オタフクナンテンとは
オタフクナンテン(お多福南天)とは、メギ科ナンテン属の常緑性低木です。江戸時代に南天の園芸品種として誕生しました。オカメナンテン(阿亀南天)、ゴシキナンテン(五色南天)という別名があります。草丈が低く大きく生長しても50cmほどにしかならないことと、美しい葉を楽しむ品種であることから、寄せ植えや花壇のカラーリーフ、グラウンドカバーとして人気が高いです。
厄除けや縁起物としても人気
オタフクナンテン(お多福南天)という名前が「お多福(福が多い)・難転(困難をひっくり返す)」という意味に通じることから、厄除けや縁起のよい植物としても人気です。別名のオカメナンテンやゴシキナンテンも、縁起のよい名前なので人気があります。晩秋から冬にかけて美しく紅葉する性質も、色彩に乏しい冬の花壇や庭を華やかに演出してくれる貴重な植物として、やはり人気が高い理由となっています。
名前の由来
「オタフク(お多福)」「オカメ(阿亀)」の名前は、南天の通常種と比べると葉がふっくらとしている特徴から付けられました。「ゴシキ(五色)」は春は黄緑、夏は緑、冬は真紅と季節ごとに色を変える特徴が由来です。特に冬の真紅には「五色」という美しい表現にふさわしい、目を見張る美しさがあります。
オタフクナンテンの特徴
南天との違いは?
オタフクナンテンと原種である南天との違いは、花と実です。南天の一番の特徴と言えば、赤い実をつけることですが、オタフクナンテンは花をほとんど咲かせないため、実をつけることもあまりありません。草丈も南天と比べると低めです。しかし冬の季節の紅葉の美しさは目を見張るものがあります。オタフクナンテンは花や実ではなく、葉の美しさを愛でる品種であると言えるでしょう。
オタフクナンテンの花言葉
贈り物にも最適な縁起物
縁起のよい植物とされているオタフクナンテンは、花言葉も良い意味合いのものが多いです。オタフクナンテンは寄せ植えにも向いています。美しい寄せ植えの鉢にして、状況に応じた花言葉を書いたメッセージカードを添えて贈り物にすれば、とても喜ばれることでしょう。
花言葉その①:「機知に富む」
オタフクナンテンの花言葉その①は「機知に富む」です。季節ごとに葉色を変え、人を楽しませるところが、臨機応変に対応して問題を解決したり、良い方向へと導いてくれる機知に富んだ人物を連想させるのでしょう。直観力や閃きが重要視される職業の方にピッタリですね。
花言葉その②:「福をなす」
オタフクナンテンの花言葉その②は「福をなす」です。オタフクナンテン(お多福南天)の名前にも使われている「福」は、花言葉にもありました。慶事はもちろんのこと、ずっと幸福でいて欲しい大切な方への贈り物にいかがでしょうか。
花言葉その③:「よい家庭を」
オタフクナンテンの花言葉その③は「よい家庭を」です。まさに結婚祝いにおすすめの花言葉と言えるでしょう。
花言葉その④:「私の愛は増すばかり」
オタフクナンテンの花言葉その④は「私の愛は増すばかり」です。オタフクナンテンが冬に紅葉する特徴に由来しています。恋人への贈り物にいかがでしょうか。
オタフクナンテンの育て方
ここからは、オタフクナンテンの育て方について紹介します。
一年間の管理表
作業の適期 | 行う作業 |
3月~4月/9月~10月 | 植え付け・植え替え |
2月~3月/8月 | 肥料 |
2月頃 | 増やし方(挿し木) |
オタフクナンテンの一年間の管理表です。ここにまとめた作業の適期は、地域の環境やその年の気候条件などによってズレることがありますので、あくまでも参考程度にとどめておきましょう。プランターなどの鉢植えや花壇などの地植えでの植え方の違いや、水やりや剪定、枯れる原因など、育て方の詳細は下記をご覧ください。
オタフクナンテンの育て方その①:植え方
オタフクナンテンは丈夫で病気にもかかりにくく、園芸初心者でも育てやすい植物ですが、やはり育て方のポイントを抑えているのと、そうでないのとでは仕上がりが違います。しっかり覚えて、「五色南天」という別名があるほどの葉色の変化を楽しみましょう。まずは植え方の紹介です。
鉢植えの場合
やや粘土質の土を使用する
鉢植えで育てる場合は、まず苗よりも一回り大きいサイズの鉢を用意します。オタフクナンテンはやや粘土質の土を好むので、配合は赤玉土(小粒)4:腐葉土3:黒土3がベストですが、土作りが難しい場合は、市販の花と野菜の土でもOKです。植え替えは植え付けの適期と同じ時期に行います。オタフクナンテンは生長が遅いので、周期は2~3年に1度くらいで構いません。
地植えの場合
地植えの植え方のコツは場所選び
花壇など地植えにする場合は、まず日当たりのよい場所を確保しましょう。オタフクナンテンは半日陰でも育ちますが、日当たりが悪いと綺麗に紅葉しません。しかし、西日が強かったり、真夏の直射日光が強い場所だと、枯れるまではいかないものの葉焼けしてしまうので注意しましょう。植え付ける2週間前に腐葉土や堆肥、水はけが悪い場合は川砂も混ぜ込んでください。その後、苗よりも一回り大きな植穴を作って植え付けます。
オタフクナンテンの育て方その②:肥料
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オタフクナンテンは、それほど肥料を必要とする植物ではありません。2月から3月に寒肥として油粕や緩効性肥料を与え、追肥として8月にリン酸を多めに含む肥料を与えるだけで十分です。肥料をやり過ぎると葉色が悪くなってしまうばかりか、最悪枯れる原因にもなりますので気をつけてくださいね。
オタフクナンテンの育て方その③:水やり
オタフクナンテンは乾燥も多湿も嫌います。鉢植えの場合は、表面の土が乾いたら与えるのが基本です。地植えの場合は基本的には必要ありませんが、真夏の乾燥がひどい時期は水をやりましょう。また、気温が高い時期は水が温まってしまうので、朝の涼しい時間に水やりをしてくださいね。
オタフクナンテンの育て方その④:剪定
生長が遅くて樹高も低く、放っておいてもこんもりとした樹形に育つオタフクナンテンは、定期的な剪定は必要ありません。特に強剪定は、次の枝がなかなか伸びてこないので控えましょう。基本的には蒸れないように込み入った枝を取り除いたり、枯れた枝を切り取ったりする程度の軽い剪定でOKです。
オタフクナンテンの育て方その⑤:病害虫対策
オタフクナンテンは丈夫な植物ですが、カイガラムシが発生することがあります。カイガラムシは葉の栄養分を吸い取り、排泄物はすす病の原因にもなる厄介な害虫です。放置していると枯れる原因にもなります。普段から株をよく観察し、発見次第駆除しましょう。カイガラムシの成虫は硬い殻を持つことから殺虫剤が効きにくいので、歯ブラシなどでこそげ落とすのが効果的です。
オタフクナンテンの増やし方
オタフクナンテンの増やし方は、挿し木を用いるのが一般的です。適期である2月頃に挿し木とする枝を取ります。状態の良い枝を5cmくらいの長さに切り、葉を落としましょう。その後、清潔な赤玉土(小粒)を入れた育苗ポットに挿してください。こうしてできた挿し木苗を、暖かく風通しの良い場所で、土が乾燥しないようにポットの上にビニールをかけ、発根するまで管理します。
まとめ
縁起物で冬に美しい紅葉を見せてくれるオタフクナンテンは、育てやすい植物でもあります。冬の花壇に彩りが欲しい方だけではなく、風水や縁起の良し悪しを気にされている方にもおすすめの植物と言えるでしょう。寄せ植えにしても映えるので、鉢植え栽培が得意な方にもおすすめです。美しく紅葉したオタフクナンテンで、お部屋やお庭を自分好みに演出してみてくださいね。
出典:写真AC