「受粉」とは?その意味・定義や仕組みをわかりやすく図解で解説!

「受粉」とは?その意味・定義や仕組みをわかりやすく図解で解説!

植物のタネはどのようにできるのでしょうか。じつは、植物の受粉は複雑な仕組みで成り立っています。この記事では、種子植物の受粉について、被子植物と裸子植物の違い、自家受粉と他家受粉、花の役割や種類などの関連事項に触れながら説明します。

記事の目次

  1. 1.はじめに
  2. 2.受粉とは何か
  3. 3.受粉の仕組み
  4. 4.誰と受粉するのか
  5. 5.受粉と花
  6. 6.おわりに

はじめに

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種子植物は、花を咲かせ、受粉し、タネを作って子孫を増やす植物です。 種子植物の受粉について、被子植物と裸子植物の違い、自家受粉と他家受粉、花の役割や種類などの関連事項に触れながら説明します。

受粉とは何か

受粉という言葉は、被子植物においてはおしべで作られた花粉がめしべの先端の柱頭につくこと、裸子植物においては雄花から出た花粉が雌花の胚珠につくことと定義されます。似た言葉に受精があります。受精の定義は、花粉の中の精細胞が胚珠の中の卵細胞と結合することです。受粉と受精が成立すると、タネが作られます。

受粉の仕組み

種子植物は、被子植物と裸子植物の2つに分類されます。どちらも受粉を経てタネを作りますが、被子植物と裸子植物は構造が異なり、受粉もそれぞれに適した方法をとっています。

被子植物の構造と受粉の仕組み

出典: https://www.terumozaidan.or.jp/labo/future/04/05.html

図1

被子植物は、種子植物のうち胚珠が子房の中に存在する植物と定義されます。図1のような構造です。

①おしべで花粉が作られる

出典: http://leading.lifesciencedb.jp/1-e007

図2

花粉は、おしべの先端にある葯で作られます。葯の中には、花粉母細胞という花粉のもとになる細胞がたくさん存在します。減数分裂により、ひとつの花粉母細胞から花粉四分子という4つの未熟な花粉ができます。花粉四分子はさらに細胞分裂を行い、花粉管細胞と雄源細胞になります。雄源細胞はまた細胞分裂し、2つの精細胞となります。最終的には、図2にあるように、成熟した花粉の中に、ひとつの花粉管細胞と2つの精細胞が存在することになります。

②めしべは花粉を迎える準備をしている

図1にあるように、めしべは、柱頭、花柱、子房の3つの部分でできています。子房はのちに果実となり、子房の中の胚珠は種子(タネ)になります。胚珠の中には、胚嚢母細胞があります。これが減数分裂し、4つの細胞が作られます。4つの細胞のうち3つは消失し、残ったひとつの細胞が胚嚢細胞となります。胚嚢細胞が3回細胞分裂を行い、卵細胞、中央細胞、助細胞、反足細胞ができ、図2に示した構造となります。ここまで終わると花粉を受け入れる準備が整います。

③受粉と受精

出典: https://www.jst.go.jp/pr/announce/20160408/index.html

図3

おしべの葯から花粉が出ていき、めしべの柱頭に着地します。めしべにより別の個体の花粉であると認識されると、受粉が成立します。受粉が成立すると、図3のように、花粉管細胞が花粉管となり、胚珠に向かって伸びていきます。花粉管の中を通り2つの精細胞が運ばれていきます。そして卵細胞へと到達します。ひとつの精細胞が卵細胞と受精して胚となり、もうひとつの精細胞は中央細胞と受精して胚乳となります。2つの精細胞がそれぞれ受精するため、重複受精と呼ばれます。胚は植物の赤ちゃん、胚乳は植物の栄養です。胚と胚乳、それらを包む種皮と合わせて、種子(タネ)となります。

裸子植物における受粉

出典: https://www.terumozaidan.or.jp/labo/future/04/05.html

図4

裸子植物は、種子植物のうち、胚珠がむき出しになっている植物と定義されます。

①雄花で花粉が作られる

雄花の花粉嚢で花粉が作られます。被子植物では4つの花粉嚢が葯の中に入ってひとまとまりになっていますが、裸子植物には葯は存在しないため、図4のように花粉嚢は包まれずそのまま存在しています。被子植物と同様に、花粉にはひとつの花粉管細胞と2つの精細胞が入っています。

②雌花は花粉を迎える準備をしている

胚珠の中にある珠心という部位で、減数分裂により4つの大胞子が作られます。4つの大胞子のうちのひとつだけが残り、雌性配偶体に発達します。雌性配偶体から卵細胞と胚乳が作られます。

③受粉と受精

裸子植物は胚珠がむき出しになっており、柱頭や子房は存在しないため、花粉は胚珠に直接くっつきます。そこで受粉が成立します。受粉すると、被子植物と同様に花粉から花粉管が伸び始めます。ひとつの花粉には2つの精細胞がありましたが、2つのうちひとつは消失します。卵細胞は残った精細胞と受精し胚となります。胚、雌性配偶体からできた胚乳、それらを包む種皮が、種子(タネ)です。

ボタニ子

ボタニ子

同じ種子植物だけれど、被子植物と裸子植物は、構造も受粉の仕組みもそれぞれ異なっているのですね。

誰と受粉するのか

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生物がオスとメスという性を作り、有性生殖を始めたのは、子孫の遺伝子に多様性を持たせるためです。子孫に残す遺伝子が多様であれば、環境が変化したときも、子孫のうちのどれかの個体は生き延びる可能性が高くなります。多様性を得るため、有性生殖を行う生物は、同じ種の中で自分とは異なる遺伝子を持つ個体を生殖相手として選びます。植物も、せっかく有性生殖を行うのであれば別の個体と受粉することが望ましいため、そのための仕組みが備わっています。

自家受粉と他家受粉

同じ種類の別の個体のおしべとめしべで受粉することを他家受粉といいます。反対に、ひとつの個体(同じ株)に存在するおしべとめしべで受粉することを自家受粉といいます。

別の個体と受粉する仕組み

①雌雄異熟

出典: https://www.terumozaidan.or.jp/labo/future/04/05.html

図5

別の個体と受粉するための仕組みに、雌雄異熟と呼ばれる、おしべとめしべが成熟するタイミングをずらす方法があります。トウモロコシが例として挙げられます。図5のように、トウモロコシは、花が咲くとまずおしべが成熟して花粉を出しますが、その頃のめしべは未熟であり、同じ個体では受粉はできません。おしべの花粉が消費された頃に同じ個体のめしべが成熟し、他の個体から運ばれてきた花粉と受粉します。逆に、モクレンのように、おしべが未熟な頃にめしべだけが先に成熟し、めしべが萎れた頃におしべが成熟する植物もあります。

②雌雄異株

ひとつの個体には雄花か雌花のどちらかしか咲かないものを、雌雄異株と言います。同個体の性は一つであるため、必然的に受粉は別の個体と行うことになります。イチョウ、ソテツ、クワ、キンモクセイなどが該当します。

③自家不和合性

出典: https://www.terumozaidan.or.jp/labo/future/04/05.html

図6

自家不和合性を示す植物では,自家受粉した(自己)花粉の発芽や花粉管伸長が阻害され,他個体由来の(非自己)花粉によってのみ,正常な受精が起こる.

同じ個体同士での受粉を避ける方法のひとつに、めしべが柱頭についた花粉を識別する方法があります。自家不和合性と呼ばれる仕組みです。図6にあるよう、同じ遺伝情報を持った自己の花粉は拒絶されて花粉管を伸ばすことができません。しかし、異なる遺伝情報を持つ他の個体の花粉は受け入れられ、花粉管は胚珠に到達できます。

自家受粉する植物

種子植物の中には自家受粉を受け入れる植物も存在します。タチイヌノフグリ、オシロイバナ、ミゾソバ、スミレ、イヌムギなどが挙げられます。他家受粉ができないときに自家受粉を行う種もあれば、閉鎖された構造の花を持ち自家受粉のみで子孫を残す種もあります。

ボタニ子

ボタニ子

多様性を持った子孫を残すことが進化の過程で有利であったため、植物は他家受粉をする方法を編み出してきたのですね。

続いては、受粉と花について解説

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