ディコンドラの魅力
ディコンドラは密生する円い葉が愛らしい常緑の植物です。成長が早く、比較的さまざまな環境に適応できるので、グラウンドカバープランツとして理想的な植物のひとつです。もともと熱帯の植物なので暑さにとても強く、近年の殺人的な暑い夏にも耐えてくれます。
ディコンドラとは?
ディコンドラ(ダイコンドラ、ダイカンドラとも)は学名の音訳で Dichondra と書きます。ヒルガオ科の植物で、広い意味でのアサガオの仲間です。世界の熱帯・亜熱帯地域に広く分布し、日本にもアオイゴケ Dichondra micrantha が千葉県より西の地域に分布しています。ただし、アサガオの仲間と言っても茎は巻きつかず、地面を這って広がってゆきます。花は咲くのですが、直径2〜3mmしかない上に、葉の下に隠れて咲くためほとんど気付かれません。
ディゴンドラの種類
ディコンドラは世界に14種あるとされますが、主に栽培されているのは緑の葉のアオイゴケと、銀色の葉を持つディコンドラ アルゲンテア 'シルバーフォールズ Silver Falls' のふたつです。
ディコンドラの特徴
ディコンドラ(ダイコンドラ)は丈夫な植物で問題になるような病害虫はありません。また、日当たりは、日なたを好みますが、ある程度の日陰にも耐え、湿気にも比較的強く、暑さとある程度の低温に耐えるので(耐寒性あり)、さまざまな条件の場所で育てられます。もともと這う性質なので、西洋芝のように上に伸びるわけではなく刈り込み・剪定の手間が要らないのも魅力です。
ディコンドラの適地
ディコンドラの流通しているふたつの種類には性質の違いがあります。
緑の葉=アオイゴケ
緑の葉のアオイゴケはアジア原産のため湿り気にかなり強く、長期間水没しない限り根腐れの心配がありません。また比較的日陰に強く、室内でテラリウムへの利用も可能です。
銀色の葉='シルバーフォールズ'
銀色の葉の'シルバーフォールズ'は根付くと乾燥にも耐える力があり、アオイゴケよりも強い光や高温に耐えますが、一方で日陰や室内での栽培にはあまり適しません。
①グラウンドカバーとして植える
ディコンドラの良さがいちばん発揮される
ディコンドラの良さがいちばん発揮されるのがグラウンドカバーです。這って広がる性質がもっとも活かされる利用法です。植えつけた後に根詰まりで弱ることもなく、また根付けば日照りが続かない限り水やりの必要もありません。ただし、自由に移動させられませんから、最初から日当たりの良い場所か、少なくとも明るい日陰(遮光率40〜50%)である必要があります。
日当たりの良い日向を好む
特に'シルバーフォールズ'は日陰では徒長して見る影も無くなってしまうので日なたを選びます。日陰の少し湿り気のある場所はアオイゴケの適地です。とはいえあまり他の植物が密生している場所では競争に負けてしまうので、アオイゴケだけにするか、混植する場合は間隔を空けてアオイゴケにも光が当たるようにします。
植える場所や耐寒性は?
グラウンドカバーに適すると言っても、普段から頻繁に踏みつけられる場所には適しません。そのような場所では芝生にするか、レンガ敷などにして、その目地に利用します。もうひとつ問題になるのが耐寒性です。どちらの種類もマイナス6℃ぐらいが限界とされており、安定して一年中屋外で栽培可能なのは関東地方の南部までになります。
②鉢植えとして植える
ディコンドラの這う茎を垂らすように仕立てれば、吊り鉢にして大変優雅な眺めになります。成長が早いので鉢植えにすると根詰まりになりやすく、また肥料が切れると葉が黄ばんで見苦しくなります。そのため、ある程度コンスタントに肥料を補給したり、植え替えて株分けをおこなう、伸びすぎた茎の剪定(切り戻し・刈り込み)などの手入れが必要です。
'シルバーフォールズ'の方が鉢植えには適している
湿り気を好むアオイゴケよりも、比較的乾燥に耐える'シルバーフォールズ'の方が鉢植えには適しています。寄せ植えにする場合は手前側や鉢の縁に沿って植えれば見栄えがします。ヤシ繊維のマット素材であれば側面に植えても素敵です。
③室内で楽しむ
ディコンドラは外の日向に向いている植物ですが、アオイゴケは日陰に耐えるアオイゴケならば室内で楽しめます。普通に鉢植えを持ち込んでもよいですし、テラリウムでの栽培も可能です。
室内での置き場所は?
なるべく明るい方が良いので窓辺などの外の光が入ってくる場所に置きますが、テラリウムで栽培する場合は温度が上がりやすくなるのでその場合は直射日光の入らない場所を選びます。
ディコンドラの育て方①:水やり
グランドカバーの場合
グラウンドカバーなどとして地面に植えてあるならば、植え付けの時と、その後2〜3回を除けばほとんど水やりの必要がありません。よほど日照りが続いて萎れていれば十分に与えてください。
地植えの場合
地植えにしたディコンドラに水を与える場合は地中深くに水が行き届くようにたっぷりと与えます。そのように与えたら、次に萎れるまで水やりは要りません。表面だけかけると土に水が浸み込まず、根も浅くなり、ますますしおれやすくなってしまいますから注意してください。
鉢植えの場合
鉢植えの場合は萎れていたらそこから水が流れるくらい水を十分に与えます。特に吊り鉢仕立てだと乾きやすいので、朝夕2回チェックして、乾いていれば水を与えます。
ディコンドラの育て方②:肥料
肥料を与える時期は?
暖かい間はずっと成長を続けるので、ときどき肥料を補給する必要があります。時期としては、植えつけるときに、あるいは春に、緩効性の窒素肥料を与えてください。春から夏の間に2回与えます。
葉の色が変わっときも肥料を与えていい?
葉の色を見て、黄色っぽいとか、枯れ葉が多くなったように感じてから与えても構いません。粒状のものが使いやすいでしょう。他の植物と一緒に植えてある場合は、その肥料の余りをもらいますから、特にディコンドラのために肥料を与える必要は生じません。
ディコンドラの育て方③:増やし方
ディコンドラの増やし方は3つあります。種まきと株分け、挿し木です。
①タネでの増やし方
ディコンドラのタネはアオイゴケならば国内でも販売があります。しかし'シルバーフォールズ'のタネは国内ではほとんど販売が無いので海外から輸入することになります。また、タネは発芽適温が20〜22℃と高めなので、春にすぐ種まきするよりも連休を過ぎて初夏に入ってからの方が安全です。覆土は厚さ1〜2cmとします。要領はアサガオの種まきと同じですから難しい事はありません。種まきを終えたらジョウロで十分に水を与えて発芽するまで乾かさないようにします。
②株分けでの増やし方
株分けは株の塊をそのまま、鋏やナイフで半分か1/3に切り分けます。茎が絡み合っているので解こうとするとかえって傷めてしまうので、雑なようでもそのまま切り分ける方が問題がありません。
③挿し木での増やし方
挿し木は長く伸びている茎を任意の長さ(少なくとも5〜6cmあった方が良いです)に切り、葉を出して浅く土を茎にかけて埋めます。作業後は水を十分に与えて乾燥しないようにします。挿し木をする場合は、切り口をナイフやカッターで切り戻すのが基本ですが、ディコンドラはそれぞれの葉の付け根から根を出すのでしなくても問題ありません。
ディコンドラの育て方④:植え替え
植え付けの時期は?
アオイゴケも'シルバーフォールズ'も、植え付けは関東地方で4〜5月以降、10月いっぱいまでが適期です。株分けも同様です。ディコンドラはもともと密生する性質があるのですが、それでも何年も経つと成長が悪くなってきます。地植えの場合でも2〜3年に一度は掘り上げて土壌改良と肥料を補給して、正常に成長するように植え替えます。
植え替えの時期は?
ディコンドラは根も成長が早いので鉢植えではすぐに根詰まりしてしまいます。ポット苗で販売されているものはなるべく早く定植して、すでに鉢植えになっているものも年1回は植え替えて、茎を切り戻したりして仕立て直すのが長年きれいに保つコツです。
ディコンドラの育て方⑤:管理場所・温度
ディコンドラは熱帯・亜熱帯地域が本拠地の植物ですから、極端な寒さは苦手です。マイナス6℃以下になる地域では屋外での越冬は困難ですから、室内に取り込むか、一年草扱いとして来年の春に新たに求めるようにします。室内に取り込む場合は9月のうちに挿し木をしてポット苗を作っておくと、場所を取らずに済みます。
ディコンドラの育て方⑥:病害虫対策
水はけ(湿度)に注意
ディコンドラに問題になるような病害虫は知られていません。土が湿りすぎて、すぐに水たまりになるような水はけの悪い場所では根腐れを起こします。これは土を水はけ良くなるように改良するか、そのような条件でも育つ植物に換えます。アオイゴケの方は、比較的過湿に強く長期間水没しない限り大丈夫ですが、'シルバーフォールズ'は水はけの良い水たまりなどができない場所を選んでください。
ディコンドラの入手方法(まとめ)
福花園種苗 ダイカンドラ種子(コート種子)100mL詰 (グランドカバー用)
参考価格: 2,324円
コート種子は発芽率が高いのでお勧めです
ホームセンターで入手可能
ディコンドラは日本国内での入手が簡単です。ポット苗が安価に販売されています。園芸シーズンになると各地のホームセンターや花屋の店先にポット苗が並びますから、傷みの無いものを選んで購入してください。挿し木や株分けでの繁殖も簡単ですから、何株か手に入れられれば十分です。
グランドカバーとして育てたい場合は?
グラウンドカバーとして広い面積を覆いたい場合はタネを購入して種まきをします。最初の地ならしなどに手間がかかりますが、安価に済みます。ディコンドラのタネは大手通販サイトなどで販売されていますから、必要な量のものを購入してください。ただし、'シルバーフォールズ'は日本国内でのタネの取り扱いがほとんど無いので輸入に頼ることになります。
(*日本国内への植物輸入の防疫手続きが昨年から厳格化されていますので、購入の際には販売元に防疫証明書などの添付とその費用について必ず問い合わせをしてくださいね。)
花壇の縁を美しく覆うディコンドラ アルゲンテア 'シルバーフォールズ' Dichondra argentea 'Silver Falls'