カノコソウ(鹿の子草)とは
カノコソウとは、夏に小さな花を咲かせる多年草の植物です。カノコソウは昔から生薬や香料としても使われていて、自生だけでなく栽培もされています。ここでは、カノコソウの基本情報や名前の由来などについて紹介します。
基本情報
学名 | Valeriana fauriei |
和名 | 鹿の子草(別名ハルオミナエシ) |
英名 | Japanese Valerian |
分類 | スイカズラ科カノコソウ属 |
分布 | 北海道~九州のやや湿った山地 中国東部・朝鮮半島・台湾 |
草丈 | 40~80cm |
花期 | 6~8月 |
花言葉 | 真実の愛・親切・適応力・気さく |
※北海道に自生しているものは「エゾカノコソウ」と呼ばれ、本州のものと区別されることがあります。現在北海道の訓子府町、湧別町で栽培されているのはエゾカノコソウを栽培植物にしたものです。
名前の由来
カノコソウの名前は、花の色に由来しています。カノコソウの花は内側が白くて外側がうす紅色になっていて、上から見ると絞り染めの鹿の子絞りの模様に似ていることから「鹿の子草」と呼ばれるようになりました。
学名の由来
カノコソウの学名「Valerian(バレリアン)」の由来は、ラテン語のValere(健康・幸福)が由来となっています。また、ローマでカノコソウを薬として使っていたヴァレリウス氏族が由来となっている説もあります。「fauriei」は、明治時代に来日したフランスの神父で植物収集家のU.Faurieに由来するものです。
カノコソウの特徴
カノコソウにはいくつかの特徴があります。この特徴は薬や香料として利用されたり、よく似た種類の植物と見分けるポイントになったりしています。ここではカノコソウの特徴を見ていきましょう。
特徴①花・実
カノコソウは、淡い紅色が混じった白い筒状の花を集団で咲かせます。花の直径は約3mm、長さは4~7mmです。花は先端で5裂になって咲き、3本の長いおしべが花から飛び出しています。実は楕円形で3つの部屋に分かれおり、長さは約3~4mmです。先端に羽のような綿毛が生え、実が熟すと傘のように広がり風で運ばれます。
特徴②葉・茎
葉の形は長い楕円形で、葉の縁がギザギザになっています。上部の葉は茎につく柄の部分(葉柄)が短く、2~4対の対生です。下部の葉は長い柄があり、花が咲き終わるころに枯れてしまいます。茎は太くて直立し、節の部分に長くて白い毛が生えているのが特徴です。また、地中に細長い地下茎を伸ばし増えていきます。
特徴③におい
カノコソウは、オミナエシ科の植物特有の強いにおいを発します。これはイソ吉草酸という物質から発生するもので、多くの人は足の裏ような不快なにおいに感じ、よい香りに感じる人はヒステリー気味だといわれます。また、このにおいにはマタタビと同じ効果があり、ヨーロッパではネズミ捕りにも使用されていたそうです。
次のページでは、カノコソウの仲間を見ていきましょう!