クリサンセマムはどんな植物?
クリサンセマムは開花時期が長く冬から初夏に花を咲かせるキク科の丈夫な植物で、冬のガーデニングにはかかせない存在の花として人気があります。品種(商品名)が数種類ありますが、クリサンセマムと呼ばれることが多い品種は主に「ノースポール」と「ムルチコーレ」の2種類と大輪の「スノーランド」です。
クリサンセマム(ノースポール)の基本情報
別名 | ノースポールギク |
科属名 | キク科フランスギク科(レウカウンセマム属) |
種類 | 多年草(日本では夏前に枯れるため一年草扱い) |
草丈 | 15~30cm |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | 弱い |
開花時期 | 12~5月頃 |
原産地 | 北アフリカ、南ヨーロッパ |
クリサンセマムの特徴
流通量が多いノースポールは、白い花びらで中心が黄色い小さめの菊です。同じキク科のマーガレットによく似ていますが、クリサンセマムの花のほうが小さめです。寒さに強く丈夫で育てやすいです。開花時期が12月~5月頃までと長く、シンプルな花なので冬から春の寄せ植え材料としても最適です。
ボタニ子
ノースポールの次に流通量が多いムルチコーレは、パッと目を引く鮮やかな黄色い花が特徴よ!
ボタ爺
一回り花が大きいスノーランドもおすすめじゃよ
クリサンセマムの育て方
クリサンセマムは丈夫な植物なので、ポイントさえおさえればガーデニング初心者でも上手に育てられます。クリサンセマムに適した用土や水やりのコツなどと併せて、種まきや植え付け方法についても解説しています。
適した用土
クリサンセマムを育てる際は、水はけがよく弱酸性~中性の土が適しています。鉢植えの場合に適した土や、地植えの場合に必要な土作りについて詳しく見てみましょう。
鉢植えに適した土
クリサンセマムを鉢植えで育てる場合、市販の草花用の培養土を使用すると便利です。自分でブレンドする場合の目安は「赤玉土7:腐葉土3」です。ブレンド土には花や実の付きをよくするリン酸成分が多く入った緩効性肥料を混ぜておくとよいでしょう。
地植えは土作りがポイント
地植えする場合には、植え付ける2週間前にクリサンセマムに適した土壌を作っておくのがポイントです。まず、土を弱酸性にするため苦土石灰(1平方メートルに100g程度)をよく混ぜておきます。1週間後に腐葉土(土の量に対して3割程度が目安)とリン酸成分が多く入った緩効性肥料を混ぜて、栄養たっぷりの土壌を作っておきましょう。
ボタ爺
植える場所を考えて土壌を作るのがポイントじゃよ。日当たり、風通しのよい場所でも直射日光が当たりすぎる場所は避けるように!
水やりのコツ
クリサンセマムは高温多湿の環境を嫌いますので、水やりは与えすぎに注意しましょう。水を与えすぎるよりは乾燥気味に育てるのがポイントです。
鉢植えの水やりは土の表面が乾いたら
鉢植えの水やりは、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るくらい与えるのがポイントです。中途半端な水やりは、表面は乾いていても鉢の中はジメジメした状態のため、根腐れを起こす可能性が高いです。
ボタニ子
鉢皿の水は毎回捨てるようにしましょう。鉢皿の水も根腐れの原因になります!
地植えの水やりは雨水で大丈夫
クリサンセマムはジメジメした環境だと生育が悪くなるため、乾燥気味に育てたほうがよい植物です。地植えの場合は、基本的に雨水のみで水やりの必要はありません。雨の降らない日が続いて、土の表面が白っぽく乾いてきたら水やりをしてください。
ボタニ子
梅雨の雨続き時期で株元に水が溜まってきた場合には、溝を掘って余計な水を流してあげましょう!
肥料の与え方
鉢植えも地植えも、植え付け時に緩効性の元肥を混ぜておきます。開花時期は次から次へと花を咲かせてくれるので、肥料切れには注意が必要ですが、花や葉が元気なときには無理して追肥する必要はありません。与える回数の目安としては花の状態を見ながら、液肥を2週間~3週間に1回与える程度でよいでしょう。
剪定方法
特に3月~4月の開花時期にかけては株も大きく成長します。風通しをよくするためにも花がら摘みと剪定作業が必要です。鉢植えで寄せ植えしている場合には、他の植物とのバランスをよくするための剪定も必要です。また、日照不足によりひょろひょろと長く伸びてしまった株も、元気で丈夫な株に育てるため一度剪定するとよいでしょう。
剪定のやり方
①目安として1/2~1/3程度の高さで切り戻し剪定するのがポイント
②剪定後、日当たりのよい場所で管理することで新しい元気な茎が成長
③剪定は切り口が湿ったままにならないよう、晴れた日の午前中に行う
ボタニ子
バッサリと短くする切り戻し剪定の他にも、普段の手入れで花がら摘みや細すぎる茎などはこまめに剪定し、風通しのよい状態を保ちましょう!
種まきと植え付け
クリサンセマムは種まきで育てられる植物です。種まきに適した時期や手順、植え付け方法などについて見ていきましょう。種まき用の種は市販の種でも花後にできる種でも同じやり方で育てられます。
種まきに適した時期とやり方
クリサンセマムは発芽温度が15~20℃ですので、種まきは9月下旬頃~10月の秋、3月~5月の春先が適しています。20℃を超えると発芽しにくくなるので、涼しい季節に種まきを済ませるのがポイントです。
ボタ爺
寒冷地では3月~5月の春先に種まきをしたほうがよさそうじゃな
種まきの手順とポイント
①苗を育てるための浅い箱か育苗用のポットなどを用意
②市販の種まき専用の土か赤玉土に、できるだけ種が重ならないようにばらまきする
※ばらまき~土の上にできるだけ均一に種まきする方法で細かい種の際によくやる方法
③うっすらと土を被せる
④種が水で流れないよう霧吹きで水やりをする
⑤明るい日陰で管理し、土が乾かないように気をつける
⑥芽が出たら成長の悪い芽を取り除いて間引きする
※間引きを行わないと丈夫な苗が育ちません
⑦本葉が2~3枚程度になったら、1株ずつポットに植え替える
※ポットの土には草花専用培養土が便利です
⑧本葉が5~6枚程度に増えたら、鉢や花壇へ植え付ける
⑨日当たり、風通しのよい場所で育てる
苗の植え付けに適した時期とやり方
苗の植え付け時期は10月~12月頃、3月~4月頃が適しています。成長が盛んになる開花時期には根が張り株もしっかりしているため、10月頃の植え付けが最適です。苗ポットから直接花壇に地植えするか、ポットより一回り大きめの鉢に植え付けます。※土についてはクリサンセマムの育て方に記載の「適した用土」を参照してください。
植え付け手順とポイント
①鉢植えの場合、苗ポットより一回り大きめの鉢で1株、60cmプランターで3株が目安
②ポットから出した株は崩さず、そのまま植え付けるのがポイント
③水をたっぷり与え、風通しのよい明るい日陰で管理する
④根が落ち着く1週間後くらいを目安に日当たりのよい場所に移して管理する
⑤地植えの場合は、事前にクリサンセマムに適した土壌を作っておいた場所に植え付ける
ボタニ子
高温多湿環境を防ぐため、株同士の間は25~30cm程度あけて植えるようにしましょう!
次のページでは花後の処理や増やし方についてご紹介します!
クリサンセマムの花後の処理
クリサンセマムを上手に育てるには、花が次々と咲く開花時期に花がら摘みといった花後の管理もポイントです。花が終わった後、枯れた花をそのままにしていると種ができるため余計なエネルギーを使い株が弱ってしまいます。日頃からこまめに花がら摘みを行うようにしましょう。
花がら摘みは病気や害虫予防にもなる
花がら摘みは株の消耗を抑える効果があるほか、病気や害虫被害の予防効果もあります。枯れた花がらは葉っぱの上あたりで摘み取ると風通しもよくなります。開花時期には次々と花を咲かせるためこまめなチェックが必要ですが、花がらを摘み取ることで長い季節(夏を除いて)花を楽しめます。
花がらから種を採取しよう
クリサンセマムは枯れた花がらにできた種で育てることも増やすことも可能です。地植えの場合、環境があえば自然にこぼれ落ちた種から芽がでることもあります。開花時期は花がらをこまめに摘みとる必要がありますが、枯れる夏前には花がら摘みを行わず種を採取したら秋まで保管しておきましょう。
ボタニ子
種まきの季節になったら、保管しておいた種をまいて育ててみましょう。増やし方は種まきの手順と同じですよ!
出典:写真AC