日本には巨木が多く現存する
巨木をみると自分よりもはるかに大きな存在に圧倒されることでしょう。日本の巨木といえば「屋久杉」が有名ですが、実は日本各地に巨木は存在しています。巨木の所在は、森や林の中のほかに都会の住宅地も多く、想像以上に気軽に訪問できるパワースポットともいえるでしょう。
巨木のデータベース
日本の環境省が「地上から130cmの幹周りが300cm以上の樹木」を対象に、1988年~1992年にかけて調査を実地しました。その後も全国の巨木愛好家たちの調査協力があわさって、約6万8000本の巨木が巨木データベースに登録されています(2000年時点)。
日本の巨木ランキング<11位~6位>
環境省のデータベースに掲載されているデータや、実際に訪れた人たちの口コミをもとにランキングした11本の巨木をみていきましょう。
11位:入西(にっさい)のビャクシン
入西のビャクシンの情報
所在地 | 埼玉県坂戸市 |
種類 | ビャクシン |
幹周り | 350cm |
高さ | 12m |
推定樹齢 | 300年以上(伝承によると500~800年) |
「入西のビャクシン」は幹周りはほかの巨木に比べて小さいものの、その個性的な樹形は一度みると忘れられないほどでしょう。地元では「ねじれっ木」という愛称をもつだけあって、空へ向かってらせん状にねじれています。ビャクシンはねじれて成長する特徴を持ちますが、これほど美しくねじれている古木は珍しいでしょう。
入西のビャクシンの所在地
10位:長太の大樟(なごのおおくす)
長太の大樟の情報
所在地 | 三重県鈴鹿市 |
種類 | クスノキ |
幹周り | 816cm |
高さ | 23m |
推定樹齢 | 300年以上 |
「長太の大楠」は三重県鈴鹿市の巨木です。広々とした田園風景の中に1本のクスノキが伸びやかに空へ向かう姿が、見る人の気持ちを晴れやかにしてくれるでしょう。遠くから見ていると幹の太さを実感しにくいですが、そばに近づくとそのたくましさに驚かされるかもしれません。
長太の大楠の所在地
9位:横室(よこむろ)の大カヤ
横室の大カヤの情報
所在地 | 群馬県前橋市 |
種類 | カヤ |
幹周り | 810cm |
高さ | 24m |
推定樹齢 | 300年(伝承によると1000年以上) |
横室の大カヤは、1993年に国指定天然記念物に指定されている巨木です。諏訪神社にこのカヤを寄贈した旧家金沢家が先祖代々大切に育ててきた歴史を持ち、大切に保護されてきたおかげで樹形が崩れることもなく、樹齢1000年を超えた今でも成長を続けています。
横室の大カヤの所在地
8位:有田神社の大楠
有田神社の大楠の情報
所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町 |
種類 | クスノキ |
幹周り | 1220cm |
高さ | 20m |
推定樹齢 | 300年以上(伝承によると1100年以上) |
「有田神社の大楠」は和歌山県串本町にある、有田神社の境内にある巨木です。神社よりも先にこのクスノキがあり、この巨木を祀るために神社が建立されたといわれています。樹齢は1100年を超えると推定され、幹に大きく空いた空洞からこれまであったさまざまな出来事を想像させられることでしょう。
有田神社の大楠の所在地
7位:波崎の大タブ
波崎の大タブの情報
所在地 | 茨城県神栖市 |
種類 | タブノキ |
幹周り | 840cm |
高さ | 15m |
推定樹齢 | 300年(伝承によると1000年以上) |
「波崎の大タブ」は茨城県神栖市神善寺の境内にそびえる巨木です。県指定天然記念物、新日本名木百選にも登録されており、根元にある巨大なコブが特徴的といえるでしょう。江戸時代に起きた火災を退けたという伝説があり、「火伏せの木」として信仰の対象にもなっています。
波崎の大タブの所在地
6位:府馬の大クス
府馬の大クスの情報
所在地 | 千葉県香取市 |
種類 | タブノキ |
幹周り | 857cm |
高さ | 13m |
推定樹齢 | 不明(伝承によると1300~1500年) |
「府馬の大クス」は千葉県香取市宇賀神社内にあります。ユニークな樹形をもつ巨木が好きな方におすすめで、地面から盛り上がるような幹とごつごつとした荒々しい姿からは、強い生命力を感じることでしょう。
府馬の大クスの所在地
日本の巨木ランキング<5位~1位>
5位:与野の大カヤ
与野の大カヤの情報
所在地 | 埼玉県坂戸市 |
種類 | カヤ |
幹周り | 728m |
高さ | 21.5m |
推定樹齢 | 不明(伝承によると1000年) |
「与野の大カヤ」は環境省のデータベースに未登録ですが、国指定天然記念物と新日本名木百選に登録されている巨木です。関東地方の中でも都市化がめまぐるしいさいたま市の住宅街にありながら、樹齢は1000年を超えるといわれています。太い幹があわさってまっすぐ上へ伸びていく姿は多くの人に愛され、榧木金毘羅(かやのきこんぴら)と呼んで信仰の対象となっていました。
与野の大カヤの所在地
4位:地蔵ケヤキ
地蔵ケヤキの情報
所在地 | 茨城県取手市 |
種類 | ケヤキ |
幹周り | 980cm |
高さ | 18m |
推定樹齢 | 300年以上(伝承によると1600年) |
「地蔵ケヤキ」は安産・子育てのご利益があるとされ、多くの人が参拝している巨木です。茨城県取手市高源寺の境内に存在し、巨木の中央には人ひとりが入れるほど大きな空洞があります。これは300~400年ほど前の火災によって生じたもので、その空洞にひっそりとたたずむ地蔵をみると、思わず手をあわせたくなるかもしれません。
地蔵ケヤキの所在地
3位:大将軍神社のスダシイ
大将軍神社のスダシイの情報
所在地 | 滋賀県大津市 |
種類 | スダシイ |
幹周り | 約500m |
高さ | 14m |
推定樹齢 | 300年以上 |
「大将軍神社のスダシイ」は滋賀県大津市の大将軍神社の境内にそびえる巨木です。樹高は14mと小さめですが、注目すべきはその幹の太さと見た目でしょう。ぼこぼこと隆起した根上がり部分が境内の石垣を飲み込み押し出して、歴史をつむいできた様子がうかがえます。
大将軍神社のスダシイの所在地
2位:薫蓋樟(くんがいしょう)
薫蓋樟の情報
所在地 | 大阪府門真市 |
種類 | クスノキ |
幹周り | 1340m |
高さ | 27m |
推定樹齢 | 不明(伝承によると1000年以上) |
「薫蓋樟」は環境省のデータベースに登録されている、大阪府の巨木の中でもっとも大きな木です。大阪府門真市の三ツ島神社境内にそびえ、樹齢は1000年を超えるといわれており、「神が宿る木」とも呼ばれ関西ではパワースポットとしても人気があります。
薫蓋樟の所在地
1位:蒲生の大楠
蒲生の大楠の情報
所在地 | 鹿児島県蒲生町 |
種類 | クスノキ |
幹周り | 2500cm |
高さ | 25m |
推定樹齢 | 不明(伝承によると1500年以上) |
環境省データベースによると、日本に存在する巨木の中でもっとも大きなものは鹿児島県蒲生町八幡神社に現存する「蒲生の大クス」です。幹周りの長さは約25mと圧倒的な太さを誇り、樹齢も伝承によると1500年を超えるといわれています。国の特別天然記念物にも登録され、堂々とした姿が見た人に感動を与えることでしょう。
蒲生の大楠の所在地
ボタニ子
日本の巨木を訪れよう
日本には人知れず長い年月を生き続けてきたものや、神社などに祀られて人々の暮らしに溶け込んできたものなど、さまざまな巨木があります。道を進んだ先にそびえる巨木に出会う瞬間というものは、感動的なものでしょう。訪れる際にはその土地のマナーを守り、樹を守る気持ちも忘れずにいたいものですね。ぜひ気になる巨木があれば探しに出かけてみてくださいね。
巨木以外にも日本には魅力的な一本桜がありますよ。有名な一本桜の記事はこちらからどうぞ。