パンジーとは?
パンジーはヨーロッパに自生する野草をもとに、園芸用に品種改良されました。三色菫(サンシキスミレ)はパンジーの原種のひとつです。パンジーとビオラは似た形で、基本的には花の大きさに違いがあります。小ぶりがビオラで、大きめがパンジー、最近ではいろいろと交雑がすすみ、区別するのが難しくなっています。パンジーは他の花とも相性がよく、寄せ植えにおすすめです。
基本情報
学名 | Viola × wittrockiana |
和名 | パンジー |
英名 | Pansy |
科名 | スミレ科 |
属名 | スミレ属 |
名前の由来
パンジーは、2月2日、4月10日、5月25日、12月27日の誕生花です。冬から春の季節に、色とりどりの可愛い花を咲かせてくれます。英名の「Pansy」はフランス語の「思想」の意味で、「pensée(パンセ)」から名付けられました。花が少し傾いた姿が、考え事をしている姿に重なることからきています。
パンジーの育て方
パンジーは、花が少ない寒い季節にも花をつけて楽しませてくれます。いろいろな品種があり、花の色も黄色、青色などさまざまで、模様や形も数多くあります。よりパンジーを楽しむために、まずは環境を整えて育てましょう。
育て方①土
パンジーは、水はけのよい土に植えましょう。水はけが悪いと株が蒸れやすく、病気になりやすくなります。市販されている、花と野菜の培養土やビオラ、パンジー専用の土が手軽です。地植えの場合は川砂を加えると、水はけがよくなります。
育て方②日当たり
パンジーは太陽の光を好みます。できるだけ日当たりがよい場所を選んで育てると株が大きくなり、よく育ってくれます。
育て方③肥料
パンジーは植え替えをするときに、緩効性の固型肥料を使用します。パンジーの鉢植えでは、花が咲く秋から春の時期に液体肥料を与えましょう。地植えのときは、月に1回ほど暖効性肥料を追加してください。寒い冬の時期は生育がゆっくりになるので、施肥の必要はいりません。花が咲き出したタイミングで追肥しましょう。
育て方④苗植え
パンジーを苗から育てましょう。苗植えの季節は2回で、春と秋、10~11月と3~4月頃がいいでしょう。苗は購入後、早めに植え替えましょう。根は優しくほぐし、しっかり植えます。時期は春より秋がおすすめです。寒い季節耐えたパンジーは丈夫になり、春に株が大きくなってくれます。
パンジーの増やし方
パンジーは一年草です。毎年パンジーを咲かせるための、種まきや増やすための方法をご紹介します。
増やし方①種まき
時期と温度
パンジーを種から育ててみましょう。季節は晩夏である8月中旬~9月頃がいいでしょう。発芽の適温は15~20℃で、残暑が厳しい場合には発芽しにくいので、暑さが収まってからにしましょう。
種の採取
パンジーを植え付け後1ヶ月ぐらいが、株が元気で種の採取にはいいでしょう。花が終わった後、種を作っているものは中心が膨らみます。莢(さや)が茶色く熟し、やがて莢の中から種が飛び出します。ゴマより小さい黒い種ですので、莢が茶色くなったら、種が飛び出さないように袋をかぶせるか、莢から飛び出す前に摘んでおきましょう。
種の保管
採取した種は封筒などに入れ、室内の涼しい場所で1週間ほど、しっかり乾燥させます。その後、密封容器に入れ、冷蔵庫の野菜室で種まきまで保管しましょう。
種まき方法
種まきの土は新しいものを使い、底に数か所穴を開けた容器を用意します。土を平らにし、種が重ならないようにまきます。そして、バーミキュライトを種に薄くかぶせます。パンジーの芽出しには光が必要なため、土のかぶせすぎには注意してください。水やりは土の表面が乾いてきたらあげましょう。
植え替え
パンジーが芽出しして本葉が2~3枚になれば、次はポットに植え替えましょう。さらに花芽が出てきたら、プランターや鉢植え、庭植えなどにしてください。寄せ植えや庭植えへの植え付けのとき、株同士を近づけすぎると、蒸れやすくなるので注意してください。
増やし方②挿し芽
挿し芽は寒い1月〜2月は避けます。切り戻しや摘心の茎を使い、パンジーを増やしましょう。4cm以上のものを選び、切った茎を1時間ほど水につけます。大きな葉と花を取り、葉は3~5枚にしましょう。土に指で穴を開け、挿します。日陰で土が乾燥しないようにしてください。1週間ほどで芽出しします。
次のページでは、パンジーの管理、病気と害虫についてをご紹介します。
パンジーの管理
パンジーは、水やりや剪定などの管理を行いましょう。管理をしっかり行うことで、株が元気になり、花を長く楽しむことができます。
管理①水やり
パンジーは水やりを間違うと、枯らしたり、病気の原因になったりします。コツは水をあげすぎないことです。鉢植えは表面と中側が乾いたら、たっぷりあげてください。乾燥気味のほうが、花を長く楽しむことができます。地植えは自然の雨にまかせましょう。
管理②剪定
パンジーの剪定には、摘心(てきしん)と切り戻しがあります。どちらも株を切り、花の付きをよくする目的と株の風通しをよくする目的がありますが、行う時期に違いがあります。
摘芯(てきしん)
摘心は、苗が若いときに行う剪定です。茎を枝分かれさせるため、茎を切ります。苗が若いうちに、株元から出ている茎を切ることにより、枝分かれさせるのです。パンジーはビオラと違い花の数が少なく、摘心すると花芽まで時間がかかります。
切り戻し
切り戻しは、成長した株に行う剪定です。株が疲れ、だらっとしたときに行います。切り戻しは草丈の半分ほど残し、花芽の上で切りましょう。株がもう一度元気になります。パンジーは花の数が少なく、摘心と同じく花芽まで時間がかかるので、注意しながら行ってください。
管理③花がら摘み
パンジーは花の後に実をつけ、種を採取することができます。しかし実は栄養がたくさん必要になります。また病気にもなりやすく、見た目も汚くなります。気付いたら、花がら摘みを行いましょう。
パンジーの病気と害虫
パンジーの花を長く楽しむためにも、病気と害虫には気を付けましょう。気付いたら、早めに対処してください。
病気
パンジーは初心者にも育てやすいですが、病気になることもあります。その主な原因は、多湿で風通しが悪くなり、株が蒸れてしまうことにあります。
うどんこ病
うどん病は、葉っぱが白っぽくなります。株が蒸れることによって、カビが発生する病気です。薬剤で症状は抑えることができますが、完全に取り除くのは難しいです。
灰色かび病
灰色かび病は、湿度が高く気温は少し低い時期に起こりやすいです。茎や葉が溶けるように腐っていき、全体に灰色のカビに覆われます。殺菌剤を使用しましょう。
斑点病
斑点病は、多くの植物にみられる病気です。湿度が高く、気温が低い場合に発生しやすくなります。葉っぱに小さく茶色い斑点ができるのが特徴です。育ちが悪くなり、やがて葉が落ちます。薬剤で対応しましょう。
害虫
ツマグロヒョウモンの幼虫
ツマグロヒョウモンの幼虫は、野生のスミレをよく食べ、パンジーも好みます。色のインパクトがありますが、駆除の方法はありません。幼虫を見かけた場合は、割りばしなどで丁寧に取りましょう。
アブラムシ
アブラムシは植物の汁を吸う害虫です。駆除の方法は、薬剤を使用するか石鹸水や牛乳水をスプレーします。株が蒸れると発生しやすくなるので、風通しをよくしましょう。
ナメクジ
ナメクジは夜行性で、葉っぱや花などを食べます。薬剤を使用して駆除するか、ビールに誘われる習性を利用して罠をしかける方法もあります。
まとめ
パンジーの育て方などを紹介してきましたが、ビオラも育て方、管理や病気などは同じです。冬から春にかけて、長く色とりどりの花を楽しませてくれます。パンジーやビオラをぜひ、寄せ植えや花壇に植えて楽しんでください。
出典:BOTANICA