オリーブの肥料の与え方
オリーブは温暖な気候を好みますが、冬の寒さに対して、ほとんどの品種が-10℃まで耐えられる丈夫な樹木です。そのため育て方が容易な庭木として人気があります。一方で、花も実も楽しめる観葉植物として鉢植え栽培されることも多いです。鉢植えと庭植え、どちらの育て方も肥料の与え方は基本は同じですが、量やタイミングなど、細かい点に注意する必要があります。
オリーブの基本的な肥料の与え方
オリーブの肥料を施す時期は、3月、6月、11月の年3回です。3月は春の芽吹きに必要な栄養の補給と、土の状態をよくするために、元肥として施します。土壌改良効果を発揮させる必要があるため、有機質の緩効性固形肥料がおすすめです。6月は夏の生育期に十分な栄養を与える追肥として施します。11月は、果実収穫後の樹木を回復させるために施すお礼肥です。
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6月の追肥と11月のお礼肥は、オリーブに早めに栄養を補給する目的があるので、即効性の化成肥料がおすすめです。
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オリーブの葉の先端が黄色く変色してきたときは、追肥が必要だよ。葉の黄変は微量要素が不足しているサインなんだ。
オリーブ肥料の基本の与え方まとめ
与えるタイミングと名称 |
肥料の種類 | 与える理由 |
3月(元肥、寒肥、春肥) | 有機質を含む固形肥料 | 春の芽出し |
6月(追肥、夏肥) | 固形肥料、液体肥料、 化成肥料 |
栄養補充 |
11月(お礼肥、秋肥) | 固形肥料、液体肥料、 化成肥料 |
収穫後の回復 |
鉢植えの場合
鉢植えは使用している鉢の大きさによって、施す肥料の量が異なります。たとえば、8号鉢の場合は3月の元肥に有機肥料30g、6月の追肥に即効性化成肥料8g~10g、11月のお礼肥に即効性化成肥料6g~8gが目安です。鉢の大きさ以外にも、オリーブの品種、樹齢、生育状態によっても肥料の必要量が変わります。株の状態をよく観察して施肥量を加減しましょう。
植え替え時の施肥は?
植え替えは鉢植えの育て方で重要な作業です。鉢植えのオリーブは3年に1回のペースで植え替えます。大きくしたい場合は、一回り~二回り大きい鉢に植え替えましょう。大きくしたくない場合は、伸び過ぎた根を整理し、新しい土を使って元の鉢に植え替えます。植え替え直後の根は繊細なため、追肥は植え替え後2週間たってから、根と土が落ち着いたときに行いましょう。
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オリーブの植え替えの最適期は3月中旬~5月中旬です。だけど真夏と真冬以外の時期なら、いつでも大丈夫ですよ。
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植え替えは根詰まりを防ぐために必要な作業なんだ。オリーブに限らず鉢植えの育て方で重要な作業だから、丁寧に行おうね。
庭植えの場合
大きく育つ庭植えの肥料は、鉢植えよりも多く必要です。オリーブの品種や樹齢、生育状態で施肥量を加減する点は鉢植えと共通ですが、庭植えの場合は土の状態も考えて加減します。樹冠直径1m前後のオリーブに施す場合は、3月の元肥は遅効性有機肥料150g、6月の追肥は即効性化成肥料40g~50g、11月のお礼肥は20g~30gが目安です。
組みあわせて使うのもおすすめ
「丈夫で育て方が簡単」といわれているオリーブですが、肥料の三要素と呼ばれる窒素・リン酸・カリのどれが不足しても、生育が悪くなってしまいます。元肥も追肥も、三要素のバランスが取れているものを選んで組みあわせていきましょう。弱アルカリ性の土壌を好むため、元肥を与える際は、少量の苦土石灰を組みあわせて使うと効果的です。
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肥料の与え過ぎを防ぐために、微量要素を含む活力剤と組みあわせて使うのもおすすめだよ。
肥料の与え方の注意点
注意点①肥料焼け
オリーブは肥料焼けを起こしやすい樹木といわれています。理由は地表に出てきてしまうほど張りが浅い根です。根は肥料に直接触れてしまうと肥料焼けを起こして最悪枯れてしまいます。根張りが浅いと、直接肥料に触れてしまう危険性が高いのです。単純に一度の施肥量が多過ぎても、土中の肥料濃度が高くなってしまい、根が障害を起こして枯れてしまう恐れがあります。
注意点②根が肥料に触れないように施す
オリーブを含む樹木の肥料の与え方は、根に直接触れないように与えるのが基本です。オリーブの場合は、根の広がっている範囲にまんべんなく施していきます。樹木の根の広がっている範囲の目安は、葉が広がっている範囲です。葉が広がっている範囲の真下にある土に、全体的に肥料を施しましょう。鉢植えの場合は株元から少し離れたところへ、囲むように施していきます。
注意点③土壌の質
肥料効果を十分に発揮させるためには、土壌の状態も重要です。通常の植物は弱酸性で育ちます。しかしオリーブは弱アルカリ性の土壌が理想です。日本の土壌は酸性寄りが多いため、植え付け前に酸度調整しておきます。オリーブの植え付けは、2月中旬~3月が最適期です。冬の間に、元肥と苦土石灰を庭土に混ぜ込んで寝かせておけば、オリーブ好みの酸度の土壌となります。
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酸度調整を含めた土壌改良は、植え付ける2週間前にはすませておきましょう。
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鉢植えの場合は、オリーブ用の培養土がおすすめだよ。
オリーブの培養土(平和)
平和 オリーブの培養土 25リットル
参考価格: 2,050円
オリーブにあわせて成分調整されたオリーブ用の培養土は、鉢植え栽培での使用がおすすめです。オリーブの生育に理想的な弱アルカリ性に調整済み、元肥と根腐れ防止効果を持つ酸素供給剤が配合されているため、そのまま使用できます。リン酸とカリを高めに配合しており、花つきも実つきもよくなりますよ。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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注意点④結実
オリーブの実の収穫を楽しみたい場合は、必ず違う品種のオリーブを2本以上植えます。オリーブの多くは「自家不和合性」という、違う品種の花粉を受粉して結実する性質を持つ樹木です。単独では結実しません。自家受粉する品種もありますが、単独だと結実してもほんの少量です。オリーブの受粉はおもに風を介して行われます。それぞれの株を近くに配置しておきましょう。
適切な施肥でオリーブを育てよう
オリーブは育て方自体は容易ですが、肥料の与え方、土壌の酸度、結実させるためのポイントなど、細かいところで注意点がある樹木です。「いつ肥料を与えるか」「植え替えは真夏と真冬以外の時期に行う」「酸度調整」「植える品種選び」など、さまざまなポイントをしっかり押さえ、適切な作業ですこやかに育て上げましょう。
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出典:写真AC