」の名前がついたといわれています。あまり強い光を必要とせず、高温多湿が苦手で、やわらかい光が差し込む場所でのテラリウムに向いています。保水力が高い苔で、あまり頻繁に水やりの必要はない種類です。
タマゴケ
タマゴケは、蒴(さく)が球状でかわいらしい姿が人気の苔です。テラリウムで育てるのは難しいといわれることもある種類ですが、湿度が保てる蓋のある容器やアクアリウムの水槽などで育てられます。ただし、夏場の暑さや蒸れに弱く、25℃以下を保つことが必要です。
ボタニ子
胞子を作る胞子体の先端を蒴(さく)といいます。苔は蒴から胞子を出して繁殖します。
ボタ爺
タマゴケのように丸いものや楕円形など苔によって蒴の形は違います。
コツボゴケ
コツボゴケは、透明感のある明るい緑色が特徴です。市街地の公園でもよく見られる種類の苔で、半日陰や、日陰で常に湿度がある場所に着生しています。匍匐(ほふく)しながら分岐して増えていくため、苔庭だけではなくテラリウムやアクアリウムの水槽にもおすすめです。
エダツヤゴケ
エダツヤゴケは半日陰を好み、岩の上などに自生しています。濡れると葉にツヤが出て、苔玉作りにも使われることが多い苔です。成長も早い植物で、匍匐性があるため苔庭にもおすすめな種類です。
日陰で高い湿度を好む苔
ヒノキゴケ
ヒノキゴケは、フサフサとした葉が美しい大型の苔植物です。十分な湿度が必要なため、テラリウムには蓋つきの容器を選んでください。また、初期は茶色く変色する場合がありますが、湿度を保てば新芽が出てきます。新芽が出そろったら変色部分をピンセットで取り除いてください。
ホウオウゴケ
ホウオウゴケは、鳳凰の羽に似た美しい姿から名前がついた苔です。もともと沢や渓流沿いの湿度の高い薄暗い湿った場所に自生しており、アクアリウムやテラリウムでの育成が可能です。園芸店では入手が難しいため、アクアリウムショップやインターネットで購入しましょう。
クジャクゴケ
クジャクゴケは日本全土、陽のあまり当たらない湿った場所に自生しています。名前のとおり、クジャクの羽に似た扇型の葉をしており、特に蒴が出てくる時期の姿がクジャクに似ています。乾燥が苦手なため、蓋つき容器でのテラリウムやアクアリウムがおすすめです。
苔のアレンジ方法
①苔玉
苔玉とは、丸めた土に苔を植え付けたものです。近年では、その丸くてかわいらしい姿に人気が集まっています。苔玉に適しているのはある程度の乾燥にも強いハイゴケやスナゴケ、ツヤゴケなどです。苔は、簡単には枯れません。水をやり忘れて干からびたようになっていても環境にあわせて仮死状態になっている場合があります。水やりをすると復活することが多いため、世話をしながら様子をみましょう。
②苔盆栽
苔はコロニーを作る植物です。お気に入りの鉢や容器に1種類だけで植えるのもよいですが、少し大きな容器にいくつかの種類を寄せ植えて苔盆栽を作っても華やかになります。盆栽の場合は、比較的乾燥に強い種類のスナゴケやホソバオキナゴケなどを使うと育てやすいです。
③テラリウム
室内で育てるテラリウムは、ほかの植物と一緒に植えたり、フィギアなどを使って独特の世界観を楽しんだりするなどと、さまざまなアレンジを楽しめる育て方です。湿度管理と日当たりに気をつけて育てれば長く楽しめます。タマゴケやヒノキゴケ、クジャクゴケなど葉の形や高さが違う苔をあわせたり、コウヤノマンネングサやオオカサゴケなど見栄えがするものを単体で育てたりしてもよいでしょう。
④苔庭
自宅の庭で苔を育てるには、庭の向きやどこに苔を植えるのかなど環境によって選ぶ苔も変わってきます。また、高低差や植樹によっても変わってくるため、上級者向けのアレンジです。最初はテラリウムなどの小さなものからはじめ、次に花壇のように小さな坪庭などというように、段階を踏んでコツを掴んだほうがうまくいきやすいですよ。
苔の栽培を楽しんでみよう
苔は難しい手入れもいらず、強くて育てやすい植物です。苔には水分や養分を吸収するための根はありません。植物全体で水分を吸収し、光合成で必要な養分を得ているため、湿度管理と日当たりに気をつければ元気に育ちます。ぜひお気に入りの苔を見つけて育ててくださいね。
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出典:写真AC