ヘレボルスとは?
現在、日本で流通しているクリスマスローズの総称をヘレボルスといいます。つまり、日本ではヘレボルスとクリスマスローズは同じものを指しており、違いはありません。しかしヨーロッパでは、ヘレボルス・ニゲル (Helleborus niger)のみをクリスマスローズと呼んでいました。
基本情報
学名 | Helleborus |
英名 | Christmas rose |
別名 | クリスマスローズ/ヘレボラス |
和名 | 寒芍薬(かんしゃくやく)/雪起こし |
科名 | キンポウゲ科 |
属名 | クリスマスローズ属 |
名前の由来
ヘレボルスの名前の由来
学名のヘレボルス(Helleborus )は、ふたつの言葉があわさった言葉です。ギリシャ語のHelenin (殺す)とbora (食べ物)が名前の由来です。あわせると「食べると死に至る植物」という意味になります。
クリスマスローズの名前の由来
クリスマスローズの名前は、クリスマス時期に花が咲くことが由来です。本来はヘレボルス・ニゲルがクリスマスの頃に開花することで、この種類のみの呼び名でした。日本とヨーロッパでは、クリスマスローズの名前が意味する植物に違いがあります。
レンテンローズの名前の由来
日本で多く販売されている種類は、クリスマスローズガーデンハイブリッドやオリエンタルの名前で呼ばれています。ヨーロッパでは、この種類をレンテンローズと呼んでいます。キリスト教の四句節のレンテン節の時期である4月頃に花が咲くことが由来です。
クリスマスローズの誕生の伝説
ボタニ子
伝説その①
イエス・キリストが馬小屋で誕生し、そのお祝いにマデロンという名の少女が聖母マリアのもとに訪れました。しかし、貧しくお祝いの贈り物を用意できません。少女が嘆き悲しんで流した涙が落ちたところから、美しいニゲルが次々に咲きました。少女は、真っ白なニゲルを摘んで、聖母マリアとキリストへ贈ったと伝わっています。
伝説その②
イエス・キリストが誕生したことを、天使が羊飼いの人々に伝えたところ、お祝いに多くの人が駆けつけ、贈り物を渡しました。しかし、貧しい羊番の少女は贈り物を用意できません。天使が少女のもとに舞い降りて、手に持っていた百合の花を地面に振ると、真っ白いニゲルの花が咲き乱れ、その花を摘み聖母マリアとイエスへの贈り物にしたそうです。
ヘレボルスの花言葉
ヘレボルスの花言葉は、「追憶」「私を忘れないで」「私の不安を取り除いてください」「いたわり」「慰め」があります。
「追憶」「私を忘れないで」
「追憶」「私を忘れないで」は、中世ヨーロッパでは戦いに送り出すときに、恋人への願いを込めて贈ったことからつけられました。少しうつむき加減に咲く花の姿と見送る姿が重なったのでしょうか。
「私の不安を取り除いてください」「いたわり」「慰め」
古代ギリシャ人は、ヘレボルスを利尿剤、下剤、精神安定剤として利用していました。「私の不安を取り除いてください」「いたわり」「慰め」の花言葉は、このことからつけられたといわれています。
ヘレボルスの特徴
ヘレボルスの特徴を、花、茎、毒性に分けて紹介していきます。ちなみに、ヘレボルスは夏に根は成長が止まり、休眠期を迎えます。
種類①花
ヘレボルスの開花時期は、主に春です。クリスマスローズと呼ばれますが、クリスマスの時期に花が咲くのはヘレボルス・ニゲルの種類です。ヘレボルスの花に見える部分は、花ではありません。花弁のように見えますが、萼(がく)です。そのため、長く観賞できます。
種類②茎
ヘレボルスは、3種類に分けられます。茎がなく株元から葉と花の茎が伸びる「無茎種」、株元から茎が伸びて葉と花が付く「有茎種」、そのどちらにも分類されない中間種の3つです。
種類②毒性
ヘレボルスは、毒性植物です。毒は全体にあり、特に根と茎に多く含まれています。茎、葉などの汁に触れると炎症の原因になるため、扱うときには手袋をしましょう。特に根、茎にはヘレブリンという成分があり、心臓を収縮させるといわれています。毒を口にした場合、口内の炎症やめまい、吐き気、腹痛、下痢などの症状が現れます。
ボタニ子
次はヘレボルスの種類を紹介します。
ここでのクリスマスローズは、ヘレボルス・ニゲルのことを指します。