ミヤマウズラ(深山鶉)とは?特徴や見分け方を解説!育てられる?

ミヤマウズラ(深山鶉)とは?特徴や見分け方を解説!育てられる?

ミヤマウズラは、日本に昔から自生している蘭です。葉っぱの模様が鶉に似ていることからこの名前が付けられたこの花は、観賞用として育てることもできます。またヒメミヤマウズラというよく似た花もあるので、ミヤマウズラの特徴や見分け方、育て方などについてご紹介します。

記事の目次

  1. 1.ミヤマウズラとは
  2. 2.ミヤマウズラとヒメミヤマウズラの見分け方
  3. 3.ミヤマウズラの栽培方法
  4. 4.病気と害虫
  5. 5.まとめ

ミヤマウズラとは

Photo by sunoochi

ミヤマウズラは、日本に自生する野生の蘭です。小さな白い花と特徴的な葉っぱの模様から江戸時代には「錦蘭」とも呼ばれ親しまれてきました。今回は、ミヤマウズラの特徴や育て方、ミヤマウズラによく似たヒメミヤマウズラとの見分け方などについてご紹介します。

ミヤマウズラの基本情報

学名 Goodyera schlechtendaliana
和名 ミヤマウズラ(深山鶉)
属名 ラン科シュスラン属
分布 北海道・本州・四国・九州・琉球諸島(奄美大島以北)
朝鮮半島・台湾・中国・ヒマラヤ・スマトラ島など
生育場所 人里に近い山中の林の木の下
草丈 6~25cm
開花時期 8~9月
花の色 白・薄ピンク

・埼玉県、千葉県、奈良県、鳥取県では絶滅危惧種に指定されています。

ミヤマウズラの特徴

名前の由来にもなった葉っぱの斑模様

ミヤマウズラの大きな特徴は、葉っぱの模様にあります。緑色の葉っぱに白い斑模様があり、鶉(うずら)の羽の模様によく似ていることから「ミヤマウズラ」という名前が付けられました。この葉っぱの斑模様は個体によってそれぞれ違っていて、江戸時代後期ごろからこの模様がとくにきれいなものを「錦蘭」と呼んでいます。

小さな鳥のような白い花

ミヤマウズラは、1cm程の小さな花を咲かせます。開花時期は8月~9月ごろで、花は長く伸びた花茎の上の方に7~15個ほどの花が花茎の片側だけに咲きます。花の色は白から薄ピンク色で、花の形は翼を広げた鳥のように見えます。また、正面から見ると花の上の方に目のような茶色っぽい丸い斑点が2個並んでいるのが特徴です。

ミヤマウズラとヒメミヤマウズラの見分け方

ヒメミヤマウズラは、ミヤマウズラの近縁種で絶滅危惧種に指定されている植物です。ミヤマウズラに葉っぱの斑模様や花がよく似ていて、間違えられることもしばしばあります。ここでは、ヒメミヤマウズラの特徴やミヤマウズラとの違いなどをご紹介します。

ヒメミヤマウズラの基本情報

学名 Goodyera repens
和名 ヒメミヤマウズラ(姫深山鶉)
属名 ラン科シュスラン属
分布 本州の中部以北・北海道
生育場所 亜高山帯などの針葉樹林の木の下
草丈 10~20cm
開花時期 7~8月
花の色

・日本の絶滅危惧種に指定されています。

ミヤマウズラとヒメミヤマウズラの違い

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ミヤマウズラとヒメミヤマウズラはよく似ていますが、よく観察すると違いが見えてきます。この2つの花の違いは次のようなものです。

大きさの違い

ヒメミヤマウズラとミヤマウズラとの違いはその大きさにあります。ヒメミヤマウズラの「ヒメ」は本来のものよりも小さいという意味で使われる言葉で、実際にも草丈や葉っぱの大きさがミヤマウズラよりもヒメミヤマウズラのほうがひとまわりくらい小さくなっています。

花の形や模様

Photo by sunoochi

ミヤマウズラとヒメミヤマウズラの大きな違いは花の形や模様にあります。ミヤマウズラの花は両サイドの花びらが鳥が翼を広げたような形をしていますが、ヒメミヤマウズラの花は両サイドの花びらが短くて全体的に丸い形をしています。また、ミヤマウズラの花にだけ2つの茶色い斑点が付いているのも見分けるポイントの1つです。

もう1つの違いとしてヒメミヤマウズラの花弁の内側に毛が生えていないというものがあるのですが、かなり奥の方でとても見えにくく2つの花をすぐに見分けるポイントとしてはあまり有効ではありません。

生息場所の違い

ミヤマウズラとヒメミヤマウズラは、生息場所にも違いがあります。ミヤマウズラは山の低い場所に生えて、ヒメミヤマウズラは山の高い場所に生えます。また、ミヤマウズラは日本の広い地域に生育しますが、ヒメミヤマウズラは本州の中部以北や北海道と比較的寒い場所を好むのも大きな違いです。

ミヤマウズラの栽培方法

ミヤマウズラは山野草ですが、家庭で育てることができます。江戸時代から親しまれてきたミヤマウズラは1980年代に開催された展示会で注目されてから採取され過ぎて数が激減し、場所によっては絶滅危惧種に指定されているので、園芸用として販売されている株を栽培するようにしてください。ラン科の植物であるミヤマウズラは種から育てることがとても難しいので、ここでは株から育てる方法を紹介します。
 

ミヤマウズラの植え替え

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ミヤマウズラは栽培が難しく、庭に植えると根が付かず枯れてしまうので鉢植えで育てるのが基本です。ミヤマウズラは用土が古くなると傷みやすい植物なので、必ず年に1回の植え替えが必要です。ここではミヤマウズラの植え替え方法について紹介します。

ミヤマウズラに適した用土

ミヤマウズラは比較的乾いた場所を好む植物なので、ミズゴケを使って栽培する方法と水はけのよい用土で栽培する方法があります。ミズゴケを使用する場合は、ミズゴケは湿らせすぎるとミズゴケが腐ってしまうことがあるので注意が必要です。市販の用土を使用する場合は、山野草用の土やウチョウラン用の土がおすすめです。自分で配合する場合は、日向砂(小)と赤玉土(小)を1:1の用土に細かくしたミズゴケを少量混ぜたものなどの水はけがよくなる配合がおすすめです。

植え替えに適した時期

ミヤマウズラの植え替えに適した時期は、暑すぎず湿気の少ない4~7月と9~10月です。しかし、株が病気になったりしたときには季節を問わずすぐに植え替えをしてください。

植え替え方法

ミヤマウズラを植え替えるときには、浅めの鉢を使用します。ミズゴケで育てる場合は、根っこを湿らせたミズゴケで包んで鉢底石を敷いた鉢に植えます。用土で育てる場合は、鉢底石を敷いた上に用土を少し入れた上に株を置き、鉢の縁から少し盛り上がるくらい用土を入れます。ミヤマウズラは苔を好むので土の表面に苔を敷いておくと、土の乾燥を防ぐこともできるのでおすすめです。植え替えるときには根っこを傷つけないように古い土を取り除いてから植え替えるようにしましょう。

肥料のやり方

ミヤマウズラはあまり肥料を必要としない植物なので、植え替えたときに緩効性肥料を少量与える程度で大丈夫です。生長期や開花時期、また生育が悪い場合は液体肥料を与えるとよいでしょう。

ミヤマウズラの置き場所

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ミヤマウズラは林の木の下で育つ植物なので、直射日光の当たらない明るい日陰に置きます。また、比較的土が乾いた場所を好むので、雨の当たらない風通しのよい場所に置くようにしましょう。耐寒性はありますが凍ってしまうと枯れるので、寒い時期は室内の温かい場所に置きましょう。

ミヤマウズラの水やりの方法

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ミヤマウズラは水をやりすぎると根腐れを起こして枯れてしまいます。用土で育てる場合は、土の表面が乾いたら葉っぱに水が当たらないようにして、たっぷり水やりをしてください。ミズゴケで育てる場合はミズゴケが常に適度に湿った状態を維持することが重要です。鉢の下に受け皿を置いて鉢底が少しだけ水に浸かる程度の水を入れておき、ミズゴケが自然に吸い上げるようにする方法がおすすめです。

病気と害虫

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ミヤマウズラは病気や害虫に弱い植物です。育てるときには次のような病気や害虫に注意してください。

ミヤマウズラのかかりやすい病気

ミヤマウズラがかかりやす病気は、軟腐病です。軟腐病とは湿気の多い時期や夏場に用土やミズゴケが蒸れた時に根元から溶けるように腐っていく病気です。この病気を防ぐために、風通しのよい場所で水を与えすぎに注意しながら管理するようにしましょう。

ミヤマウズラに付きやすい害虫

ミヤマウズラは、ナメクジやカタツムリに葉っぱを食べられてしまうことがあります。屋外で育てる場合は、食べられないように屋内に移すなど対策をしてください。また、アカダニも付きやすいのでダニ用の薬剤を使用したり風通しのよい場所で管理するようにしましょう。

まとめ

ミヤマウズラは、夏の山でみられる葉っぱの斑模様が特徴的なかわいらしいランの一種です。家庭で栽培することもできますが、かつて展示会で注目を集めたときに採取され過ぎてその数が激減しています。実際、ミヤマウズラを絶滅危惧種に指定して採取を禁止している地域もあるので、登山などで見つけたときは採取せずに写真を撮るなどして花を傷つけないように楽しむことをおすすめします。

ayamasa2223
ライター

ayamasa2223

植物が好きでプランターでのお花や野菜の栽培の勉強中です。どうぞよろしくお願いします。

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