インスタントコーヒーでブーム到来
日本でフリーズドライ食品が注目されるようになったのは1970年代です。この頃日本ではコーヒーブームがおこるのですが、本格的なコーヒーの作り方は家庭で手軽に楽しむやり方には向いていません。そこで家庭で簡単に作れるようにフリーズドライ製法で開発されたのが、インスタントコーヒーだったのです。
即席めんの登場で大ブーム
インスタントコーヒーとほぼ同時期に開発されたのが、インスタントラーメンを含む即席めんです。即席めんもフリーズドライ製法によって作られており、お湯さえあれば外でも調理可能なため、家庭の主婦だけでなく幅広い世代で大ブームとなります。
家庭の保存食に欠かせない存在
1970年代のインスタントコーヒー・即席めんの大ブーム以降、日本でもフリーズドライ製法を使った食品が次々と開発されます。今では味噌汁やおかゆ、離乳食から本格的なスープなどバリエーションも豊富になり、家庭の保存食として欠かせない存在になっています。
宇宙食にも活用
フリーズドライ製法は、宇宙食の開発にも活用されています。水分を抜くことで軽量化するのが乾燥法の特徴ですが、一般的な乾燥法の仕組みでは、水分の蒸発と一緒に栄養素や旨味成分なども失われてます。その点加熱処理を行わないフリーズドライは、軽量かつ簡単に美味しい料理が再現できるため宇宙食に適しています。
ドライフードもフリーズドライ
ペットを飼っている家庭で欠かせないドライフードも、フリーズドライによって作られています。ペットブームによってペットの食事にも注目が集まるようになり、味や質だけでなく健康にも気をつかうオーナーが増えました。そんなオーナーたちのニーズにこたえて開発したのが、フリーズドライによるドライフードです。
自宅でドライフードを自作する人も
最近では自宅で簡単に自作のドライフードが作れる家庭用機械も開発され、素材から作り方までオリジナルにこだわれるようになりました。しかも家庭用機械を使えば、家庭菜園で収穫した野菜や果物もドライフードにできるため、アレルギーのあるお子さんのおやつ作りとしても人気です。
フリーズドライの原理
食材を長期保存させるための乾燥法として開発が進んだフリーズドライは、今では食品業界全体に広がり、食材だけでなくさまざまな料理までもフリーズドライによって商品化されています。ではフリーズドライとは、いったいどのような原理を活用した製法なのでしょうか?
実は単純な仕組み
フリーズドライの原理は、実はとてもシンプルです。野菜や果物などの食材は水分が含まれることで新鮮さを保てますが、水分を含むために腐敗するというデメリットもあります。また食材を乾燥させると、乾燥させている間に食材の風味や変色が起ります。そこで短時間で効率よく水分だけを抜くのが、フリーズドライ製法の基本原理です。
水が蒸発する原理を応用
短時間で効率よく水分を抜くために、フリーズドライでは水が蒸発する原理を応用しています。水の沸点は気圧が低いほど低くなります。沸騰した水は気化熱を発生させますが、低温で沸点を迎えると気化熱が発生する前に温度が下がり気化します。このような水の性質が、フリーズドライの原理の基本にあります。