リュウノヒゲ(龍のひげ)とは
リュウノヒゲ(龍のひげ)は東アジアを原産とするキジカクシ科ジャノヒゲ属の常緑性植物です。日本では北海道~九州と、ほぼ全国各地の森林に分布しています。古くから自生していることもあって、非常に育てやすく日陰や半日陰でも育つこと、葉がはうように広がる性質から、グランドカバーやシェードガーデンによく利用される植物です。
リュウノヒゲの基本データ
学名 | Ophiopogon japonicus |
科名 | キジカクシ科(ユリ科) |
属名 | ジャノヒゲ属(オフィオポゴン属) |
別名 | ジャノヒゲ(蛇のひげ)、タマリュウ(玉竜) |
原産地 | 日本、東アジア |
草丈・樹高 | 10cm~40cm(種類・品種によって異なる) |
開花時期 | 7月~8月 |
花色 | 白、紫 |
名前の由来
細長い葉が、龍の口ひげを連想させることが名前の由来です。ジャノヒゲ(蛇のひげ)という別名は、当初は「ジョウノヒゲ(尉(じょう)のひげ」と呼ばれていたのが、なまってジャノヒゲになったといわれています。なお、学名の「Ophiopogon japonicus」は、ギリシャ語の「Ophio(蛇)」と「Pogon(ひげ)」の2つの言葉が語源です。
リュウノヒゲの細長い葉が、能面のあごひげに似てるということなんだね。
生薬になる
根を天日乾燥させたものは、「麦門冬(ばくもんとう)」と呼ばれる生薬になります。せき・たんの鎮静や滋養強壮の効能があるとされ、漢方でも鎮咳去痰薬(ちんがいきょたんやく/せきを鎮め、たんを取り除く薬という意味)として処方されてきました。
主な薬効としては鎮咳(ちんがい)、去痰(きょたん)および滋養強壮があり、漢方処方においても鎮咳去痰薬(咳を鎮めて痰を取り除く薬)と見なされる処方に配合されます。
リュウノヒゲの特徴
特徴①常緑性の細長い葉
最大の特徴は何といっても、名前の由来にもなった細長い葉でしょう。細長い葉を地面からたくさん生やすため、こんもりとした草姿になります。常緑性多年草なので、冬でも葉は瑞々しい緑色をたもちますよ。丈夫で手間もかからないため、都会の緑化計画にも利用されています。
特徴②鮮やかな青い果実をつける
リュウノヒゲは夏に花が咲き、秋に実をつけます。光沢のある青色で、とても美しい実です。ただし、あまり大きくないため、観賞価値はそれほど高くはありません。とても鮮やかな青色をしているだけに残念ですね。ちなみに実の中には白い種子が入っています。この種子はとてもよく弾むため、床に投げるとスーパーボールのように跳ね上がりますよ。このため「弾み玉」と呼ばれています。
特徴③花よりも果実の鑑賞期間が長い
リュウノヒゲには、花よりも実の鑑賞期間が長いという、少し変わった特徴があります。リュウノヒゲの開花期、つまり花の鑑賞期間は7月~8月です。そして秋に実をつけますが、こちらの鑑賞期間は何と10月~5月と、翌年まで鑑賞できます。これはリュウノヒゲの実が、気温が高くなるまでは落ちにくい性質を持っているためです。雪の中でも落ちません。気温が高くなる5月末まで鑑賞できます。
特徴④グランドカバーやシェードガーデンに使える
横にはうように成長する性質なので、グランドカバー向きといわれています。実際にグランドカバーとしての需要が高いです。常緑性で日陰にも強いので、シェードガーデンにも利用されています。丈夫ですが他の植物を駆逐するほどの繁殖力はないため、とても扱いやすい点も魅力的でしょう。ただし、踏圧にはあまり強くありません。グランドカバーにする場合は、あまり人に踏まれない場所を選びましょう。
特徴⑤アクアプランツにもなる
リュウノヒゲは水中でも育ちます。このためアクアプランツとしての利用も可能です。実際に熱帯魚の水槽にも利用されていますよ。アクアプランツは高価な種類・品種も少なくないため、安価なアクアプランツとしてリュウノヒゲを購入することもあります。
「尉(じょう)のひげ」とは、能面の「尉」についているあごひげを指しています。「尉」とは男性の老人の顔を表現した能面のことです。