イワヒバ(岩ひば)の育て方
用土
イワヒバはとても丈夫な植物ですが、適した用土を準備する必要があります。栽培に適しているのは、排水性と保水性がいい用土、清潔な用土、酸性の用土になります。排水と保水がいい用土としては、鹿沼土が最適です。この鹿沼土の用土に日向土や桐生砂などを2~3割配合するといいでしょう。清潔な用土するためには必ず新しい鹿沼土を使い、日に当てて消毒しておくとさらにいいですね。そして何年も植え続けるとアルカリ性の用土になってしまうので、年に一度は植え替えて、鹿沼土がアルカリ性になるのを防ぐことも大切です。
水やり
イワヒバは加湿にならないように気をつけないといけません。水分が多すぎると根腐れの原因になります。土が乾いているようであれば、たっぷり水をかけてあげましょう。このときに葉の根元だけでなく、葉全体にも水がかかるようにします。梅雨時と冬場は水やりを控えるようにして、気温が高くなる春から夏の時期には、葉だけでなく、鉢の周りにも水をかけておくと乾燥を防ぐことができます。
肥料
イワヒバはもともと肥沃ではない場所に自生している植物なので、あまり肥料を必要とはしません。成長のために、と肥料を与えても、そもそも1年に少しずつしか大きくならない性質なので、与えた肥料の効果は期待できませんし、かえって枯らしてしまうようなことにもなりかねません。仮に肥料を与えるとしても、標準より10倍以上薄めの液体肥料を年に数回与える程度で十分です。
植え替え
イワヒバの植え替え時期は生育時期に当たる5月~7月です。少しずつ大きくなるので、あまり頻繁に植え替えする必要もないイワヒバですが、鉢植えの場合は株が窮屈になったようであれば植え替えが必要です。植え替え用に一回り大きな鉢を用意しましょう。新しい用土を入れて根を傷つけないように気をつけて植え替えてください。植え替え後はたっぷり水やりをしましょう。
イワヒバ(岩ひば)の管理
病害虫
ベト病
イワヒバがかかりやすい病気には、ベト病があります。これは肥料を与え過ぎることや、水分が多くて加湿になった場合などに発生しやすい病気です。ベト病にかかると、葉が茶色く変色して次第に周りに広がっていき、ついには枯れてしまいます。病気が発生した葉は剪定して早めに除去しましょう。またベト病対策にはサンボルドーやダコニールなどの薬剤散布も効果的です。
ヨトウムシ
ヨトウムシはイワヒバの葉にもよく似た姿なので、なかなか発見しにくいこともあります。ヨトウムシの被害に合うとあっという間に葉が食い荒らされてしまいます。葉が食べられていることに気づいたら、早めに見つけて取り除きましょう。スミチオンなどの薬剤を散布することで対処することもできますよ。
殺虫剤 害虫 駆除 スミチオン乳剤 100ml 住友化学園芸
参考価格: 462円
有効成分 | MEP |
---|---|
主な適用害虫 | アブラムシ/アメリカシロヒトリ/スリップス/カイガラムシ/毛虫/アオムシ |
使用方法 | 散布 |
増やし方
挿し木で増やす
イワヒバは挿し木で簡単に増やすことができます。葉を5cmほどに切って、新しくて清潔な鹿沼土や挿し木用に配合された用土に挿しておきます。このときに葉を裏返して置き、上から鹿沼土や配合された用土を薄くかけるのがポイントです。水切れを起こすと葉が丸まってしまうので、これを防ぐためにこのような挿し方をします。置き場所はあまり日光が強いと枯れるので、日陰になる場所に置いて、こまめに水やりをして管理しましょう。挿し木の時期は5月~6月が適しています。1ヶ月ほどすると根が出てくるので、新しい場所に定植します。
株分けで増やす
また株分けでも増やすことができます。株分けに適した時期は4月~5月、元気に大きく育った株を小さく小分けしてします。新しい鹿沼土に日向土などを配合した用土に植え込んでやると、また元気に根を出して大きな株に成長します。株分け後は水分が少なくなると弱ってしまうので、水やりには十分気をつけてください。
日当たり
イワヒバは日当たりを好みますが、あまり日光が強いと葉が焼けて枯れることがあります。また全く日光が当たらないと緑の葉の色がくすんでしまうので、適度に日光が当たるような、半日陰の場所が適しています。鉢植えの場合は、夏場は日陰になる場所に移動させた方が安心ですね。
冬越し・夏越し
夏越しのポイント
イワヒバは夏場の高温にもよく耐えます。水が少なくなると葉を巻いて自己防衛するので、葉が巻いているようであればたっぷり水やりしましょう。特に夏は朝夕の涼しい時間帯に水を与えると安心です。直射日光で葉焼けを起こすので、強い日差しは避けて、明るい日陰で育てるといいですね。葉が混みあうと多湿になって枯れるので、適度に剪定して風通しをよくしてあげるのも夏場の管理としては大切です。
冬越しのポイント
イワヒバは真冬の厳しい寒さの中でも、枯れたり弱ったりすることもなく越冬します。葉が茶色く変色することもあるので、まるで枯れてしまったかのように見えますが、春になるとまた緑色の葉に戻り、新芽も出して元気になるので安心してください。この時期はあまり加湿にならないように気をつけないといけません。休眠中でも水分は必要ですが、屋外であれば降雨に任せる程度で十分です。
盆栽で育てる
イワヒバには様々な種類があって、種類ごとに色合いも楽しむことができます。このために、お気に入りの鉢に鹿沼土などを入れて、イワヒバを植え込んで盆栽として育てる愛好家も多いのです。あまり大きくなり過ぎず、とても丈夫で長い間生き続けるので、盆栽には最適な植物と言えますね。好きな形に剪定して、長い期間鑑賞することができます。
ロックガーデンで育てる
イワヒバはロックガーデンには最適な植物です。和風でも洋風でも、どちらの雰囲気にもよく馴染むので利用価値は十分にあります。主張し過ぎない脇役として、庭をナチュラルな雰囲気に演出してくれます。イワヒバはとても強いので、石の間にでもしっかり根付き、適度に水やりするだけで長い間鑑賞することができますよ。
まとめ
盆栽やロックガーデンなどさまざまな形で栽培できるイワヒバは、小さくてとても可愛らしく、しかもとても強い性質なので、人気が高い植物です。大きな木の根元で下草として、また石の間に植えて緑のワンポイントとして、いろいろ利用できるので嬉しいですね。庭に地植えするとどんどん広がっていくので、グランドカバーとして雑草が生えるのを防ぐ役割も果たしてくれます。丈夫で育てやすいイワヒバを、ぜひみなさんも育ててみてはいかがでしょうか?
- 1
- 2
出典:筆者撮影