落ち葉で作る腐葉土の効果
腐葉土を畑や花壇を作るときに使用すると、作物に有用な効果を得られます。腐葉土の力や使い方は落ち葉でかんたんにできる手作りの腐葉土だけでなく、園芸店やホームセンターで売られているものも同様です。腐葉土は豊富な栄養素や保水力によって、作物の成長を助けてくれます。
効果①微生物を増やし豊かな土を作る
腐葉土には熟成された落ち葉や小枝が含まれており、土の中にいる微生物のエサになります。腐葉土が土と混ざると微生物の繁殖を促し、増殖したさまざまな種類の微生物は腐葉土の栄養分をゆっくりと分解します。分解された腐葉土は作物を育てる栄養分です。土地の栄養分を補いたい場合に、腐葉土を土作りに活用すると、たい肥や石灰と同様に土壌改善が期待できます。
効果②畑の水はけや通気性をよくする
腐葉土が混ざった土は水や空気のとおりやすい、植物が育つのに適した環境です。腐葉土になると落ち葉はかなり小さくなりますが、完全に土になったわけではありません。発酵の具合にもよりますが、多少葉の形や小枝が残っています。形が残っている葉の割合が高い腐葉土には、小さなすき間ができるため、水や空気をとおす道になります。
効果③土の保温性や保湿性を保つ
黒いシートやおがくずを使って、作物を冬越しに利用したものをマルチングといいます。腐葉土にもマルチングのシートやおがくずと同じ使い方ができます。腐葉土の小さなすき間には適度な水気や空気を含んでおり、植物に適切な水分量や保温性を維持します。腐葉土で作物を守ることで、病気や害虫の発生を防ぐ効果も期待できるでしょう。
庭の落ち葉を腐葉土にする方法
用意するもの
腐葉土作りで用意するもの
- ほうきやくま手など、落ち葉を集める道具
- 水
- シャベル
- 米ぬかや油かす、生ごみなど
- 去年作った腐葉土(あればでOK)
- 被せるための土(なくてもOK)
落ち葉で手作り腐葉土を作るために用意するものは、落ち葉と水、発酵を促す材料の3つとかんたんなものです。落ち葉を集めたり、庭に穴を掘ったりするため軍手や作業着など動きやすい格好で作業しましょう。落ち葉の上に被せる土や去年作った腐葉土があれば、より成功しやすくなります。
作り方①落ち葉を集める
最初に手作り腐葉土の材料となる落ち葉を集めます。庭に落ちている葉を、くま手やほうきを使ってかき集めましょう。多少なら、落ち葉以外の雑草や枝が混じっても問題ありません。ただし、木の枝はできる限り取り除いておくと、完成する腐葉土の質がよくなります。
腐葉土に向いている落ち葉とは?
腐葉土を手作りするときに使う落ち葉は、かんたんに熟成が進む落葉広葉樹の種類を使うのがおすすめです。ケヤキやクヌギ、ナラの木、ポプラなどの種類が腐葉土に向いています。一方、葉の形が長いスギやヒノキ、マツなどの針葉樹の種類はあまり適していません。イチョウやサクラの葉の種類も発酵が進みにくいです。
作り方②庭の適した場所に穴を掘る
十分落ち葉が集まったら、腐葉土作りに使う場所を決めましょう。手作り腐葉土に適しているのは、風通しと水はけのよい場所です。庭のよく水溜まりができるような場所では、水分量の管理が難しくなるため注意してください。場所が決まったら大きさ1m四方、深さ20cmを目安に穴を掘ります。掘った土は後ほど落ち葉の上に被せるため、まとめて積み上げておきます。
作り方③落ち葉を穴に重ねて入れる
穴の準備が整ったら落ち葉を入れ、上から水をかけて湿らせます。穴にある程度の量の落ち葉が入れた後は、発酵を促す材料を全体にまんべんなくかけましょう。さらに上から落ち葉と水、発酵をする材料を入れ、3~4回繰り返して積み重ねていきます。なるべく大量の落ち葉を重ねると、発酵が安定して進行します。落ち葉を入れ終わった後、確保しておいた土を被せてください。
ボタニ子
ボタ爺
被せる土はサラサラとした砂の多い土より、畑や花壇に使う黒土が向いているんじゃ。
腐葉土の発酵を助ける材料
落ち葉に加えて微生物のエサとなる材料を入れておくと、腐葉土作りが成功しやすくなります。発酵を促す材料は多くの種類がありますが、代表的なものは米ぬかや油かすです。鶏ふんや生ごみ、庭の雑草を加える作り方もあります。保水性をもつピートモスを入れると、腐葉土が完成するまでのスピードが上がります。
腐葉土に生ごみを加える場合は野菜くずや果物の皮、茶がらなどがおすすめです。肉や魚は大きな骨を取りのぞけば入れられますが、発酵するときのにおいが強くなるため、気になる方は避けましょう。また、腐敗している食品は腐葉土の発酵や熟成をさまたげるため、加えないでください。
作り方④切り返し(土のかき混ぜ)を行う
手作り腐葉土の成否が決まるポイントとなる工程が、土のかき混ぜ作業で切り返しとも呼ばれています。落ち葉を積み重ねが終わったら、豊富な種類の微生物を増やすため、月に1回は空気を含ませるようによくかき回しましょう。土をかき混ぜるさい、少量の落ち葉や生ごみを追加することも可能です。ただし、腐葉土作りを始めて約3カ月までの間に追加してください。
乾燥を避けるため水を足す
腐葉土を上手く作るためには水分量の割合の調節が重要です。土をかき混ぜたとき、内部が乾燥している場合は水を足してください。一方で、雨が続く時期はブルーシートを被せておくと余計な水分が入るのを防ぎ、適温に保てます。ただし、雪が積もる場合はシートで保護する必要はありません。気温が下がると発酵のスピードは落ちますが、雪の下でも発酵自体は進みます。
作り方⑤完成を確かめる
発酵が進んだ腐葉土が仕上がっているかを判断する基準は香りです。十分に発酵が進んだ腐葉土は、森の土のような香りがあるため、定期的に嗅いで確かめてみましょう。腐葉土の発酵が始まるとカビや細菌が増え、のちに発酵が進んでいきます。まだ発酵が進んでおらず、腐敗している状態の腐葉土は、湿った側溝のような嫌なにおいがします。
ボタ爺
腐葉土の使い方によって、どの程度発酵させるかが変わってくるのじゃ。
ボタニ子
水はけや通気性を改善する使い方をしたいときは、葉の形が残っているところで使うといいよ!
腐葉土作りで失敗しないコツ
腐葉土作りで最も重要なのは、一定の水分量と空気量の割合を保つことです。腐葉土に空気を取り込むため、落ち葉を積み重ねた後しっかりと切り返しを行ってください。温度も発酵を早く進ませるためのポイントですが、定期的な温度を保つのはかんたんではありません。温度が低くても少しずつ発酵が進むので、まずは土をかき混ぜることと水分量の維持を意識すると成功しやすくなります。
ボタニ子
次のページでは、室内やベランダでもできる落ち葉の腐葉土作りについて紹介していくよ!
あらかじめ被せる土を用意できる場合、穴を掘らずに落ち葉を積み上げたほうが上手くいくよ!