クルメツツジは、ピンク色や赤色の花を咲かせる日本が原産の半常緑性低木です。一般的なツツジに比べてやや小ぶりなのが特徴で、庭木や生垣、公園樹や街路樹などに幅広く利用されています。
園芸部類 | 花木、庭木 |
形態 | 半常緑性低木 |
樹高・草丈 | 1m〜3m |
花の色 | ピンク、赤、白 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 耐陰性がある、開花時期が長い、庭木、街路樹 |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
クルメツツジは「サカツツジ」「ヤマツツジ」「ミヤマツツジ」の3つのツツジを掛け合わせて、園芸用に品種改良された植物です。ツツジの矮性(わいせい)品種に分類されており、やや小ぶりで育てやすいため、ガーデナーに人気があります。花付きがよく、4月〜5月にかけて枝先に密集するように花が咲き誇る姿は圧巻です。
名前の由来は?
クルメツツジは漢字で「久留米躑躅」と表記されます。「久留米」とは九州地方にある地名をさし、久留米地方で品種改良された躑躅のため「久留米躑躅(クルメツツジ)」と名付けられました。また、鹿児島県の霧島山に自生しているため「霧島躑躅(キリシマツツジ)」という別名でも親しまれています。
花言葉は?
クルメツツジの花言葉は「恋の喜び」「情熱」「燃える思い」「節度」「節制」です。クルメツツジは花付きがよく、開花時期になると鮮やかな真っ赤な花を次々と咲かせるため「情熱」や「燃える思い」という花言葉がつけられました。
久留米ツツジ[クルメツツジ]:麒麟(キリン)
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麒麟(キリン)は淡桃色のかわいらしい花を咲かせる品種です。花びらが重なるように咲く「ダブル咲き小輪花」という咲き姿が楽しめます。ツツジの品種の中でも耐陰性があるため、室内のインテリアにもおすすめです。
樹高 | 1m〜1.5m |
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花色 | 淡桃色 |
【クルメツツジ (久留米つつじ) 苗木】 常夏(トコナツ)
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常夏(トコナツ)はピンク色、白色、絞りの3色の花を咲かせる「3色咲き分け品種」です。成長スピードが速く、自分好みの形に剪定したり生垣に利用したりと、さまざまな育て方ができます。
樹高 | 1m〜2m |
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花色 | ピンク色、白色、絞り |
植え付け時期 | 3月〜5月、9月〜10月 |
植え替え時期 | 3月〜5月、9月〜10月 |
肥料の時期 | 2月、9月〜10月 |
剪定の時期 | 5月〜6月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月〜5月 |
クルメツツジは、地植えでも鉢植えでも育てられます。地植えで育てる場合は、樹高が3mほどまで高く成長するため、十分なスペースを確保してから植え付けましょう。こまめに剪定をして株を小さく保てば鉢植えでも管理できます。風にあおられて鉢が倒れないように、重みのある針を使用するのがおすすめです。
クルメツツジは日光を好むため、基本的には屋外で管理してください。室内で管理する場合は、半日以上は太陽の光が差し込むような窓辺で育てましょう。エアコンの風に当たると葉が乾燥して、株が弱ったり枯れたりする恐れがあるので注意が必要です。
クルメツツジは日当たりと風通しのよい場所で管理します。日当たりが悪いと、茎だけが間延びして花付きが悪くなるので注意しましょう。葉が密に茂る性質があるため、風通しのよい場所で管理して、病害虫被害を予防してください。
葉が黄色く変色する場合は?
クルメツツジの葉が黄色く変色する場合は、日照不足を疑います。地植えの場合は、建物やほかの植物の陰になっていないか確認してください。鉢植えの場合は、日光がたっぷりと当たる場所に移動させましょう。
クルメツツジは、水はけと水もちのよさを兼ね備えた用土で育てます。市販されている「草木用培養土」を使用しても構いませんが「ツツジ・サツキ用培養土」を利用すると便利です。自分で配合する場合は、赤玉土と鹿沼土を混ぜ込んでから、少量のピートモスとバーミキュライトを加えた用土を使用してください。
地植えで育てる場合の用土作りは?
クルメツツジは酸性の土壌を好むため、地植えにする場合は鹿沼土をたっぷりとすき込んでおきましょう。用土をしっかりと耕しておくと、根が張りやすくなり立派な株に育ちます。
クルメツツジを地植えで育てている場合は、完全に根付いてしまえば降雨のみで十分です。鉢植えの場合は、土の表面が乾いてからたっぷりと水を与えてください。成長期に水切れを起こすと、下葉から枯れ込んでくるのが特徴です。冬は休眠期に入るため水やりを控えめにして、やや乾燥気味に管理しましょう。
肥料は、2月に寒肥として油かすや鶏糞などの有機質肥料を与えます。9月〜10月にかけては、緩効性の化成肥料を1カ月に1回の割合で与えましょう。室内で管理している場合は、有機質肥料の臭いが気になる場合があるため、緩効性の化成肥料のみでも構いません。肥料の与えすぎは肥料やけを起こして枯れる原因になることがあり、気をつけたいポイントに挙げられます。
アブラムシは年間を通して発生しやすい害虫です。集団で寄生し、クルメツツジの栄養分を吸汁しながら成長します。数が少ない場合は、ガムテープに貼り付けて駆除しますが、大量発生した場合は殺虫剤を散布して駆除してください。光り物が苦手な性質を利用して、園芸用のシルバーテープを張り巡らせておくと、アブラムシの発生を予防できます。
ハダニは、高温でやや乾燥している時期に発生しやすいため、梅雨の終わりごろから注意が必要な害虫です。葉の裏側などの見つけにくい場所に発生するので、発見が遅れると大量発生している恐れがあります。水が苦手な性質を利用して定期的に葉水を行い、ハダニの発生を予防しましょう。
うどんこ病は、カビの菌糸が原因で発生する病気です。感染した部分が、うどん粉をまぶしたように白く粉をふくのが特徴で、葉の光合成が妨げられます。うどんこ病に感染した部分は薬剤を散布しても治せないため、ほかの部分への感染を防ぐためにも早めに切り取って処分しましょう。
クルメツツジはたくさん花を咲かせるため、花後はこまめに花がら摘みを行いながら育てましょう。花がらを放置すると、葉や枝に花がらがくっついてカビが発生しやすくなります。カビが原因で発生する「うどんこ病」や「灰色カビ病」に感染しやすくなるため、花後は花茎から摘み取り、株を清潔に保ちましょう。
クルメツツジを苗木の状態で購入する場合は、葉につやがあり、枝がまっすぐに伸びている健康な苗木を選びます。葉の裏側までしっかりとチェックして、病害虫被害を受けていない苗木を購入しましょう。
植え替えは、植え付けと同じ3月〜5月か9月〜10月に行います。根を傷付けないように丁寧に掘り起こし、根についている古い用土を落としてください。根が傷んだり弱ったりしている部分を切り取ってから、新しい用土に植え替えましょう。完全に根付くまでは、水切れを起こすと枯れる恐れがあるのでしっかりと水を与えてください。
植え替えは必要?
クルメツツジを地植えで育てている場合は、植え替えの必要はありません。鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐために2年〜3年に1回はひと回り大きな鉢に植え替えましょう。根詰まりを起こすと水が浸透しにくくなり、成長が滞ったり株が弱ったりします。
クルメツツジの剪定は、花後の5月〜6月に行います。花が終わった部分から枝分かれするように小枝が出てくるので、新芽がつく前にすぐに剪定するのがコツです。枝が伸びすぎている部分や葉が混み合っている部分を剪定し、樹形を整えていきましょう。梅雨がくる前に剪定を済ませておくと、風通しがよくなり病害虫被害の予防になります。
クルメツツジは比較的丈夫な植物のため、地植えでも夏越しが可能です。直射日光に当てても、葉焼けを起こして枯れる心配はありません。
クルメツツジは地植えでも冬越しが可能です。半常緑性で、冬でも葉が残っている場合があります。葉に雪や霜が当たると、株が弱ったり枯れたりするため、ビニールやバークチップでマルチングをしてから冬越しさせると安心です。鉢植えの場合は、寒さをしのげる軒下や室内に移動させましょう。
クルメツツジは5月〜6月にかけて挿し木で増やしていきましょう。6月に挿し木を行う場合は、剪定で切り落とした枝を使用するのがおすすめです。若くて健康に育っている部分を選び、先端から15cm〜20cmほどの長さで切り取ります。下についている余分な葉を落としてから、赤玉土などの挿し木用の用土に挿してください。
挿し木を成功させるコツは?
クルメツツジの挿し木を成功させるには、挿し穂にたっぷりと水を吸わせておくのがポイントです。30分〜1時間ほど切り口を水につけておきましょう。水揚げしてから用土に挿したあとも、水切れを起こさないようにします。切り口が乾燥すると、上手に発根しないため注意しましょう。
出典:写真AC