園芸用土の種類と使い方【応用編】
①ピートモス
ピートモスは、水苔が腐食して堆積したピート(泥炭)を乾燥した無菌の有機質用土で、pH調整済みとそのままのものがあります。未調整のピートモスはpH3.5〜4.5の酸性で、調整済みのものはpH6.0〜6.5の弱酸性です。ふんわりと軽くて、保水性と保肥性(肥料もち)があります。堆肥としての効果と土質を酸性に傾ける役割があります。
ピートモスの上手な使い方
pH未調整のピートモスは、酸性の土壌で青く染まる紫陽花におすすめです。年に1〜2回株の周りにすき込めば、鮮やかな青色がキープできます。果樹の培養土に3割ほど加えると、酸性土壌を好むブルーベリーの植え付けにぴったりです。pH調整済みのピートモスは、堆肥として腐葉土と同じように使えます。
ボタ爺
②パーライト
パーライトは人工的に作られた多孔質の用土です。黒曜石または真珠岩を、高温高圧で焼成しています。原料と粒の大きさで種類があり、pHは8.0〜8.5のアルカリ性です。白色〜灰色で軽く、水はけと通気性に優れています。
パーライトの上手な使い方
パーライトは土を中性~弱アルカリ性に傾けるため、配合する割合を1〜2割にすることがポイントです。ハンギングや壁掛けで市販の培養土にパーライトを加えると、土を軽くできます。
③バーミキュライト
バーミキュライトは蛭石(ひるいし)を焼成し、加工した無機質の用土です。とても軽く通気性と水持ちがよいのが特徴で、pHは6.5〜7.0の中性です。草花の寄せ植えや観葉植物のハンギングや壁掛けなどに効果を発揮します。
バーミキュライトの上手な使い方
目の細かなバーミキュライトは、挿し芽や種まきでの発根促進に効果的です。無菌で清潔なことからハイドロカルチャーなど、室内栽培の害虫対策に効果があります。
④川砂
川砂は文字通り川底に堆積した砂のことで、矢作川で採れる矢作砂(やはぎすな)も同様です。特徴は通気性と水はけがよいことで、ほかの用土と比べて重さがあります。pHは6.0〜7.0で弱酸性〜中性の無機質な用土です。
川砂の上手な使い方
やや粒の荒いものは大型〜中型のサボテン、粒の細かいものは芝生や東洋蘭・多肉植物・オモトや観音竹などに向いています。品質のよい矢作砂は盆栽の土としても人気です。
⑤黒土
関東ローム層の火山灰土の表層土を採取したものが黒土です。有機物と微生物に富んだ有機質の用土で、pHは5.0〜6.0の弱酸性です。保水性と保肥性に優れていますが、通気性や水はけは劣ります。
黒土の上手な使い方
痩せた土地での花壇や菜園の土作りには、黒土が適しています。果樹や野菜作りには赤玉土や腐葉土などを配合して、通気性と水はけを保ちましょう。
⑥日向土(ひゅうがつち)・ボラ土
宮崎県都城市一帯で採れる日向土は、ボラ土とも呼ばれる軽石の一種です。pHは6.0前後の弱酸性で、軽石なのに水に沈むのが特徴です。通気性と水はけがよく根腐れを防ぐ役割もあります。種類は大粒~細粒まであり、サボテンや多肉植物・観葉植物・山野草など、幅広く役立つ用土です。
ひゅうが土の上手な使い方
スリムなトールタイプの鉢の底石に、比重の重い日向土を入れるのもおすすめの方法です。大型のサボテンやアガベなど多肉植物の栽培にも向いてます。通気性と水はけをよくしたい場合は粒の大きさを揃えすぎず、大粒と中粒を混ぜて使うがコツです。
園芸用土の種類と使い方【番外編】
①ケト土(けとつち)
ケト土は湿原に堆積したヨシやマコモなどの、水生植物が堆積したものです。色は黒く粘土質で、水を加えるとねっとりと柔らかくなります。pHは弱酸性の有機質用土です。保水性が必要な盆栽の石付けや水生植物、草花の苔玉作りにぴったりです。
②水苔
水苔は湿地に生える水苔を乾燥させたもので、通気性と保水性に優れています。pHは4.5〜5.0の酸性に近い弱酸性です。水苔は着生植物の流木付けや苔玉作り、洋ランの栽培に向いています。ほかにもチランジア(エアプランツ)の植え付けや、細かく砕いた水苔を山野草の土に混ぜることがあります。
園芸用土おすすめの配合の割合は?
草花の土 | 赤玉土の小粒〜中粒6:腐葉土4+元肥適量 |
西洋ハーブの土 | 赤玉土の中粒3:腐葉土4:パーライト3+有機石灰少量 |
多肉植物の土 | 赤玉土の細粒〜小粒4:pH調整済みピートモス3:ひゅうが土の細粒3 |
観葉植物の土 | 赤玉土の小粒〜中粒7:pH調整済みピートモス3 |
野菜の土 | 赤玉土の小粒6:腐葉土3:くん炭1+元肥適量 |
果樹の土 | 硬質赤玉土の中粒6:腐葉土3:牛ふん堆肥1+元肥料適量 |
バラの土 | 硬質赤玉土の小粒〜中粒6:腐葉土3:牛ふん堆肥1+元肥料適量 |
球根・宿根草の土 | 硬質赤玉土の小粒〜中粒7:腐葉土3+元肥適量 |
ブルー系 紫陽花の土 |
赤玉土の中粒3:鹿沼土の中粒3:ピートモス4(酸性土) |
ピンク系 紫陽花の土 |
赤玉土の中粒6:腐葉土4+有機石灰少量(中性〜弱アルカリ土) |
この表は簡単に作れるおすすめの配合割合を記したものです。それぞれの配合割合は鉢植えやプランター栽培だけでなく、庭植え(地植え)や植え替えのときにも役立ちます。用土のpHを調整したい場合は紫陽花の土を参考に、配合する割合をアレンジしてみましょう。
まとめ
ホームセンターや園芸店・ネット通販で、たくさんの園芸用土が気軽に手に入るようになりました。園芸用土は植物の性質にあわせて自分でブレンドしたり、市販の培養土をアレンジしたりできます。園芸用土を上手に使いこなして、ガーデニングをもっと自分らしく楽しみましょう!
園芸用土の使い方のポイント
- バランスのよい用土は、土と堆肥を6:4で配合
- 水はけのよい土は、土と堆肥を7:3にするのがグッド
- 酸性土は鹿沼土とピートモスで、アルカリ土は有機石灰でpH調整
- 粒の大きさで迷ったら、大きいほうをセレクト
- 用土は雨や直射日光を避けて、ストッカーに入れて保存
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植物はpH5.5〜6.5の中性に近い弱酸性で育つものが多いんじゃ。pHの調整は土作りの大切な要素のひとつじゃよ!