夜顔とは?
熱帯アメリカ原産の夜顔は、ヒルガオ科サツマイモ属のつる性植物です。明治初期に観賞用として日本に渡ってきました。原産地では多年草ですが、寒さに弱いため日本では春まきの一年草として扱われています。7~10月頃、夕方から翌朝にかけて咲く一日花です。葉はハート形で、大輪の白い花は芳香を放ちます。薄紫色の花を咲かせる品種もあります。
ボタニ子
夜顔は「白花夕顔」「赤花夕顔」という名前で販売されることもあるよ!
夜顔の基本データ
学名 | Ipomoea alba |
英名 | Moon flower |
別名 | 夜会草(やかいそう) |
科名 | ヒルガオ科 |
属名 | サツマイモ属 |
原産地 | 熱帯アメリカ |
分類 | 春まき一年草 |
樹高 | 4~6m |
花期 | 7~10月 |
花色 | 白、薄紫色 |
夜顔の花言葉
夜顔の花言葉は、「夜」「妖艶」「夜の思い出」です。これは夜だけ姿を見せてくれる、夜顔の美しい花に由来しています。暗闇に浮かぶ純白の大輪花は神秘的で妖しげで、ミステリアスな花言葉がぴったりですね。一目見たら、多くの方が心惹かれるのではないでしょうか。
夜顔の特徴
アサガオ・ヒルガオ・ユウガオは見かけたことがあっても、日が落ちてから咲く夜顔は人目に触れるチャンスが少なく、あまり知られていない存在なのではないでしょうか。ここでは夜顔の特徴を3つをご紹介します。
白い花
開花時期は7~10月で、直径15cmにもなるラッパのような形の、純白の花を咲かせます。夏は夜8時頃から、秋は夕方4時頃から咲き始め、翌朝にはしぼんでしまいます。甘い香りを辺りに漂わせ、暗闇でふわりと花びらを広げる様子はなんとも妖艶な雰囲気です。
薄紫の夜顔
夜顔には直径5cmほどの薄紫色の花を咲かせる品種もあり「針朝顔(はりあさがお)」「赤花夕顔(あかばなゆうがお)」「赤花夜顔(あかばなよるがお)」などと呼ばれます。茎にとげのような突起ができますが、やわらかいのでさわっても痛くありません。白花よりもほのかに香るので、甘い香りが苦手な方にはおすすめです。
ハート形の葉
夜顔の葉の色は、主に濃い緑色のハート形ですが、アサガオのように3つに分かれて先が尖った葉が見られることもあります。茎はやや赤いつる状になり、半時計回りに巻き付きながら4~6mほどまで伸びます。ぎっしりと茂らせた緑色の葉は、白いの花との相性も抜群です。
白い種
種の収穫は11月頃です。夜顔の果実は紫色で、まるで小さななすのようです。熟してくると黒っぽくなるので、そのまま完全に乾燥するまで待ちます。果実を振ってみて、中の種がカラカラと鳴るようになったら収穫時です。果実をむくと、長さが1.3cmほどの小さなにんにくのような白い種が現れます。そのまま置くと固く薄茶色になるので、翌年の種まきまで保管します。
アサガオ・ヒルガオ・ユウガオとの違い
どれも名前に「顔」が付き、花の形もよく似ているため、なかなか区別がつけにくいという方も多いのではないでしょうか。知っているようで知らないアサガオ・ヒルガオ・ユウガオのそれぞれの特徴と、夜顔との違いを見ていきましょう。
アサガオ
夜顔と同じヒルガオ科サツマイモ属です。熱帯アジアや中国が原産地とされていましたが、近年になり熱帯アメリカが有力視されており、かなり夜顔と近い存在であると考えられます。花が咲く時間帯は夜顔とは反対で、早朝に咲き昼前にはしぼんでしまいます。育てやすく風情があることから人気があり、多くの改良品種が生まれました。白、青、紫などのさまざまな花が見られます。
東京では70年以上も前から、毎年7月に「入谷朝顔まつり」が行われているよ。浴衣にも似合う和のイメージで、日本人にはとくになじみ深い植物だよね。
小学生の頃にアサガオを育てて観察日記を書いたり、花を使って色水の実験もしたよね!
ヒルガオ
日本原産で中国や朝鮮半島にも分布する、ヒルガオ科ヒルガオ属の多年草です。ヒルガオの開花時間も夜顔とは真逆で、朝や昼から淡いピンクの花を咲かせて、夕方にはしぼみます。冬に地上部が枯れて地下茎を伸ばしてどんどん増えるため、お祭りが開かれるほど人気のアサガオに対して、ヒルガオは雑草として扱われています。
ボタニ子
アサガオよりも開花時間も長くてかわいい花なのに、なんだかちょっとかわいそう。
ユウガオ
インドや北アフリカ原産の、ウリ科ユウガオ属のつる性一年草で、夜顔やアサガオ・ヒルガオとは別の仲間です。夜顔と同じく夕方から翌朝にかけて白い花が咲くため似ているようですが、よく見ると5枚の縮れた花びらが付いています。ウリ科特有の大きな果実はかんぴょうの原料になります。観賞目的で販売されることはなく「かんぴょうの苗」として流通しています。
「夕顔」は源氏物語に登場する女性の名前でもあるんだよ。
夜顔の育て方
夜顔を育てるには、種か苗を入手します。とくに難しいことはなく、小学生の頃に育てたアサガオと同じように管理すれば、美しい花を咲かせてくれます。ここからは、夜顔の育て方についてご紹介します。
育て方①種まき
発芽温度が20度以上で、種まきの適期は5月頃です。夜顔の種の皮はとても硬くそのまま種をまいても発芽しないので、種のへそを傷つけないようにやすりなどで削るか、1~2日ほど水に浸けてから種をまきます。市販の種の場合は処理されているものもあるので、よく確認しましょう。1~2cmほど土をかけて土が乾かないように水やりを続けると、1週間ほどで発芽します。
育て方②苗の植え付け
種まきからの場合は、ポットの底から根が見えたら植え付けます。日当たりが良く、夜間に照明が当たらない場所を選びましょう。地植えは30cm間隔、鉢植えは8号鉢に1株が目安です。用土は、赤玉土5:腐葉土4:川砂:1を合わせるか、庭土に腐葉土やたい肥を混ぜましょう。市販の草花用培養土も利用できます。元肥として緩効性肥料をまぜると生育が良くなります。
育て方③植え付け後の管理
地植えの場合は、根付いたら自然に降る雨水のみで十分ですが、真夏に日照りが続くなど極端に乾燥するときは水を与えましょう。鉢植えなどの場合は、土の表面が乾いたら、鉢の底から水が流れるくらいたっぷり水やりをしてください。肥料は10日に1度液体肥料を与えるか、1~2か月に1度緩効性肥料を与えるとよいでしょう。
育て方④摘心と誘引
つるが30cmほどに伸び、本葉が7~8枚展開したら摘心します。先端から2~3節目で切り落とすと、脇芽が伸びてつるの本数が増え、ボリュームのある株に育てることができます。伸びたつるを支柱やフェンス、ネットなどに誘引していきますが、夜顔のつるは丈夫なので少々の無理は聞いてくれます。花が咲いた時の様子をイメージしながら誘引していくと、その作業もまた楽しいですね。
まとめ
夜顔のつるは6mにも伸びるので、大きく育てて緑のカーテンにすれば、日中は暑い日差しを遮り、夜には窓からの良い香りを楽しむことができます。玄関先のフェンスに這わせれば、美しい花と甘い香りが、夜に帰宅する家族を迎えてくれます。夜顔の夜だけ咲くという特徴を生かして、他の植物とは違った楽しみ方を工夫して育てるのも楽しいものです。
出典:写真AC